| 糸井 | 
                            今回の「睡眠特集」をはじめるにあたって、 
      まずは、高橋先生に 
      お話をうかがってみたいと思ったんです。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            ああ、それは、なんだか恐縮です(笑)。 
      でも、わたしがトップバッターなんですね。 
       
        | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            このあと、池谷裕二先生に 
      脳研究の立場から「睡眠と記憶」についてお聞きし、 
      そのあと、井上昌次郎先生からも 
      お話をおうかがいしようと思っています。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            ああ、それはいい。 
      とくに井上先生は、睡眠研究の第一人者ですから。 
       
      睡眠とはなにかについて、 
      総論的なお話が聞けるんじゃないでしょうか。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            はい。で、なぜ高橋先生にトップバッターを 
      お願いしたのかと申しますと‥‥。 
       
      ずっと思ってたんですが、「睡眠」のことで 
      みんな、あんまりいい思いをしてませんよね? | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            はい、そうでしょうね。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            つまり「わたし、睡眠に満足しています!」と 
      言いきれる人って、なかなかいないと思うんです。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            ええ、そうでしょう。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            そこでみんな、「睡眠のせい」にしたがる。 
                                 
      昨日は何時間しか眠れなかったから‥‥と 
      いいわけのようにして、 
      仕事の失敗とか、ストレスとか、 
      わが身の不幸そのものを 
      睡眠に押し付けちゃうってところ、ありますよね? | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            ええ、ええ(笑)。 
                                 
                                  | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            だから、今回の「睡眠論」をつうじて 
      ちょっとでも眠りのしくみを知ることができたら、 
      じつは、いろんなことを 
      睡眠のせいにしてたことなんかが、わかるはず。 
       
      そして、それは同時に、 
      睡眠の質を向上させることにも 
      つながってくるんじゃないかと思ったんです。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            なるほど。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            先生はいま、味の素の研究施設で 
      アミノ酸について研究されていますよね。 
       
      で、そのアミノ酸研究というのが、 
      同時に「眠り」の研究にも重なってくるんですよね。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            はい、おっしゃるとおりです。 
                                 
      非必須アミノ酸のひとつである 
      「グリシン」を就寝前に摂取することで、 
      寝入りばなに深い睡眠があらわれやすくなる、 
      ということについて、研究をしているんです。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            深い睡眠があらわれる、というのは、 
      よく眠れるってことですよね。 
       
      で、それは「睡眠の質が改善される」、 
      つまり「満足のいく眠り」であると 
      言っていいんじゃないかと思ったんです。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            ええ、けっこうでしょう。 
                                 
      深い眠りをつくりだしてくれる 
      「睡眠物質」のひとつとして、 
      グリシンには可能性があるのではないかと 
      考えていますから。 | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            ですから、 
      先生の「睡眠とアミノ酸」というお話をつうじて、 
      「満足のいく眠り」ってなんなんだ、 
      そもそも、そういう眠りがあるのかということを、 
      この「睡眠特集」の最初に、 
      まずは、おうかがいできたらと思いまして。 | 
                          
                          
                            | 高橋 | 
                            なるほど‥‥なるほど。 
                                 
      わかりました。 
       
      じゃ、「満足のいく眠り」について、 
      ちょっと、ご説明していきましょうか。 
       
        | 
                          
                          
                            | 糸井 | 
                            よろしくお願いします。 
                                 
      <つづきます> 
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