| 糸井 |
あのねぇ、
あの歌は、名作なんだけど‥‥
演歌があるとき、
「愛」って言葉を
使い出したんですよ。
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| 田島 |
ああ、わかる、あの歌だ。えーっと‥‥
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| 糸井 |
時代が終わった、と思いました。
「愛しても愛しても、ああ他人の妻」
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| 都築 |
「さざんかの宿」ですね。
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| 糸井 |
美空ひばりさんも
「愛燦燦」を出されたりして‥‥
あのあたりが何かの分かれ目でした。
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| 都築 |
うーん、「愛す」という概念か。
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| 糸井 |
それまでの価値だと、
「愛」なんて、おかしかったんですよ。
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| 田島 |
そうですね。
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| 都築 |
それは、あの頃から
演歌の主力リスナーが
おばちゃんになっちゃった、
ということがあるんじゃないでしょうか。
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| みうら |
そうだ、それだ。
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| 糸井 |
「愛してる」って言いますね、
おばちゃん。
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| 田島 |
言う。
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| 都築 |
その前は、
演歌は「おじさん」のものだったんです。
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| 糸井 |
そうだね。
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| 都築 |
いろんな意味で、
身につまされる気がします。
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| みうら |
世の中が
おばちゃん化してるね。
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| 糸井 |
ところで、みうらさん、
一曲どうですか。
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| みうら |
ぼくですか。
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| 糸井 |
選曲してくださいよ。
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| みうら |
ぼくね、実は
カラオケがあんまり好きじゃなくて、
ほとんど行かないんですよ。
特に、カラオケボックスになってから
「客が聴いていない」ということが
よくわかったので、
「これはがんばる必要がない」
と思って、行かなくなっちゃったんです。
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| 田島 |
わかります。
カラオケボックスは聴いてないですよ。
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| みうら |
ねぇ？ だから‥‥
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| 糸井 |
だけど、スナックだと
聴くでしょう。
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| みうら |
え？
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| 都築 |
聴いてるふり、
というのもあるでしょうけども、
スナックは基本的に聴いてます。
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| 糸井 |
ボックスは
歌の冊子を見るのに大変でしょう。
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| 都築 |
ぶあつい本に指とか挟んだり。
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| みうら |
何本も挟むんだよね。
しかも、一曲歌ったら
次がすぐ入ってるじゃないですか。
ああいう余裕のない感じが
気に入らないです。
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| 糸井 |
スナックは違いますよ。
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| みうら |
そうですよね。
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| 一同 |
（笑）
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| 糸井 |
で。
あえて選曲するとしたら、
何になるんですか。
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| みうら |
何でしょう、
ぼくが数少ないカラオケ体験で
歌った歌といえば、
「トラベリン・バス」
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| 糸井 |
ルイジアナ！ ですよね。
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| みうら |
それと、
「たどりついたらいつも雨ふり」です。
それしかないです。
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| 都築 |
そうなんですか。
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| みうら |
はい。
しかも、（吉田）拓郎さんじゃなくて
モップスバージョンのやつです。
みなさん、お好きであればそれを‥‥。
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| 都築 |
いいじゃないですか。じゃ‥‥
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| 糸井 |
「ラヴ・イズ・オーヴァー」
やったらどうですか。
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| 一同 |
（笑）
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| みうら |
泣きますよ、俺。
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| 一同 |
（笑）
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| みうら |
泣くの、よくないですよね？
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| 糸井 |
いやいや、
ここで人生初、
「ラヴ・イズ・オーヴァー」を。
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| 都築 |
ええ、感情を込めてお願いします。
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| 糸井 |
ナンだったら、みんなで合唱しますよ。
「悲しいけれど！」って言いますよ。
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| 田島 |
もちろんです。
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| 都築 |
ねぇ。
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| みうら |
最後ね、欧陽が‥‥
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| 糸井 |
欧陽が。
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| みうら |
「悲しいよ」って
言うんですよ。
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| 糸井 |
あ、言いますね。
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| みうら |
あれがたまらないんです。
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| 一同 |
（笑）
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| みうら |
ワタシカナシイヨ、そう言うんですよ。
そこまでの歌詞では
男を励ましてたはずなのに
最後にひとことだけ、
わたしも悲しいよ、って言います。
しかもその部分、字足らずなんですよ。
音符に対して、歌詞が短い。
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| 糸井 |
「悲し〜いよ〜」
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| みうら |
あれが、泣けます。
たまらないです。
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| 糸井 |
かけましょう、とにかく。
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| みうら |
‥‥あ、かけるんですか。
そうですか、
みなさんも歌えるわけですもんね。
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| 糸井 |
みんなで歌いましょう。
みんなで、
ラヴをオーヴァーしましょう。
これは
昔のみうらさんを
励ます会です。
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| 一同 |
（笑）
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| 都築 |
台湾パブみたいな感じで、
いいですね。
（つづきます！） |
