| 田島 |
ぼくね、今日、
スナック初体験です。
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| 都築 |
初体験ですか。
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| 田島 |
いわゆる「飲み屋」さんには
もちろん行きますけど、
スナックというのははじめてで。
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| 都築 |
スナックは、
「お酒を飲む場所」としては
日本で最も多い形態なんですけど‥‥。
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| 糸井 |
田島くん、もしかして、
ダンディー‥‥なんじゃない？
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| 田島 |
そんなことないですよ。
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| 一同 |
（笑）
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| 田島 |
スナックのおつまみは、柿の種とか
「かわきもの」が
出てくるんですよね。
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| 都築 |
そうです、そうです。 |
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| 田島 |
あのですね‥‥、
ちょっと申し上げていいでしょうか、
この企画。
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| 糸井 |
はい。
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| 都築 |
どうぞ。
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| 田島 |
だいたい、カラオケって、
お酒が入って
調子よくなった感じで
歌うものなんじゃないでしょうか。
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| 糸井 |
ええ、当然、そうですよね。
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| 都築 |
うん。
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| 田島 |
だけど今日は‥‥
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| 糸井 |
外は、陽がまだありますね。
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| 都築 |
でも、プロだしねぇ。
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| 糸井 |
そうそう、プロだし。
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| 一同 |
（笑）
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| 田島 |
いや、その‥‥あ、
みうらさんは？
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| 糸井 |
遅刻です。
みうらの事務所はこの近所で、
近いやつほど遅刻するという
あのパターンです。
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| スタッフ |
（横から）
‥‥いま、みうらさんから
「走って向かっております」
というご連絡が。
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| 糸井 |
「無駄なことはするな、
走らなくていい」
と伝えてください。
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| スタッフ |
（電話口で）走らなくていい、と
糸井が言っております。
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| 一同 |
（笑）
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| 都築 |
ゆっくり来てください。
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| 田島 |
それまでにスナックに慣れておきます。
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| 都築 |
でもね、田島さん。
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| 田島 |
はい。
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| 都築 |
一度「スナック飲み」に慣れちゃうと、
普通のバーが、なんだか静かで
つまんなくなっちゃうかもしれませんよ。
ぼくはもう、
ふつうにジャズとか聴いて飲んでもなぁ、
なんて思っちゃいます。
バーは、隣に座ってる関係ない人と
話しちゃいけない雰囲気でしょ？
話が完全に聞こえるのに
聞こえないふりするけど、
スナックは逆。
みんな入っていきますから。
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| 糸井 |
そこは、居酒屋さんとも
違うわけですね。
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| 都築 |
スナックのほうが
距離が近い感じです。
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| 田島 |
そうですね‥‥
何だかこの空間には
「縁があってここに」
という感じ、しますよね。
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| 都築 |
スナックだと、関係ない同士が仲良くなって
デュエットとかしてますから。
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| 田島 |
そうか、歌があって‥‥。
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| 都築 |
そうそう。
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| 糸井 |
ずいぶん前だけど、
俺はスナックに
毎日通ってた時期があるんですよ。
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| 都築 |
糸井さん、たしか‥‥
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| 田島 |
飲めないのに？
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| 糸井 |
ええ、飲みもしないのに、
毎日スナックに行ってました。
夜９時をすぎると、毎日
先に行ってる奴らから
「遅刻ですよ」という電話がくるんですよ。
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| 田島 |
そういうところで、みんな
持ち歌とか歌うんですか？
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| 糸井 |
そこは、カラオケはなかったな。
だけど、ヘンなギターが置いてあって。
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| 都築 |
ヘンなギターですか（笑）。
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| 糸井 |
それと、ピアノあったっけなぁ‥‥いや、
ピアニカだ。
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| 都築 |
ピアニカ。ずいぶん違うものですね。
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| 田島 |
そうですね、
ピアノとピアニカじゃ‥‥。
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| 一同 |
（笑）
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| 糸井 |
なにしろ、カラオケはなかったけど、
文化としては、そこは完全に「スナック」でした。
スナックって、やってきたお客さんを
店に入れてあげるかどうかの
検問があるでしょ。
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| 田島 |
そうなんですか。
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| 糸井 |
それは客、店、お互いに
あるわけです。
自分が気に入ったからって、
向こうにだって
断る権利ありますよ、遠まわしに。
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| 田島 |
遠まわしに（笑）。
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| 都築 |
空いてんだけど
「満席です」
というようなこともあるでしょうね。
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| 糸井 |
そういう微妙な排他性が好きです。
俺の行ってた店は、
ママがものすごく選別したわけ。
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| 都築 |
人生道場みたいだな。
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| 糸井 |
30年も前の話ですけどね。
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| みうら |
（駆け込んできて）
ごめんなさい。
こんにちは、どうもお久しぶりです。
あ、どうも。
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| 田島 |
お久しぶりです。
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| 都築 |
どうも、こんにちは。ごぶさたしてます。
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| 糸井 |
みうら、この昼間っから
カラオケ、乗れる？
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| みうら |
いやもう、走ってきたから、
いま、ガンガン乗ってますよ。
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| 糸井 |
鼓動を上げてね。
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| 一同 |
（笑）
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| みうら |
ええ、すぐ歌えますから。
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| 糸井 |
都築さんは、
みうらと同じぐらいの歳ですか。
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| 都築 |
そうです。ぼくは昭和31年です。
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| みうら |
じゃ、都築さんは
ぼくよりふたつ先輩ですね。
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| 田島 |
ぼく、その
10年あとです。
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| 糸井 |
そうなの？
じゃあ、俺とはもう‥‥お父さんくらいの。
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| 田島 |
はい、お父さんくらいの。
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| 一同 |
（笑）
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| みうら |
糸井さんは、ぼくの唯一の上司でね。
今日は、上司に呼ばれて
やってきたわけです。 |
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（まだまだはじまりです。つづきます）
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