ポルトガル人のホセ・モウリーニョが
インテルの新監督としてミラノに到着した時、
彼はまさに「特別な人」として姿を現し、
「私はすべてに勝利して来ました。
　インテルでも全てに勝利するでしょう」と、
堂々と語りました。
それはこの７月のことでしたが、
これを見たイタリア人たちは、
こういう性格の男が必要だ、
我々のサッカーを豊かにしてくれるこんな勝利者が、と
色めき立ったものです。

しかしそのわずか３ヶ月後、
モウリーニョは数々の約束を守れないまま、
石油業者のモラッティ会長に破格の金額で、
クアレスマ（3000万ユーロ）、
ムンターリ（1600万ユーロ）、
アマンティーノ・マンシーニ（1500万ユーロ）を
購入させ、
ヒメネスの途中解約のためには1100万ユーロの
代償金を支払わせました。
ここ２シーズンのスクデットを楽々と勝ち取り、
2006-2007シーズンにはカンピオナートで17連勝し、
38試合で合計97点を取ったチームを「補強」するために、
支払われた金額は、7000万ユーロを上回ります。
好成績をあげていた前監督のロベルト・マンチーニを、
もはや気に入らないとして解雇したモラッティ会長が、
年俸1100万ユーロという金額で、
世界で一番支払われる監督として契約したのが、
ポルトガル人のモウリーニョだったのですが、
その甲斐もなく、
インテルはカンピオナートで低迷しております。

モウリーニョ、選手を罵倒。

そして10月26日の日曜日、
ジェノヴァと引き分けに終わった試合後の、
いつもの記者会見時の会場に驚きが走りました。

その試合中に、モウリーニョは、クルス、バロテッリ、
オビンナを激しく罵っており、
それはテレビカメラに撮影されていました。
そして、だれもが
「記者会見では、
　モウリーニョもトーンを和らげるだろう」と
思っていたのですが、この監督は
「インテルは、クルスとバロテッリと
　オビンナのせいで負けた。
　最後のふたりは若いので許すが、
　クルスは10月29日のフィオレンティーナ戦には
　出さない」
と言って、事態を更に悪化させたのです。

イタリアでは、
公の場で監督が選手に責任を転嫁するなど、
見た事がありません。
そして、この事にたいするリアクションは
荒っぽいものでした。
更衣室に戻るや、クルスとモウリーニョ間で、
かつて見た事もない言い争いが勃発したそうです。

モラッティ、金策に悩む？

その同じ夜のこと、インテルのアドリアーノと、 ACミランからお許しを得たロナウジーニョが、 真夜中のディスコ巡りを朝の４時半まで続けました。 同日朝の10時頃に 半分酔っぱらったまま練習場に現れたアドリアーノを、 モウリーニョ監督は家に帰します。 そして翌日もまたアドリアーノは遅れて現れ、 モウリーニョは、 彼もフィレンツェには連れて行かないと怒鳴りました。 いやはや、モウリーニョとインテルの 蜜月期間は終わっってしまったようです。 そして、１月のカルチョ・メルカート再開時には、 モウリーニョはモラッティに、 またもや大金を使わせるでしょう。 モウリーニョ監督の希望は ナポリのハムシクと、 サンプドーリアのカッサーノです。 この購入に5000万ユーロほど、かかるでしょうから。 モラッティはこの大金を使いたくないでしょうが、 出来ないことでもありません。 もしカンピオナートや UEFAチャンピオンズ・リーグで勝てなければ、 その責任の全てが会長である彼に かかることでもありますし。 モウリーニョは、 チェルシー時代にもそんなふうでした。 チェルシーのアブラモヴィッチ会長は 彼を解雇しましたが、 モラッティにはそれが出来ません。 インテルは目下、インテルを解雇されて 無職でいるロベルト・マンチーニに、 年に600万ユーロ支払っており、 それは彼の契約が終わる2013年まで続きます。 それに加えてモウリーニョに1100万ユーロを 契約の２年間支払うとなれば、えらいことです。 モラッティ会長は素晴らしく困難な事態に 追い込まれたわけですが、 なにしろ富豪ですから、 うまく脱出するのでしょう。 ただ倫理道徳面で考えると、 この世界規模の経済危機にあって、 そのような出費は正にスキャンダルを呼ぶでしょうね。

結局インテルは、10月29日（水）の 対フィオレンティーナ戦も引き分けましたね。 11月２日現在で、 インテルのセリエＡの順位は３位ですが、 １位には、いつの間にやら宿敵ACミランが‥‥。