バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


2 1 7

「パリではご近所さんの
 生活が丸見え?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2 1 7
「パリではご近所さんの
生活が丸見え?!」

バブー

ボクとまりこちゃん。
パリで12年一緒に過ごしている間、
4カ所の違うアパルトマンで
暮らしてきたんだけど。

どこに引っ越しても
ご近所さんの生活が丸見えだったり。
そして丸見えなことを、
どうやらみんな気にしていないことを
とっても不思議に思います。

とのまりこ

日本のお家ってカーテンに加えて、
白いレースみたいな薄いカーテンもついていて、
日中はその薄い方を閉めておけば
日は入るけれど外からは見えなかったりしますよね?

さらに、以前
「フランスの窓には網戸がない」
という回がありましたが、
日本の家には網戸がついているので、
さらに中が見えにくかったりしますよね?

一方パリのアパルトマンを観察してみると、

分厚いカーテンはついていない窓が多い。
薄いカーテンがあっても
束ねてあったりして閉め切ってない家が多い。
窓の外についている鎧戸しか
遮るものがない窓も多く、
鎧戸を閉めない限り、中が丸見え。

などなど、わりと中が見えてしまう
環境が多いのです。

バブー
さらに、
カーテンや鎧戸など中が見えないようにする
環境はあったとしても、
特に気にせず開けっ放しで
見えたままにしている家もすごく多いんだよね。

パリの一般家庭には
基本的にクーラーもないから、
暑い日にはカーテンも窓も開けっ放しにして
風通しをよくして涼むしか方法もないしね。

とにかく、窓やテラスから外を眺めると、
ご近所さんのお家の中が丸見え
っていうことがすごく多いんだ。

とのまりこ
「ゲイの街」として
有名なエリアに住んでいた時は、
同じアパルトマンの住人の
半分以上がやっぱりゲイで、
お向かいさんも斜め下も斜め上も、
しょっちゅう裸の男性が窓を横切ったり、
裸のまま窓際でタバコを吸っていて
「ボンジュ〜ル♪」
なんてご挨拶したり。

また違うエリアのアパルトマンでは、
お向かいさんのバスルームとトイレが丸見えで。
トイレに座って新聞を読んでるムッシューとか。
朝の通勤前に忙しそうに
ほぼ裸でバスルームを走り回るマダムとか。
まるでトイレとバスルームでの「家族劇場」を
見ているようだったり。

かなり上の方から広範囲を見渡せる
今のアパルトマンからは、
屋根裏部屋に住む若者が
(やっぱり常にパンツ一丁で)
ベッドに寝っ転がりながら
テレビを見ている姿とか。

楽しそうに夕ご飯を食べていたのに
いきなり夫婦喧嘩が始まって、
お母さんはキーキー文句をいい、
お父さんはそんなお母さんを無視して
タバコを吸い、
横で子供が大泣きしてる‥‥。
みたいな姿とか。

オシャレな独身パリジェンヌちゃんが
窓辺のテーブルでカフェを飲みながら、
パソコンを開いて作業している様子とか。
様々なパリっ子たちの人間模様が垣間見れます。

ちなみに、アパルトマンの外壁工事などのために、
足場が組まれ、何ヶ月間も工事の人たちが
昼間作業をするということも多いパリですが、
そんな時でもカーテン開けっ放しに
している家が多いです。

目下、足場が組まれて工事中の
我が家の向かい側のアパルトマンを見て
あらためてパリの「人のことは気にしない。
だから開けっぴろげで平気です?!」的な
考え方を目の当たりにしています。


▲その工事中の我が家の向かい側。
 お昼休みで工事のムッシューたちはいない時ですが、
 ムッシューたちが作業している日中、
 カーテンや鎧戸の閉まり具合は常にこんな感じです。

バブー
こっちから全部見えているということは、
もちろん向こうからも見えているということ。
でもお互いにお互いを
特に気にしていないっぽい。

アパルトマン同士の距離が近いと、
話している内容まで
よく聞こえちゃったりするけれど。
その辺も特に気にしないっぽい。

ボクの飼い主まりこちゃんも、
そんな「周りのことは特に気にしない」
というパリっ子スタイルに
すっかり慣れちゃって、
カーテンも窓も開けっ放したまま
着替えちゃったりすることもあるしね。。。

こんな感じ。
当たり前になるとけっこう楽チンで。
ボクは割と気に入ってます。

 


※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

 

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

 

2016-09-06-TUE


まえへ
トップへ
つぎへ
illustration:Jérôme Cointre