| みうら |
ところで、今日は何の「会」でしたっけ。
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| 都築 |
歌、歌ですよ。
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| 田島 |
そうです、歌にいかないと。
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| 糸井 |
「カラオケはええなぁ」
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| みうら |
そういう会なんですか。
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| 糸井 |
はい。
歌というと聴くばっかりだけど、
カラオケといえば、みんな歌うでしょう？
なんだか「それは、ええなぁ」と思ってさ。
みんなが「歌う歌」を好きになると
歌の流行り状況も
変わるんじゃないかなぁ、と思うんです。
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| 田島 |
いいですね。
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| 糸井 |
近ごろは、
歌えない歌が多い気もします。
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| 都築 |
いま、若い女の子で、
古い歌をめちゃくちゃうまく
歌うヤツがいますよ。
これほどオヤジにモテるのはないです。
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| 田島 |
へぇえ。
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| 糸井 |
女の子ふたりで「恋のバカンス」とか
歌うわけでしょ？
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| 都築 |
「松の木小唄」とか
歌っちゃう人もいますよ。
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| 糸井 |
そりゃあ、好かれちゃいますね。
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| 都築 |
めちゃくちゃ好かれます。
彼女たち、その歌が流れた時代には
生まれていないわけです。
「どうしてこんなの知ってるの？」
って訊いたらね、
「歌詞がおもしろいから」
ですって。
「いまの歌詞はつまんない。
でも、昔の歌謡曲の歌詞はおもしろい」
そんなふうに、歌詞から歌謡曲に入る子、
いるみたいです。
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| 糸井 |
そうかぁ。
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| 田島 |
ぼくも、歳を経るごとに
歌謡曲が輝いて見えてきます。
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| 都築 |
おお、そうなんですか。
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| 田島 |
確実に、５年前よりもいまのほうが、
かっこよく思えます。
はっきり加速してます。
以前、「ほぼ日」で
糸井さんが前川清さんのことを
書いてらっしゃいましたので、
実は今日、ここに来る前に聴いてみたんですよ。
何曲か聴いて、
「そして、神戸」でぶっ飛びました。
すごいっす。
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| 糸井 |
ありえないでしょ。
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| 田島 |
ありえない。
子どもの頃からずっと知ってましたが、
あんなに歌がすごい人だとは
思っていませんでした。
こんなソウルシンガーがいたんだ！ と
驚きました。
「そして、神戸」のサビがね、
どう言ったらいいんだろう、
自分の欲望を歌ってるわけじゃない、
よくわからない間接的なことばかりを
歌ってるんですけど‥‥
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| 都築 |
間接的なことばかり。
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| 一同 |
（笑）
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| 田島 |
だけど、ものすごく熱いんですよ。
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| 都築 |
うん、うん。
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| 田島 |
あの差が、ヤバいっす。
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| 都築 |
前川さんのあのあたりの曲は
演歌というよりはムード歌謡でしょう。
ムード歌謡って、
前川清さんや森進一さんのような人たちが
男の声で、女になって歌う。
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| みうら |
そういえばそうですね。
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| 田島 |
「噂の女」あたりもそうです。
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| 都築 |
いわゆる歌舞伎の女形は女装しますけど、
男のまんま、男の声で、
「ねぇ」「あたしが」と歌うことを
誰も不思議に思わない。すごいですよね。
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| 糸井 |
「抱いて」って、
オールバックで髪なでつけてる状態で
言われてもねぇ。
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| 都築 |
そうなんですよ。
そういう「いちばん遠い奴」が、
しかも、ぴんから兄弟のように
ダミ声でハスキーだったりしてるのに
女の気持ちを歌ってる。
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| 田島 |
しかも、それがなんだか
男らしいんです。
男らしい、女らしいって、
ヘンな感じ。
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| 糸井 |
海外の歌には、
男が女の気持ちを歌った曲って
あるのかな？
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| 田島 |
あんまり聞いたことないです。
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| みうら |
「ラブ・ミー・テンダー」という場合はやっぱり
男から女への言葉ですね。
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| 都築 |
もしもプレスリーの歌を
女の歌手が歌う場合は、
sheをheに直したりしますよね？
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| 田島 |
そうですね、
言葉、直します。
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| 都築 |
ああいう女歌はきっと
日本だけなんじゃないでしょうか。
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| 田島 |
女歌を歌うと、
気持ちいいんですよ。
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| 都築 |
そうなんですか。
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| 田島 |
ぼくもたまにカラオケで
女歌を歌います。
すると、なんだか妙に
乗ってくる部分があります。
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| みうら |
何だろうな、それ。
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| 田島 |
しかもそれを
女っぽくは歌いたくないんですよ。
女言葉を、おもいっきり
男っぽく歌うのが、
そうとう快感なんですよ。
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| みうら |
わはははは。
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| 糸井 |
それは、本職が言うんだから、
重要だね。
（つづきます） |
