みなさんボンジュ〜ル。
フランスは今月で年度末を迎えるよ。
中学・高校なんかは今月中旬から夏休み
（試験会場に使われたりなどの理由で
夏休みの入りがめちゃくちゃ早いよ）。
そして幼稚園や小学校も、あと１ヶ月で夏休み。
みんなの頭の中はすでにバカンスモード。
浮かれた空気がただよってるんだ。

「もう終わったも同然！」
という空気感あふれる年度末のこの時期は、
遠足なども増え、街中で子どもたちの集団を
見かけることが多い季節。
フランスの地方や近隣諸国からの
修学旅行でパリに遊びにきている
団体もよく見かけます。

車窓から見えるエッフェル塔に大興奮する
子どもたちの姿を眺めながら、
そういえば‥‥な今日のお話ですが、
パリで生活していると、
交通公共機機関（特にメトロなどの電車）で、
子どもに席を譲ってくれるということが
とっても多いのに驚きます。

電車が揺れるたびに倒れそうになっちゃう
幼稚園くらいの小さい子などにはもちろん、
ボクの家のプチモンスター（ただいま２年生）とか、
もうだいぶ大きくしっかりしているような
子どもにも譲ってくれる人が多いんだよ。

私は日本では小学校の頃から電車通学をして
過ごしましたが、学校でも家でも、
「お年寄りや体の不自由な人がいたら
席を譲りなさいね」と言われて育ちました。
むしろ子どもはいちばん若くて元気なんだから、
必要じゃない限り立つもの。
そんなふうに思っていたので、
小学生低学年くらいまでの子どもにまで
席を譲ってくれる人が多いパリが、とても新鮮。

もちろん、まずは妊婦さん、お年寄り、
松葉杖などついた人、白杖を持った人、
赤ちゃんを抱っこした人などが最優先。
そういう人にみんな席を譲っていますが、
それと並列して『子ども』が入ってくるのです。

何しろパリのバスやメトロの運転は荒くて荒くて
（日本の電車やバスなんて、
氷の上を滑っているのかと錯覚するくらい
スムーズで静かでびっくりするよ！）、
大人だってふらふらしちゃうことが
多いくらいなのが現実。
だから危険を少なくするために
子どもはできるだけ座らせるって思考も
あるのかもしれないけれどね！

皆の優しい気持ちにほっこりすることが
とっても多いんだよ。
しかもね、例えばボクの家のプチモンスターが
ひとつだけ空いている席に座るとするじゃない？
そうすると一緒にいるまりこちゃんに、
子どもと座れるようにって、
隣の席を譲ってくれる人もすごく多かったりするよ。

元気いっぱいの立っていられる子どもにまで
こんなに席を譲ってくれるんだ、と驚く
パリのメトロやバスだけど、
こうやって小さい頃から席を譲ってもらっているから、
優しさが自然に伝播して、大人になったら
当たり前に席を譲れる人になっていくのかなあ
なんて思っています。
それではみなさん、今週も良い１週間を！

＊とのまりこさんの本＊

「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！（2015年8月出版）