Le salon de Marie マリーな部屋

「パンがないのだったら、ケーキを食べればいいのに。」と、
マリー・アントワネットは言ったのだそうだ。
どうせ、そういう話はよくできたウソなのだろうが、
ケーキがパンのかわりになると思っているマリーの気持ちが、
もひとつよくわからない。
ぼくは、ケーキを食べて腹をふくらませることなんて、したくない。
マリーはどうかしている。

しかし、とんでもなくお菓子が好きな人間というのは、
ほんとうにいる。ぼくは、そういう人を、ひとり知っている。
しかも、マリーという名である。日本人だ。
彼女は言った。
「わたしは、パンも食べるし、ケーキも食べる」
なんのこっちゃ?

そのマリーは、お菓子のことを語るときと、
お菓子を食べているときだけ
ほんとうに真剣な表情をみせる。怖い。
悪いひとじゃないのだろうが、怖いのはほんとうだ。

そんなマリーが、
「いま、ぜったいにたべるべきお菓子はこれだ!」と
ほんとうに真剣に語るのが、ここ。
「マリーの部屋」なのだ。
わたなべ まり プロフィール
illusttarion koharu

桃カステラのひなまつり

今日は、桃の節句。
だんだんと、あたたかくなってきました。


虫たちが
土の中から顔を出しはじめる啓蟄も
あと、3日。



ひなまつりだから、
桃カステラと、ひなあられを用意して
書き始めようとしたのですけど、
なんとなく、既視感が。


あれ? と思って
去年のこの部屋をのぞいたら、
桃カステラを書いてました。。。わたくし。
用意する前に、先に見ようよ、わたし。


そういえば、
文庫本も、面白そう! と思って買って帰ったら、
本だなに同じものが。。。なんてことも
ざらになってしまってるここ最近。
気をつけないと。


でも、せっかくの桃カステラ。
今年のは、
弘化元年(1844年)から続くお店のものです。



しかも、もうひとつ
ここにきてわかったのが、
桃カステラは、長崎の郷土菓子なのですね。


小さい頃、毎年、
近くに住む祖母が贈ってくれてたので、
すっかり、ひな菓子の定番と思いこんでいて
ひなまつりには、みんな桃カステラをほおばるもの、と
勘違いしてました。これまで。


思えば、祖父母は九州の生まれなのです。
ふるさとを離れても、その地の馴染みのものを
贈ってくれていたのだなぁ、と。
ひなまつりの度に、少女の頃の桃カステラを
なつかしく思い出していたのかなぁ、と。
見送って10年も過ぎるのに、
そんな思いに、やっと気づく早春です。



そして、
ひなまつりといえば
ひなあられ。


これは、いうまでもなく全国区ですよね。
このひなあられは、豆もしっかり入っていて
食べごたえがあるのです。
節分菓子も書こうと思いながら
あららと思ううちに過ぎてしまったので、
その分も、今年はしっかりと豆菓子を。


ひなあられの隣りに、おこしもあって
つい手がのびました。
きなこおこしの黒糖風味だそうです。


おこしは、穀物のつぶつぶを飴で固めた菓子で
あられは、ちいさく切って炙った米餅という違いとか。
おこし、あられ以外にも、
おかき、せんべい、揚げ餅と
米菓はいろんな広がりがあって、奥深いですよね。


そういえば、ひなあられは
関東と関西でちょっと違うという話も。
もっというと、東海も違うとか?


地図の上では数センチ違うだけだけど、
その地、その地で育まれていく郷土菓子は
ゆっくりとそれぞれの色を織りなしていくものなのですね。


今年も、どうか
よい桃の節句を。


わたなべ まり


boutique où je l'ai acheté 今回、買ったお店
茂木一まる香本家

「桃かすてら」(「茂木一まる香本家」)は、
長崎かすてらを桃の形でまるく焼き上げ、
フォンダン(すり蜜)をかけた伝統菓子。
フォンダンというのはヨーロッパの焼き菓子で
デコレーションに用いる材料で、
お砂糖と水を煮詰めてから温度を下げて、
力いっぱいかき混ぜることでクリーム状にしたもの。
バウムクーヘンやシナモンロールでもおなじみです。
ちなみに、長崎の「かすてら」は、室町時代末期に
南蛮貿易を通じてやってきた渡来菓子。
それがひなまつりのための
「桃かすてら」になったのは、
大正時代のことだといわれています。
茂木一まる香本家は、江戸時代から続く老舗の菓子店。
中国から伝えられたといわれる、
中が空洞のふしぎな焼き菓子
「一〇香(いっこっこう)」で知られています。

大心堂雷おこし

「きなこおこし、ひなあられ」は、明治30年創業の
雷おこし専門店「大心堂雷おこし」のもの。
ひなあられは、ほんのり甘いあられに、
北海道の黒大豆と山形の青大豆、
千葉の落花生をまぜており、ひなまつりの時期限定。
きなこおこしは、千葉の落花生を使ったおこしに、
きなこをたっぷりまぶしたお菓子で、
こちらは通年商品ということです。

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