いきなりですが、クイズです。
ジャジャーン。
まるで象の鼻？！
のようなこの太いホース。
一体なんでしょう？！

答えは
「クーラーから出ている、排出のためのホース」。
美しいパリの建造物に。
この、スタイリッシュとは言えない
象の鼻クーラー。
これが、パリのクーラーだよ！

「こんな太いホースで、
扉開けっ放しになっちゃったら、
クーラーにならないやん！」

というツッコミ。
そう、その通り♪
これこそがパリのクーラーなのだ！

本格的な暑さが続いている日本？！
みなさんお元気でしょうか？？
こちらパリはカラッとした
ヨーロッパ特有の湿気のない夏。
日差しは強いけれど割と過ごしやすい
最高の夏を迎えています。

が、そんなパリでもたまにある猛暑の日々。
先々週くらいも、ヨーロッパ全体が
猛暑に見舞われている、
というニュースが
日本でも流れていたのでは
ないでしょうか。

本来は夏でもクーラーは必要ないのが
パリの夏。
（同じフランスでも例えば南仏の方には
クーラーが完備されていたりします。）
ところがここ数年は、
お年寄りや赤ちゃんなどが
命の危険を感じるほどの灼熱地獄が
定期的にパリにもやってくるようになりました。

摂氏38度、39度という数字が並び、
バスやメトロの中は蒸し風呂サウナ状態で
乗り込んだ瞬間汗がダラダラ流れる暑さ。

日本のように、どこか扉の中にさえ入れば
涼しい場所が待っているということがないから
（むしろ乗り物の中の方が暑いという正反対。）
逃げ場なく１日中過ごす感じ。

さすがのパリもクーラーがないと大変だと
店舗などが導入しているのが

「この太すぎるホース付き、
窓やドアからホースを
出すしかないクーラー」

なんだよね。

▲これがフランスのクーラー。
ものすごい太いホースがお店のドアからにょっきり出てます。
カッコ悪いしクーラーの意味があるのか‥‥と疑問も（苦笑）。

歴史的建造物ばかりのパリ。
建物に勝手に穴は開けられないという
厳しいルールがあります。
さらに室外機は景観を損ねるため
外には置いてはいけないなど、
基本的に日本のようなクーラーは設置不可。

▲歴史的建造物ばかりのパリ。景観的にも室外機設置はNG。
確かにこの美しい建物に室外機がついてしまったら
美しくないものねえ‥‥。

たとえ穴を開けてもよい建物だとしても
建物住人全ての許可を得なくてはいけないとか、
ただでさえ仕事がのんびりなおフランスでは
開けられることになったとしても
大変な工事になるなど、問題だらけ‥‥。

というわけで、
こんなにカッコよくない
巨大なクーラーを設置し、
室外機の代わりに太いホースを
窓やドアから出すしかないというわけなのです。

一般家庭には
まだまだ普及していないけれど
（だってこんなに大きなもの、相当ジャマ！）
それでもここ数年のあまりの猛暑続きで、
購入する家もちらほら増えてきました。

ブティックやレストランなど
客商売のところは導入しているところが
かなり増えていて、
パリを歩いているとこの
象の鼻のようなホースを
あちこちで見かけます。

見た目の通り、
けっこう格好悪いものなので、
パリの景観的にはちょっと残念です‥‥。

猛暑といえば、先々週はね、
６月最終週に予定されていた
「ブルベ」という中学の卒業試験を、
７月頭、次の週に延期するってことを
教育省が急遽決定したくらいの
猛暑予報だったんだけどね。

灼熱地獄の中で
試験を受けないでよかった‥‥
だけで終わらなかったのが、おフランス。

▲ボクは暑い日もふとんにもぐってお昼寝zzz...

試験が終わってすぐに
バカンスに出発する予定だった人たちも多く、
そんな急に試験日程を変更されてもと
さあみんな困った！
電車や飛行機のチケットを
取ってしまってるからね。

バカンスの予定だったのに
変更を余儀なくされるとか、
高いチケットをキャンセルして買い直しとか、
そんな人が周りにもけっこういたのだけど。

なんとなんと、バカンスへのチケットなど
証明を提出すれば、特別に９月に
試験を受けることができるという
救済措置まであったらしい！

全国規模の試験日程の変更を、
たった数日前に決定してしまった
フランスの教育省にもびっくりしたけど、
（日本だったら批判の嵐じゃない？！
猛暑の中で試験やらせても、
日程を直前で変更しても
どっちにしろ批判の嵐じゃない？！）
バカンス行くから試験受けられないから、
バカンス明けに受けさせてもらうっていう
救済措置にもびっくりじゃない？！

さすがバカンス大国おフランス。
「ビバ、バカンス！！」

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！（2015年8月出版）