「病院でなかなか 診てもらえない?!」
フランスは先週末からサマータイムが終わり 冬時間になったよ。 だいぶ寒くなってきてね、風邪も流行中。 あちこちから子供が急な高熱でとか。 聞こえてくるんだけどね、 昨日もボクたちの友人の娘ちゃんが 高熱がおさまらず、 どうやら中耳炎のようだということで 病院の救急へ行ったんだけど、 なんと7時間も待たされて、 くたくたになって帰っていたよ‥‥。
▲これは昨日友人が子供と7時間待ったというパリの子供専門病院の「救急」待合室。 これでもすいている時だそう。
フランス、病院関係はとにかく予約制。 日本のように、ちょっと具合悪いから 耳鼻科へ、内科へ、小児科へ。 ちょっと歯が痛いから歯医者へ。 ということができないのです。
しかも予約を取ろうと思っても、 すぐに取れないのが当たり前。 眼科や歯医者が半年先まで予約が取れない、 なんていう話もよく耳にすることです。
虫歯が痛いのに 半年先しか予約が取れないとか。 意味がわからないし‥‥。 と思うのですが、この現実を知っているので 必ず定期的に前もって予約を入れておく、 という人も多いのがフランスなのです。
▲フランスは総合病院と言われるような大きな病院で 予約なしで見てもらうことはできず、街の開業医の診療所の予約をとり、見てもらい、 必要に応じて大きな病院での診察となるので診療関係には何事にも時間がかかる。
じゃあ、緊急の場合どうするの?! となると、最初に登場した「救急」に 駆け込むしかないんだよね。
自分で大きな病院の「救急」に駆け込むか (友人の場合は子供の病気だったので、 最初からパリにある 大きな子供専門病院に駆け込んだ。)、 もしくは「SOS医者」と呼ばれるものに 電話をして症状を説明して、 その症状にあった医者を家に派遣してもらって、 必要に応じて その医者の指示で病院行くという形だよ。
▲総合病院の「Urgence 」=救急入り口のマーク。 家に「SOS医者」を呼ぶか、ここで並ぶしか、予約以外の診療は基本不可能なフランス。
だから、日本であれば 街中のあちこちにある医者で 診察してもらうことで解決するようなケースも、 全て大きな病院の「救急」に集合してしまうので とてつもない混雑になるんです。
▲「小児科と産科の救急」につき、大人の救急の場合はこちらへ、 と、ここから一番近くの総合病院の住所が掲示されている。
例えば、昨日友人が行った病院は パリにある大きな子供専門の病院。 「救急」には高熱を出している子供、 怪我をしている子供、 持病が悪化している子供など ピンからキリまでのあらゆる症状の人が集結。 救急車で運ばれてくるような 今すぐ手術が必要な 「救急」も運び込まれるし、 それに比べたら大したことはないけれど、 親にとっては医者にみてもらいたい 「救急」に違いない、 39度の高熱で苦しむ子供など、 様々なレベルの「救急」が集合するのです。
だからその中での優先度が低いと、 待たされる時間もどんどんどんどん長くなり、 7時間も待たされるという今回のようなことが 当たり前に起こるのです‥‥。
▲小児歯科なども予約が取れないので有名なモノの一つ。 日本の歯医者と違い、医者が部屋の中で受付、診療、次回のことなどするので 1人1人に時間がかかる。 人気の医者は半年先まで予約は取れないので定期的に入れておく人が多い。
この春、ボクたちの友人(大人)が 突然耳の中で破裂音がして、 全く音が聞こえなくなり、 めまいと嘔吐が止まらなくなるという症状になり、 病院に搬送された時もね、 座ってもいられないようなめまいと嘔吐の状況で、 簡易イスしかない病院の寒い廊下で、 その辺に置いてあったゴミ箱 (すでにたくさんゴミが入っている)を渡されて ここに吐いて待っててねと数時間放置され、 本当にダメかと思ったと話してくれたよ。
その後、夜中の2時まで放置され、 たまたまその日に入院患者が1人減ったから そのまま入院してもいいよ、 となったんだって‥‥。
▲分業制もはっきりしているフランス。 なんと医者に見てもらったあと、必要な薬は処方箋を出してもらい 自分で薬局に買いに行くシステム。 昨日子供の「救急」で7時間待った友人も夜遅くにようやく終わった後、 夜遅くに開いている薬局を探しまくり、 ようやく抗生物質をゲットという苦労が‥‥。
フランス、医療制度とかで 素晴らしいなと思うことも いっぱいあるんだけど、 とにかく(取れない)予約を取らないと 医者にみてもらうことすらできないこと、 そして「救急」とはいえないくらい待たされる 「救急」に関しては、 大変だなあって思うことが多いんだ。
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2021-11-02-TUE