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ほぼ日手帳

糸井重里

・30歳になったかならないかのころ。
 矢沢永吉さんが、こんなことを言ったのを憶えている。
 「よくグレているっていうことばがあるけど、
 あれは、ハグレてるんだよね。
 どっちに行けばいいか、どこにいればいいのか
 わからなくて、迷子になってるんだよ」。
 語源の説明としてあってるのかどうかは知らないが、
 とても説得力があって、なにかと思い出すことがあった。

 帰れる場所、行き場がひとつでもあれば、
 つまりほんとうにハグレてなければ、
 そこからなんとかやり直せるという例が多いらしい。
 非行に走った少年が、どこにも受け入れられないとき、
 唯一、甘く優しく迎え入れてくれるのが
 本格的な悪い組織だったりする場合もあるとも聞く。
 「受け入れてくれる」って、すごいことなんだよなぁ。

 世の中には、いろんな種類の「人の群れ」がある。
 それぞれにいいところもあるし、変わったところもあるし、
 なんなら実際に悪いことをする集団もある。
 じぶんになじみのない集まりに参加したら、
 「みんな◯◯の話ばっかりしていて、つらかったよ」
 なんてこともありそうだ。
 その群れのなかでは「◯◯の話ばっかり」しているのは、
 きっとごくごく自然なことなのだろうけど。

 「同じ羽の色の鳥は集まる」というけれど、
 その集まった鳥どうしは、受け入れ合ってるんだろうね。
 どこに行ったら、じぶんという鳥は受け入れられるのか。
 どういう鳥なら、この群れに受け入れるのか。
 実は、そんなやりとりが繰り返されているのかもしれない。
 じぶんはどうなのか、あんまり考えずに生きてしまったが、
 いままで、いろんな人によく受け入れてもらえてたなぁと、
 ほんとにありがとうございますという気持ちになっている。
 それって、じぶんが否定されてないってことだし、
 これだけでも、たいしたありがたいことだ。
 否定されてない、居場所がある、なんなら理解されている。
 これはもう、水と空気と同じくらいに大事なことだよね。

今日も、「ほぼ日」にきてくれてありがとうございます。
受け入れられているという安心があれば、ひとりにもなれる。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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