「パリの地下で キノコ?!」
秋。 キノコの季節に入ってしばらくたちました。 マルシェで山積みのキノコを 見かけるようになると、 ああ、秋がやってきたんだなあ〜って。
▲ああ秋だな〜と感じるジロール茸。 マルシェに黄金のキノコが山積みになっています。
ジロール茸、セップ茸(ポルチーニ茸)etc. 名前も覚え切れないほどのキノコが山盛りに。 バターと白ワインでソテーしたり。 炊き込みご飯にしたり。 天ぷらにしてみたり。 キノコは秋冬の主役食材のひとつです。
▲キノコの種類が多すぎて、名前をいつまでも覚えられないものも‥‥。 こんな感じのキノコは鍋に入れても美味しい♪
さて、そんなキノコたち。 秋が旬のものが多いですが、1年中手に入るものも。 中でも最もポピュラーで、 マルシェでもスーパーでもどこでも手に入るのが 「Champignon de Paris」 (シャンピニョン・ドゥ・パリ) =「パリのキノコ」 と呼ばれているものです。
▲こちらが「パリのキノコ」こと、「シャンピニオン・ドゥ・パリ」。 日本でもおなじみのマッシュルームですよね!
さてさて、 「パリのキノコ」って一体なんだ?! 実はね、これマッシュルームのことなんだよ。 その名の通り、 パリやパリ近郊で栽培されていたから 「パリのキノコ」って 名前がついているんだって。
▲こちらは「セップ茸」。 日本では「ポルチーニ茸」と言った方が馴染みがありますよね?? さっとバターで炒めてもおいし。 ポルチーニ茸のリゾットにしてもおいし♪
18世紀に入ってから、 パリの街並みを作るために掘られていた 石灰岩の地下採石場跡の洞窟で 栽培されるようになり、 ピークの時には パリやパリの外側だけで 400を超える場所で栽培されていたのだそう。
地下なので光が入らず、 1年を通して 安定した温度が保たれているため 栽培に向いていたそう。
パリの地下といえば、 パリ中にはりめぐらされていて、 「オペラ座の怪人」や「レミゼラブル」で 登場するシーンをすぐ思い浮かべますが、 マッシュルームまで ニョキニョキしていたのかと思うと パリの地下街への妄想がさらに膨らみます。
▲秋になるとキノコ売り場だけで相当の場所を占める パリのマルシェの八百屋さん。
残念ながら、工業的に栽培される 量産品との競争に負けて、 今ではほとんどの農家が 撤退してしまったそうなのだけど、 今でもパリ近郊で、 いくつかの農家は 昔と同じように栽培しているんだよ! いつもマルシェやスーパーで買っている量産品と 一体どんなふうに味が違うのか、比べてみたい。 ロックダウンが終わったら地下採石場あとの 「パリのキノコ」農家を 訪ねてみようと思ってるんだ。
▲スーパーでは1パック1ユーロなどと安売りされている 量産品が多いマッシュルーム。
フランス語がわからない頃、 どんなに見渡しても「 マッシュルーム」という単語がなくて、 マルシェに行っても「これ」って指差しでしか 注文できなかったボクたち。
皆さんもフランスのマルシェを 歩く機会があったら、 「シャンピニョン・ドゥ・パリ」 (パリのキノコ)って単語を探してみてね!
▲「パリのキノコ」=マッシュルームには真っ白いバージョンと、 こんなふうに茶色いバージョンがあります。
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2020-11-10-TUE