バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 


   

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パリ市内には
一時停止の標識がないの?!

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パリ市内には
一時停止の標識がないの?!

バブー

みなさん、ボンジュ~ル。
今週は南仏でのバカンス中に
ふと気づいた交通標識のお話だよ。

7月、地中海沿いの街に滞在中、
ボクの兄弟プチモンスターは
3週間、毎日自転車で
テニスクラブに通っていたんだ。

 

普通にあると思っていた一時停止の標識。
実はパリにはなかった?!

 

とのまりこ
フランスでは自転車は
車道を走らなくてはいけない。
だけど車の運転がみんなかなり荒いので
危険がいっぱいすぎて、普段パリでは
自転車であちこちに行くという習慣がなく
こんなに毎日乗り回すのは初めて。

なので車に乗って走っているとき、
標識などを一緒に確かめながら
改めて交通ルールの確認をしたのです。

 

バカンス中は毎日自転車で、
テニスクラブやマリンスポーツの往復。
私も電動キックボードで送迎。
必ず車道を走らなくてはいけないので
改めて交通ルールを確認。

 

バブー
一時停止の標識の確認をしてたらね、
プチモンスターがこう言ったんだよ。
「パリ市内にはね、一時停止の標識、
2つしかないんだって。
学校でポリスに習ったよ!」

‥‥え?
2つ?
あの、人だらけ車だらけ自転車だらけ
キックボードだらけのパリ市内に?
一時停止の標識が2つってこと、ありえる??
いやいやないでしょ~!!

「だってポリスの人が
そう教えてくれたもん!!」
っていうやりとりがあったんだ。

 

とのまりこ
毎年のように
幼稚園や小学校にポリスたちがやってきて、
交通安全ルールを教えてくれるという授業があり、
そこで教えてもらったというのです。

確かにこの春もポリス授業があり、
ルールをきちんと理解しているかの
簡単なテストまであって、
息子のクラスはそのテスト結果の
表彰式イベントのために、
区役所に招待されて行ったりもしていました。

その授業の中で教えてもらったという
「パリには一時停止標識は2つ」
というトリビア。
「え~そんなはずがないでしょう~。
また話聞いてなかったんじゃないの~」
なんて半信半疑だったのですが。

 

学校でのポリスによる交通ルールクラスと
テストの後、区役所に招かれて表彰式に。
どの区役所にも必ずある、
結婚式などが行われるステキな部屋で。

 

バブー
気になって調べてみると、
なんと実は「2つ」どころか、
パリ市内の公道には一時停止標識が
1つもないという情報が出てきたよ!

警察が言っていた「2つ」というのは、
公園の入口や
私有地から公道へ出る境界など、
「公道ではない場所」にある
例外的な標識のことだったのか?
という感じらしく、
公には「パリの公道には現在、
一時停止の標識は1つもない」
ということになっているんだって。

 

交通ルールを教えてくれたこのポリスたちが
「パリ市内に一時停止の標識は2つしかないんだよ」
というトリビアを教えてくれたそう。

 

とのまりこ
なぜ、この大都市のパリで
「一時停止の標識がない」なんてことが
ありえるかというと、
ちょっと面白いルールがあるから。

パリではフランスの道路の基本ルール
「右側優先」が徹底されているからなのです。

信号のない交差点では、
標識がなくても
「右から来る車が優先」というルールが
厳格に適用されます。
これ、私たち日本人にとっては
いまだに慣れないルールなのですが、
とにかく「右側の人が優先」。
みんなが「右から来るかも」と
意識してスピードを落とすから、
一時停止標識がなくても成り立っているのです。

 

一時停止の標識の話をしていたら、
まさに偶然パリ市内で発見したこれ!
パリの北にある総合カルチャー・レジャー施設が
入る公園の出口にあったもの。
だから公道ではないギリギリライン。
ポリスの教えてくれた2つのうちひとつがこれなのかな?

 

バブー
パリのような過密都市で
交通の流れを止めないために、
あえて標識を置かない
──というパリの道路設計の
考え方なんだって。

今はなき一時停止の標識には
最高に面白いエピソードがあってね。
実はかつて、パリ市内の公道には
「唯一の一時停止標識」が
存在していたんだって。

16区のセーヌ川沿い、
建設資材会社の敷地の出口に
大型トラック用として
特別に設置されていたらしいのだけど、
「パリ唯一の一時停止標識」
として有名になりすぎちゃって、
面白がった若者たちに
何度も盗まれてしまったんだって。

 

とのまりこ
何度付け替えても付け替えても
結局盗まれる‥‥。
というわけで、ついに2016年、
パリ警視庁が
「もう付け替えるのを諦めた」と
撤去を決定したそうで、
そのときからパリでは
公道の一時停止標識が
完全に絶滅したんだそうです。
標識を盗まれて絶滅するって‥‥、
なんともフランスらしい話です(笑)。

 

まさかパリに一時停止の標識がないなんて?! 知らなかったよ。

 

バブー
ちなみに、南仏や地方に行くと
もちろん一時停止標識は
あちこちにあるよ。
見通しの悪い交差点や
スピードが出やすい一本道が多いから、
強制的に止まらせる必要があるんだ。
パリの「過密だから止まらず流す」と、
地方の「スピードが出るから止める」。
同じフランスなのに
全然違う交通の考え方が
標識ひとつに表れているよね。

それでは今週もよい1週間を!

 

*とのまりこさんの本*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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