Le salon de Marie マリーな部屋

「パンがないのだったら、ケーキを食べればいいのに。」と、
マリー・アントワネットは言ったのだそうだ。
どうせ、そういう話はよくできたウソなのだろうが、
ケーキがパンのかわりになると思っているマリーの気持ちが、
もひとつよくわからない。
ぼくは、ケーキを食べて腹をふくらませることなんて、したくない。
マリーはどうかしている。

しかし、とんでもなくお菓子が好きな人間というのは、
ほんとうにいる。ぼくは、そういう人を、ひとり知っている。
しかも、マリーという名である。日本人だ。
彼女は言った。
「わたしは、パンも食べるし、ケーキも食べる」
なんのこっちゃ?

そのマリーは、お菓子のことを語るときと、
お菓子を食べているときだけ
ほんとうに真剣な表情をみせる。怖い。
悪いひとじゃないのだろうが、怖いのはほんとうだ。

そんなマリーが、
「いま、ぜったいにたべるべきお菓子はこれだ!」と
ほんとうに真剣に語るのが、ここ。
「マリーの部屋」なのだ。
わたなべ まり プロフィール
illusttarion koharu

豊穣の秋、新栗小形羊羹です。

長かった夏のあと
やっと秋になったかなと思う間もなく
足早に冬がやってきそうなここ数日。
朝夕の冷えこみ、きびしくなってきましたよね。


秋って、こんなに短かったかな?と
思わず、記憶にある以前の四季と
くらべてしまう自分がいます。


そんな束の間になってしまった感のある
秋ですけれど、
そもそも、豊かな収穫を祝う季節。
きびしい冬をしのんで芽吹いた春の小さな命が
夏の陽ざしをうけてぐんぐん成長して
実りをもたらす豊穣の秋に、
今年も
この時期だけの特別な逸品がお目見えしました。

信頼と安心のこの包み、とらやさんの羊羹です。


いつもと変わらない包装紙をひらくと、



いつもと変わらない品のよい箱が。


鐶虎(かんとら)のしるしのある
墨色の箱のなかは、

新栗の小形羊羹です。


びしっと並んだ
栗を思わせる黄色の箱に
「新栗」の文字。


ここまでシンプルな佇まいに
潔さを感じます。
そして、その姿勢はやはり
この栗羊羹への自信がなせる技かと。


栗がごろごろと入っている栗蒸しとは
様相がちがって
すべてが栗、の羊羹です。


あくまで新栗の風味をそのままに
とらやさんの羊羹の頃合いのよい
固さや歯ごたえなど
究極の調和と言いましょうか。。。

こっくりとした食感と
ふわっとひろがる新栗のかおりと味わい。
人差し指くらいの小さな羊羹のなかに
濃厚と芳醇が詰まってます。


新栗に、お腹も心も満たされる秋がゆくと
霜月が過ぎて、まもなく師走。
そろそろ聞こえてくる冬の足音に備えつつ、
どうか、よい初冬を迎えられますよう。




わたなべ まり

ネコ科の虎と、分類はいっしょ
(正確には、哺乳綱食肉目ネコ科というそうです。)
わが家の愚ネコ〝ぐり″、今日も太平です。。。


あ、ちなみに
箱に押された鐶虎の紋ですけれど、
室町時代後期から歴史を刻むとらやさんの所蔵品のなかで
もっとも古く確認できる史料は
江戸は延宝の頃の、一部に螺鈿が施された箱だとか。
菓子の道ひとすじに打ちこまれる
歴史の重み、たゆまぬ努力と革新に
圧倒されます。




boutique où je l'ai acheté 今回、買ったお店

今回のお菓子は、とらやの小形羊羹「新栗」。
季節のお菓子で、秋の限定商品として
数量限定で販売をしています。
(ことしの販売は終了しています。)

ことし収穫した新栗に、白餡を加えて、
食べやすい小形サイズに。
栗の羊羹といえばほっくりした「栗蒸し羊羹」を
思い浮かべますけれど、これは練り羊羹で、
ねっとりとした食感とくっきりした甘さが特徴です。

とらやではこんなふうにいろいろな
季節のお菓子を発表していますが、
いま(2025年11月20日から)、
2026年の干支である
「午」(うま)にちなんだ
限定パッケージの小形羊羹
を発売中ですよ。

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