フランス大統領選挙で
盛り上がった５月７日の日曜日。

偶然にもボクのアパートのすぐそばが
マクロン新大統領の選挙事務所。
選挙報道が解禁される
投票終了の午後８時になると
（フランスでは投票所が開いている間には
一切の選挙報道をしてはいけない決まり。）
選挙事務所の方向から、
そして近所のあちこちのアパートから
大歓声が聞こえてきたよ。

▲家に送られてくる立候補者のチラシと名前の書かれた選挙用紙（当日の会場にもあるのと同じ）。

一国の大統領を
自分たちの投票で選べるフランス。
外国人の私たちには
残念ながら、当然選挙権はないけれど、
選挙会場とかってどんな感じなんだろう？！
とあらためて興味津々だったので、
友達何人にも協力してもらって
いろいろ実況中継で教えてもらいました。

フランス国籍を持っていて、
投票前日に18歳になっていれば
投票の権利があるフランスですが、
投票するためには
自分が住む市町村の役所に
有権者登録が必要。
この登録をすると、
「La Carte Électorale」
という有権者カードのようなものがもらえ、
投票権が獲得できるのだそう。

これを毎回選挙のたびに身分証明書とともに
持っていくと聞きましたが‥‥。
日曜日の選挙当日、私の友達のひとりは
カードを忘れて行ったそうで、
でも身分証明書さえあれば
問題なく投票できるとのこと。

えっ、そうなの？！
そんな適当な感じオッケー？！
と最初の「おフランス」な驚きでした。（笑）

指定されている投票所に行くとね、
有権者登録されているリストと本人を確認。

会場のテーブルの上には、
候補者の名前が印刷された紙と
封筒が置いてあるので
１枚ずつ取って、カーテンで仕切られたブースの中へ。

その中で、自分が投票したい人の紙だけを
封筒の中に入れ、ほかはゴミ箱に捨て、
投票箱のところに持っていくんだって。

▲投票しないほうの名前の書かれた紙を捨てるゴミ箱。かなり適当‥‥。

投票したい人の名前を書いたりと
有権者が何かを書く
ってことが、一切必要ないこのシステム。
名前の書き間違いで無効になることもないし
筆跡も残らないから
完全なる匿名性が守られているよ。

今回は決選投票だったので、
マクロン氏とルペン氏、
２人の名前の紙しかありませんが、
毎回候補者の数の分だけ紙が並ぶそう。

原則として、全員分の名前の紙を
取らなくてはいけない決まりですが、
これって、みんなちゃんと全部取って
ブースに向かうわけ？

とふと思い聞いてみたら、案の定
「マクロンの方だけ取った」
とか、
「大人数の投票の時は数人分しか取らない」
などの答えが返ってきました。
というわけで、あきらかに人気ある人の
紙の方だけが減っていたりするのだそうです。

名前の紙を封筒に入れたら、
投票箱に入れるよ。
（フランスの投票箱は透明だよ！）

１人１人、投票箱に入れて投票するたびに
係の人が「投票しました」と声をかけ、
ここでもまた有権者の名前のチェック。
自分の名前の横にサインをするんだって。

そして投票が終了していよいよ開票作業。
ここでまたも驚きが！
なんとこの開票作業、
一般市民がボランティアで参加するんだって。

ボクのお友達家族、
親子で開票作業に参加したよっていうから
もうびっくり。
しかもね、その開票作業ボランティア、
投票当日にその会場で
「手伝わない？」
なんてお声がかかり決まるらしい。
えっ、そんな感じ？！
当日決めちゃう感じ？！？！

今回はルペン氏の紙が入っていると
ちょっと当たりくじみたいな感じで
お〜と盛り上がったりしたそうで。

おいおい、
学校の学級委員の投票じゃないんだから
と、話を聞きながら爆笑。

さらに、封筒に入れられた
候補者氏名の紙、
何か紙に少しでも書いてあったりしたら無効。

が、今回、マクロン氏の紙に
キスマークをつけていた人がいるらしいのですが、
なんとそれは有効になったらしい‥‥。

▲以前の「パリこれ！」でもご紹介しましたが、
　こういうポスターはすぐにいたずらされます。

えっ、まじですか。
それ、ありですか？！
とまたまた驚きの大爆笑。
すごいなおフランス。
大統領選挙の様子を聞いてるだけで
もう驚くことがたくさんです（笑）。

ボクはね、当選確実になって
パリ市民や報道陣で大盛り上がりの
マクロン選挙事務所の前を散歩したよ。

事務所前を警備中の警官のお供、
シェパード君に向かって
吠えてけんかを挑んだら、
そこにいたみんなに笑われちゃった。
まったく、失礼しちゃうな〜。

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！