「引き算の考え方が 日本と違う?!」
今までも色々お伝えしてきた フランスの数字や算数のこと。 割り算の筆算が摩訶不思議なやり方だったり、 引き算は足し算で考えたり?! 「70」や「90」などの数字が 覚えるだけでとっても大変な言い方だったり。
日本の当たり前から考えたら と〜っても不思議なことが多い算数関係。 今日は再びその算数の不思議。 「フランスの繰り下がり引き算」編 をお届けするよ!
繰り下がりの筆算に苦戦する子供たちに 「こっちから10借りてくるでしょ。 だから貸してあげたから1減るでしょ。」 なんて説明したら、 フランスの学校に通う子ども達の頭の上には はてなマークがいっぱい。
というのも、フランスで習う 繰り下がりの引き算はなんと、 繰り下がった後は下の段の数字に「1を足す」 というやり方だから。 これは百聞は一見にしかずだと思うので、 例題を色々ご覧ください。
▲小学校2年生の参考書。 「0から6は引けなので10-6をして4を書く。 10の位(下の段)に1を足して6-(5+1)=6-6=0をすると説明されてます。
どう?! もうこれは一体なんでなんだろう‥‥ 絶対に「1貸してあげたから1減らすでしょ」 って考えた方がわかりやすいのに‥‥ ってボクたちは思っちゃうんだけどね。
▲こちらは小学校3年生の参考書。 こちらも桁が増えていますが考え方は一緒。 でもなんだか筆算のあちこちに「1」が書かれていて わかりにくい‥‥と思うのは私だけでしょうか?!
▲考え方を理解するように、こんなふうに丸の空欄に数字を入れて 筆算をやらせる問題まであるのですが、こういうのとかわかりにくい泣! こういうのがあるので日本式で先に教えてしまったら フランスの学校でフランス的考え方が登場したときに混乱しないかがかなり心配‥‥。
これ、もう何年も何年も、 一体どうしてこうやって考えるの?! と、悩み続けている問題なのですが、 いまだどうして下の段に「1を足す」のか 私の疑問は解決していません(笑)。
フランス人というフランス人に、 (フランス人の数学の先生、 学校の先生をしている人なども含め) そしてフランスの学校に子どもを行かせている 日本人たちにも片っ端から聞きまくったのですが 全員、理由は分からないと言いました。
でも唯一、なんとなくの想像で、 「こうだからじゃない?」 と多くの意見で共通しているのが、 『フランス人は引き算を足し算で考えるから =引き算が苦手な人が圧倒的に多いから』 (例えば、10-7= の答えは7に いくつ足したら10になるかと考える 詳しくは 以前のコラム をご覧くださいね!) ということでした。
つまり、 「10あげたから10の位の数から1を引く」 と考えるのが難しい。 例え「引く1」でもすぐ分からない人も多いので、 だったら下の段に「1足す」方がスムーズだと。
▲ちなみにフランスの学校に通う子供たちの教科書だけじゃなく、 今回これを書くにあたって、本屋さんで小学生の参考書並んでいるもの 全てをチェックしてみたのですが、唯一この参考書だけは なぜか一つ目に日本式の解法と「このやり方が学校で最も使われる方法」と書かれていて、 「えっ?!?!」っとなりました(ちなみにフランスの会社の参考書)。 2つ目の解法はフランス式のが書かれており、このせいで私はさらに混乱(笑)。。。
さてさて、 一体どちらがわかりやすいんだろうね?! ボクたちにとっては日本で習った 「繰り下がりがあったら上の段の数字から 1を引いて次の計算を考える」 っていう方が圧倒的にわかりやすいような 気がしちゃうんだけど、 「繰り下がりがあったら、 代わりに下の段の数字に1を足す」 っていうのも慣れるとわかりやすいのかな?! さてさて皆さんはどうでしょう?!
*とのまりこさんの新刊が出版されました*
「シンプルシックで心地よい暮らし パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」 出版社 : 世界文化社 発売日 : 2021/5/29
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2021-10-19-TUE