バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「留年や飛び級が
あたりまえ?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「留年や飛び級があたりまえ?!」

バブー

ボクのファミリー、プチモンスター。
あと2週間で、3年間通った
フランスの幼稚園過程を終えるよ。
夏休みを挟んで、9月からは
フランスの小学校に入ります。

「年度末に先生たちにあげる
プレゼントとかはどうする?!」
「9月に向けてカルターブル
(フランスの小学生のランドセル)を
用意しなくちゃね!」
なんて保護者たちの会話の中、
「うちの子はもう1年、
年長さんに残ることにしたわ。」
なんてママ友からの話も。

フランスの学校ってね、
留年や飛び級が
当たり前のようにあるんだよ。

とのまりこ
「留年」という言葉は
なんだかマイナスなイメージを持ちますが、
勉強面や生活面、ついていけないことがあれば
無理をせずにもう1年同じ学年にとどまる。
というのはフランスでは割と耳にすること。

留年を決めた息子のクラスメイトは、
小学生になるとお勉強面が一気に増えること、
生活面での自立具合などなどを考え、
今の担任の先生や1年生の担任の先生とも
何度も話し合って、
もう1年、幼稚園生をやることにしたのだそう。
息子本人にも、どうしたいか聞いて
話し合って決めたそうです。

バブー
フランスでは、学校側からの
「留年」「飛び級」の提案もある一方、
親から相談することもできるんだよ。

そして学校側から提案があった場合でも、
親と学校で話し合い、同意のもとで最終的に
「留年」「飛び級」が決まるんだって。

とのまりこ
もちろん「留年」には、
ただただ学業をサボっての留年という
マイナスの意味のものもあります。
(これは学校や住んでいるエリアによる
住民の層などに大きく関係していると
思われます。
そしてレベルの高い中学高校などでは
優秀な生徒だけを残すために
「留年」か「退学(=転校してください)」を
選ばせるというのもよく耳にする話です。)

でも一生懸命やっていても、
生活行動面や学業面で
不安な部分がある場合、
無理をせずにゆっくり進む。
積極的な意味での「留年」も。
みなそれがあるのが当たり前だと思っている、
そして幼稚園からそれが存在するのは
とてもいい制度だなと感じています。

同じく「飛び級」も当たり前。
息子のクラスでは幼稚園に入った1年目、
半年くらいたったところで
クラスメイトが飛び級をして1つ上の学年に
移動したりもしましたし、
クラスメイトのお兄ちゃんが
小学校最終学年をすっ飛ばして
中学に入学したりというのも見て来ました。

バブー
「飛び級」だったら
いいイメージだけどね、
今まで一緒だった友達と
違う学年になってしまう、
クラスでいちばん年下なのに
勉強面ではとてもできて目立ったりするから
からかわれたりいじめられたりの
対象になることもあるなど、
大変なこともあるんだって。
だから「飛び級」を先生から提案された時に
とても悩んで家族で話し合ったって
聞いたりしたよ。

公立学校に関しては無償のフランス。
「留年」が多すぎて政府の負担が増えるので
最近はとにかく「留年」をできる限りさせない
という方針に変わっていて、
昔は「留年」だったようなレベルでも
進級させてしまうようになったので、
「留年」自体はだいぶ減っているみたいだけどね。

それでも「留年」「飛び級」が
当たり前に存在するフランス。
プチモンスターの学校の中でも
毎年のように「留年」「飛び級」を目にするんだ。

 

 

 

 

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出版社 : 世界文化社
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2023-06-20-TUE

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illustration:Jérôme Cointre