バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「奥深い
フェーヴの世界?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「奥深いフェーヴの世界?!」

バブー

今月はフランスの伝統菓子
「ガレット・デ・ロワ」の月だね。

ずっと前のこのコラムの中でも書いたように、
1月6日の「Epiphany」(エピファニー)の日に
切り分けて食べる習慣だけど、
クリスマスが終わったくらいから1月いっぱい
お店によっては2月頭まで、
パン屋さんやパティスリーでガレットが
山のように並べられるよ!

ここ数年で日本でも一気に
「ガレット」習慣が
広がったようなイメージがあって、
今年も「どこのガレットを食べた」
「フェーヴはこんなのだった」って
色んな人が写真を送ってくれたけれど、
みなさんももう食べたかな?!


▲我が家も今月せっせと食べているガレット。
フェーヴだけでなくお店によって王冠のデザインが違うのも楽しいポイント♪

とのまりこ
ガレットの中に入っているのが
「フェーヴ」と呼ばれる陶磁器でできたもの。
フランス語で「そら豆」という意味の「フェーヴ」。
昔は本物のそら豆がガレットに入れられていたため、
今でも「フェーヴ」と呼ばれ続けています。

この「フェーヴ」、
どんなデザインが出てくるかも楽しみだし、
当たったら大人も嬉しいし
(子供たちはフェーヴ欲しさのあまり、
自分が当たらないと機嫌を損ねてしまう子も♪)
毎年ちょっとずつ集めたくなってしまう
アイテムですが、実際にいるんです。
ものすご〜くたくさんのフェーヴを集める
コレクターたちが。


▲私のフェーヴ師匠でもある友人mikaさんのフェーヴコレクションのごく一部。
様々なシリーズがありシリーズの全てを集めるのがコレクターの基本のひとつ。
ひとつだけないのがあったりすると一生懸命探すのだそう。

バブー
フランスでは定期的に
フェーヴコレクターたちが集まる
「フェーヴサロン」なるものがあったり、
貴重なアンティークフェーヴの
取引相場が記載されている本まであるんだよ!


▲毎年開かれるフェーヴ専門のサロン。
フェーヴは小さいものなのでみためちょっと地味ですが、
この中にお宝がいっぱい。フェーヴマニアたちがこぞって集まります。


▲アンティークシリーズなど貴重なフェーヴの市場取引価格がわかる
(作られた年代によっても値段が変わる)こんなマニアックな本まであるのだそう!
「Des fèves @ tout prix」 Monique et François Joannès 共著/出版

とのまりこ
私がフランスに来てまもない頃からの
友人のひとりが、
たまたまこのフェーヴコレクターだったため、
ガレットやフェーヴにまつわる
色々なことを教えてもらい、
フランスにはフェーヴコレクターなる人が
いっぱいいることを知りました。

ちなみに、1年ほど前から、
この友人に力を借りて、
フランスの素敵なフェーヴをひとつずつ紹介する
インスタ
もしているので、
よかったら見てみてくださいね!

「なんのために集めているの??」
なんて最初の頃聞いてしまったりしましたが、
そんな質問は邪道‥‥(笑)。
「好きだから」としか答えられないそうです。


▲最も貴重なものであるアンティークシリーズのフェーヴが紹介されている本。
「1870年から1940年にかけてのもの」というタイトルからもわかるように
本当に古くからの歴史があるフェーヴ。

バブー
ボクたちの友人でもありフェーヴ師匠でもある
mikaさんはね、
1992年にパリに住み始め、翌年の1月、
ご主人が初めて近所の「ダロワイヨ」で
ガレットを買ってきたのが、
フェーヴに出会ったきっかけなんだって!


▲これが私のフェーヴ師匠であるmikaさんが1992年初めて出会ったときの
「ダロワイヨ」のフェーヴ。ペンダントヘッドになるデザイン。

中から「フェーヴ」が出てくる楽しいお菓子に
びっくり&感動して、それ以来、
毎年食べるたびにフェーヴが増えていくのが
楽しくなって、
コレクションするようになったんだそう。
初めてのフェーヴをゲットした1月に
長男くんが生まれて29年間、
息子さんの成長とともに
フェーヴを集め続けているんだよ。


▲有名パティスリーの人気のお菓子をそのままモチーフにしたフェーヴなど、
コレクターでなくてもフェーヴを楽しみに毎年ガレットを買う人も多い、
フランスの1月の風物詩。

とのまりこ
ちなみに、かなり高額で取引される
貴重なものも多いそうで
(特にアンティークと言える古いもの)、
mikaさんのもっている中では
この王冠のフェーヴが
最も貴重なもののひとつなんだそう。


▲mikaさんがもっているフェーヴコレクションの中で最も高価なもののひとつがこの王冠。
最も歴史のあるアンティークシリーズのフェーヴとして図鑑にも出てくる貴重なもの。

「Les fèves des rois」 Huguette Botella - Monique Joannes 共著
1994年 出版社:Editions du Collectionneurs

これは85ユーロ(約11,050円)で
買ったそうですが、
それでも相場に比べたら
まあまあ安いのだということ。
コレクターの世界って奥が深い‥‥。

フランスにはフェーヴ専門の工房もあって、
「どこどこの工房で何年に作られた
なんというシリーズ」というように、
フェーヴひとつひとつに
物語があるのだそうです。

日本でしか手に入らない日本のフェーヴも、
フランスのコレクターたちの中では
人気が高いそうで、知れば知るほど
面白いフェーヴの世界!


▲毎年のフェーヴが全てわかる本。
これを見ればどこの工房で何年に作られた何というシリーズのフェーヴなのかが一目瞭然!
フェーヴの図鑑です♪

バブー
みなさんは何か
コレクションしてるものって
ありますか??
今日はガレットから出てくる
フェーヴの話だったけど、
フランスには何かのコレクションをしている人も
いっぱいいるよ。
切手、シャンパンのキャップ、
カフェオレボウル、ユーロコインetc‥‥。

それぞれの分野のコレクターの人たちに
話を聞いてみたら面白そうだね。
またフランスの
マニアックなコレクションについても
別の機会にご紹介するね♪


▲毎日いたずらばかりして怒られまくりの2代目バブー(1代目よりかなりワルい‥‥)は
今日も夜中の間にガレットの王冠を噛み砕いてズタズタにしておりました‥‥。

※今日の写真のほとんどはmikaさんに提供してもらってます。
ありがとうございます。

 

*とのまりこさんの新刊が出版されました*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2022-01-11-TUE

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illustration:Jérôme Cointre