バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 




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「パリの公衆トイレ、
無理やり入ると水びたし?!」

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「パリの 公衆トイレ、 無理やり入ると 水びたし?!」

バブー

パリの街歩きで困ること。
それは「トイレ事情」。
日本だったらどこを歩いていても
「トイレ!」ってなったら、
どこか入る場所があるでしょ?
そしてどこであろうとも、大して迷うこともないほど、
どこもかしこもきれいでしょ?
 
ところがね、パリは、フランスは、
日本に比べたらトイレ事情はとんでもなく大変。
ガイドブックの見開き1ページで
『おトイレは計画的に』って書いておきたいくらい、
トイレ事情が重要なんだよ。


夏休みに入り、観光地は大賑わいのパリ。
観光客たちを悩ませるトイレ問題も、ほんの少しずつは改善されてきた?!

とのまりこ

日本だったら、歩けば当たる‥‥
スーパー、本屋さん、駅、雑居ビル、駅ビル、コンビニ
(コンビニのすべてがトイレ使用可かどうかは
ちょっと事情が変わってきたかもですが)、
どこにでも誰でも使えるトイレがありますよね?
「この時間帯でトイレが必要かも」なんて
計画することなく出かけられますよね。

だけどパリで、無料でトイレに行ける場所といったら
デパート、大型ショッピングセンター
(どちらも圧倒的に数が少ない。
そして各階にはトイレはありません)、
美術館(入場者でないと入れない)、
カフェ(利用者でないと入れない)などなど。
誰でも気軽に入れるトイレというものがないのです。
 
スーパーにも駅にもトイレはありません。
本屋にもおもちゃ屋さんにもトイレはないです。


バブー

そんなおトイレ困ってしまう事情がある
パリにあるおトイレ救世主が、
「sanisette(サニゼット)」と呼ばれる公衆トイレ。
パリを歩いていると、グレーの小屋を
あちらこちらで見かけるんだけど、 
全自動で洗浄&消毒される公衆トイレだよ。
現在パリ市内に435個所。


この大きな広告ポスター塔の向こう側にあるのが、公衆トイレ「サニゼット」。
これは「小」専用のブースからムッシューが出てきたところ。


実はこれ、ず~っと前から存在したのだけど、
かつては有料制だったんだ。
順次新しく変わっていたとはいえ、
2020年ごろ(コロナがはじまった頃)までは
コインの投入が必要だったんだよね。
 
誰もが利用しやすい
(ホームレスでも、小銭を持たない旅行客などでも)
仕組みになったのは、ここ数年。

また、2024年のパリ・オリンピックを機会に、
今パリの街中で見かける近代化された
綺麗な公衆トイレに新しく変わっていったんだけど、
『ああ、誰でも気軽に入れる公衆トイレで
まあまあ綺麗だからこれ使うのもありね』
ってなったのって、
本当にここ1、2年の最近の話なんだよね。


2024年のオリンピックを機会に新しいバージョンが登場。
今は見かけるものがほぼこの新しいものに変わっている様子。

とのまりこ

このパリの公衆トイレ「サニゼット」、
ボタンを押すとドアが開き、
中に入るとドアが閉まり自動ロックされます。

利用者が用を足して、外に出てドアを閉じると、
トイレの中と床が自動的に洗浄&消毒される仕組み。
(便器が洗浄されると共に、床にまで水がじゃ~っと流れて
トイレの中全部が清掃されるのです!)
 
トイレマナーがなっていないフランスでは
床も便座もきったない!ことが多いので、
床まで洗浄してくれるのはありがたいばかりの仕様だけど、
デメリットもあって、洗浄が終わるまで
次の人が入るのを待たなければいけません。

洗浄を待たないで次の人が無理やり入ったら、
その人は水びたしということ。
一緒に洗浄されます‥‥。


近隣付近の地図とともに、この自動洗浄公衆トイレのある場所が紹介されてます。
携帯の地図で「sanisette」と検索しても表示されます。

バブー

オリンピックを機会に、2025年春までに
全て新しくするというプロジェクトだった公衆トイレ。
確かに最近のパリで見かけるボックス型の
この公衆トイレは、みんな綺麗で新しいよ♪
 
新しいものは水の使用量や電気の使用量も削減。
今まで1分30秒かかっていた清掃時間も、
30秒に短縮されたんだって。
 
何しろ前は、ひとりひとりが外で1分30秒
待たなくては行けなかったからね。
1人のトイレが終わった後に
次の人が入るまでの待ち時間が1分30秒あるって、
想像したらすごいでしょ?!
東京スカイツリーや浅草の雷門で、
「1分30秒の清掃時間+1人が用を足す時間」がある
トイレ待ち時間を想像してみてよ!
 
まあ今も、1人終わったら約30秒、
次の人は清掃時間を
外で待たなくては行けないから、
観光地では大行列になるんだけどね‥‥。


昔は有料だったこのトイレも、無料になり、最新式になって、入りやすいものに。
点灯している色で「使用中」「清掃中」などわかるようになってます。

とのまりこ

緑のボタンの時は『空いている』、
黄色のボタンは『使用中』、
青いボタンはトイレの中を『洗浄中』、
赤いボタンは『故障中』という意味。

ちなみに、この『故障中』を表す赤いボタンを
見かけることが多いのも、
フランスあるあるだと思って眺めています。
新しくなったばかりの設備なのにね‥‥。
 
新しいタイプの公衆トイレは、
清掃時間が短くなっただけではなく、
背面に「小」用のブースのある設計になって、
さらに待ち時間が短くなっています。
「小」を使う男性を増えるおかげで、
本来の個室トイレを使う人数も減らすというわけです。


こちら側が男子の”立ちション”専用スペース。
これができたおかげで少し混雑が緩和されたものの、
ひとりボックスには洗浄タイムがあるので観光地では長蛇の列。
ただし待てないからといって、前の人が出てきたタイミングで入ると、
自分も中で洗浄されて水びたしになるハメに! 要注意。

バブー

『ジャポンといえば‥‥』という話で
必ず挙げられる、すばらしい日本のトイレ事情。
トイレがどこにでもある上に、
本当にどこもかしこも清潔で綺麗
(フランスから帰ったボクたちにとっては
『トイレの便座どころじゃなく、
床に座れるじゃん!』と思うくらい)。

そんな日本のトイレ事情を当たり前だと思って来ると、
トイレを探すことから始まるフランス旅。

まだまだトイレ事情が良いとは言えないのだけど、
今日紹介した最新式の公衆トイレのおかげで
だいぶパリの『トイレ事情』もマシになったので、
ぜひみなさん、使い方をマスターして利用してみてね。


トイレの外側には「飲める水」の蛇口も。ただし故障してることも多く、
本日のこちらもなんにも出てきませんでした‥‥。

トイレットペーパーは切れていることが多いので、
ティッシュペーパーは常備だよ
(でも日本のみなさんなら、みんな
ポケットティッシュ持ってるのが当たり前かな?)。
 
前の人が出てから、一度扉が閉まって、
清掃が終わらないと次の人は入れないからね!
友達の後だから、家族の後だからといって、
せっかちに次の人が扉が閉まる前に入ると、
水が流されて、その人も一緒にじゃ~っと
トイレ内が全部洗浄されるからね。要注意!!
 
それではみなさん、
今週も素敵な1週間を!

 

 

 

 

 

 

 

*とのまりこさんの本*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

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