今日は、素敵なだけじゃない、
日常あらゆるところで油断できない、
おフランスの一面をお伝えするよ。

つい先日、ボクの弟分、
２歳のプチモンスターのベビーカーが、
保育園のベビーカー置き場から
盗まれてしまったよ‥‥泣。

プチモンスターが通っている保育園は、
とある大きな公立機関の建物が建つ
敷地内にあるという、
ちょっと変わったシチュエーション。
入るところでまず荷物検査があり、
敷地内は基本的に、
そこで用事がある人しか歩いていない。

その中にある保育園の向かい側にあるのが、
デジタルコードの鍵つきの
保育園利用者専用のベビーカー置き場。
そこからベビーカーが消えたんだ。

誰かが間違えて
持って帰ってしまったことを願って、
張り紙をしてもらって
１週間待ってみたけれど、
もちろんなんの音沙汰もありませんでした。

当事者としては悲しくて悔しくて、
ショッキングな出来事ですが、
まあ、これ、『フランスあるある』。

誰に話しても、
一緒に悔しがってくれるとともに、
「あ〜ベビーカーね。
よくあるんだよね。やられたね。」
という反応。
そのくらいフランスでは
日常的に起こる
盗難事件。

以前、このコラムで
自転車には、
もうその鍵だけでも重いんじゃないか
というくらいごつい鍵が繋げられ、
それでもサドルとかハンドルとか
部分的に盗まれることが
しょっちゅうあることや、
車のカーナビなども
盗難されることが前提にあるため、
標準装備ではなく
常に持ち歩くタイプの
取り外し可能なものが普通だ、
ということを書きました。

ベビーカーもそれと同じ。
油断したらすぐ盗まれます。
今回は、保育園専用の
しかも鍵付きの部屋ということで
ある程度安心していましたが、
きっと出入りする人の隙をついて
誰かが入って
持って行ってしまったのでしょう‥‥。

通学手段としても大人気のキックボード。
フランスの学校の前には
ずらりとキックボードが並ぶ姿が日常なのも
以前に紹介したけれど、
これももちろん、頑丈な鍵と道路の鉄柵を
繋げておくのが当たり前だったよね。

いつでもどこでも
盗まれるかもしれないことを前提に、
自分のものは自分で守る。
自己責任の国。
それでもやられちゃうんだものね‥‥。
悔しい‥‥。

▲ちなみに、こちらパリのディズニーランドでもベビーカー盗難はよくあると有名な話。
だから我が家はアトラクションに並ぶごとに
必ず鉄柵に鍵でとめて離れます。正直それでも心配なほど‥‥。

携帯、財布、ベビーカー。
フランスに住んで16年。
色んなものをやられてきたけれど、
私のなんて全然マシだ‥‥、
と思ったのが、つい最近盗まれたという、
友人ファミリーの買ったばかりの新車‥‥。

しかも、
「えええっ！　車ごと盗まれるの？！」
という衝撃事件。
ここ３年くらいの間に、私の周りで２人目。
多すぎません？？
３年で２回って、頻度が高すぎでしょ‥‥。
世界いちばんの観光大国のこの町で。

１台目は、もうボロボロだったけれど、
この国ではかなりレアで
皆が欲しがるというハイエース。
そして２台目は、前述の、
買ったばかりという新車。

どちらにしても、ある日突然、
停めておいたはずのところから
自分の車が消えているのです‥‥。
そのショックは計り知れません‥‥。

車の保険の内容にも
「盗難に対する保険」が
大きく掲げられていることを見れば、
この車両盗難も、悲しいかな
フランスではよくある話なのだと
実感せざるを得なくなります。

フランスでは１日265台の車が
盗まれているんだって。
「フランスで最も盗まれている車ランキング」
なるものも毎年発表されてるよ。
（ちなみに、2018年度の第１位は、
ルノーのClio�W）

このように、何もかもが
いつ盗まれてもおかしくないという、
人間が手で持てないような大きなものにも
常に注意を怠ってはいけない、
このおフランス。
日々神経を尖らせて生活しているよ。

▲公園で遊んでる間も、絶対に油断しちゃいけない
ベビーカーや自転車やこどものおもちゃ。
こどもも見なくちゃいけないしみんななにげに
あちこちに神経をとがらせてます。

だから、日本のスーパーの前で
籠の中に買い物したものを入れたまま
ずらりと自転車が並んでいる様子や、
ノートパソコンやカバンを置いたままの、
ファーストフードでの場所取りとかを見ると
ドキドキが止まらないボクたち‥‥。

パリに来たら絶対に油断しないでね！
悲しい思いをすることに
ならないようにね‥‥。

そうそう、車ごと盗まれるくらいだから、
相変わらず窓を破られて中のものを
盗まれるなんていうのは超日常茶飯事のおフランス。
このコラムを書いている時もね、
友人のアパートの地下パーキングで、
同じアパートの住人の車
合計26台が車上荒らしにあって、
窓を破られ中のものを盗まれたんだって。

日常茶飯事すぎて、
大切なものはもちろん車中に残さないのが
おフランス流なのだけどね。
それでも何かしら、
少しでも金目のものをと、
しょっちゅう事件が発生。
油断も隙もあったもんじゃない！
プンプン。

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！（2015年8月出版）