「お誕生日会に プロを呼ぶ?!」
フランスにはね、 「Animateur・Animatrice」 アニマトゥール(男性形)・アニマトリス(女性形) っていう仕事があるよ。 子供たちの誕生会で大活躍するこの仕事、 フランスではとても身近でよく耳にする言葉。
辞書には 『(集会・グループ活動などの)推進者・ リーダー・指導員・ (ショーや娯楽番組の)司会者・進行役』 などと出てくるけれど、まさに誕生会に集まった 子供たちをまとめて仕切る役割の職業のことだよ。
▲テーマに合わせてプロのお姉さんやお兄さんもその衣装を着て登場してくれる。 この誕生日の前は子供の数が多かったのでお兄さんとお姉さん両方いたパターン。
パリの誕生日会は基本的に 学校のない水曜日の午後か土曜日に開催されます。 (パリ市内の公立校は水曜日は午前中のみ、 私立校の多くは水曜日は丸1日お休みだから。)
幼稚園や小学生、 学校や近所の仲良しを招待して自宅や公園で 2時間から3時間くらいのパーティーが開かれます。
たかが数人でも大騒ぎになること 間違いなしの誕生パーティー。 親たちだけで頑張る人もいますが、 外部の力を借りようと、この時、雇うことが多いのが 「アニマトゥール・アニマトリス」と呼ばれる この進行役リーダーをする職業の人たちなのです。 自宅でも、公園でも、希望の場所に出張してくれます。
▲両親と一緒にいるときはかなりのわんぱくなタイプでも、 こんな時はちゃんとお兄さんやお姉さんの話を聞いているところが可愛い。
個人でやっている人ももちろんいるし、 パリだけでもたくさんの会社があって、 「誕生日のアニマトゥール」と調べるだけで 溢れるほどの情報が出てくるよ。
例えば、イベント会社のものをみてみると、 大体2時間で2万円前後。 時間が増えたり、または子供の人数が10人以上で 2人のアニマトゥールが必要になると その都度料金が変わっていくようなシステムだよ。
▲これは手品の塗り絵を見せながらお話をしているところ。 色のついてなかった塗りが一瞬でカラフルな色になって子供たちは大騒ぎ!
▲これはギニョール(人形劇)の人形を使ってお話をしているところ。 ず〜っと昔から変わらぬフランスではお馴染みの人形を使っているところが フランスらしくてオシャレに感じる部分。
細かい内容はその人のやり方や、 会社のプランによって違いますが、 大筋はほとんど同じ。
1.お誕生日のテーマを決めるとそのテーマに合った 衣装を着て準備し子供たちを迎えてくれる
2.子供たちが集合したら、テーマに合った フェイスペインティングをしてくれる
・年齢に応じたゲームなどをして遊ぶ ・音楽に合わせて踊ったりミニディスコ ・ケーキ&ろうそくフーのおやつ時間 ・人形劇をしたりお話を読んでくれたりする ・プレゼントを開ける時間を演出してくれる ・最後に風船アートでおみやげをみんなにプレゼント
▲これは子供たちが到着した直後、ほぼ必ずあるフェイスペインティングの時間。 だから水曜日と土曜日の夕方は フェイスペインティングをした子供たちを街のあちこちで見かけることに‥‥。
という感じです。 テーマは、「プリンセス」「海賊」 「中世の騎士」などが人気でよく見かけるもの。 それ以外にも「魔法使い」「ピエロとサーカス」 「スーパーヒーロー」「スターウォーズ」 「アナと雪の女王」「白雪姫」‥‥etcと なんでも希望に合わせてくれるのです♪
▲プレゼント開けタイム。 このお姉さんは主役の子供に目隠しをさせ、 それぞれのプレゼントを触って誰からのものか当てさせている。
多少お金はかかるものの、 自分たちで子供全員をまとめ上げ、 何かやるものを用意してやらせて面倒を見るのは なかなか大変なもの。 ヤンチャ盛りの子供たち。 家の中がはちゃめちゃになって、 疲れ果てたなんて話もよく聞くしね。 プロフェッショナルな「アニマトゥール」の お兄さん・お姉さんを頼りにする人が多いから、 フランスではとても馴染みのある職業なんだ。
▲少しシュールなこの古い人形劇のキャラクターがたまらない♪
お誕生日はね、 例えば今日紹介したような、アニマトゥールを雇って、 自宅や公園で開催するというもの以外に、 水族館、美術館、映画館、乗馬クラブ、 ロッククライミング、美術やダンスクラブetc 色々な場所・施設が「誕生日プラン」を設けていて、 そんな中から選ぶこともできるんだよ。
▲子供たちも招待状に書いてあるテーマに合わせて衣装を着ていくのが恒例。 我が家の息子、プチモンスターが初めて招待された幼稚園のお友達の誕生日は 男子ひとりで周りは全てプリンセスなのでした笑。
夏休み中の今は、 みんなバカンスで長い間留守にするので いったん、お誕生会は停止の時期。 また9月の新学期になったら水曜日&土曜日の お誕生会ラッシュが始まるよ!
*とのまりこさんの新刊が出版されました*
「シンプルシックで心地よい暮らし パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」 出版社 : 世界文化社 発売日 : 2021/5/29
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2021-08-03-TUE