プローディ首相の辞任。
1月24日、21時09分、
ロマーノ・プローディが618日間在職した
イタリアの首相を辞任しました。
これを受けて、
イタリアは総選挙に向かおうとしています。
日取りについては、
ナポリターノ大統領が決めるでしょう。
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議会で失神とシャンパンとお祭り騒ぎ?! |
その日、イタリア上院には怒号や悪口雑言が飛び交い、
議論の果てに失神する議員までおりました。
プローディ内閣が、上院での信任投票において、
賛成156票反対161票で敗北したのです。
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シルヴィオ・ベルルスコーニにあやつられている野党は、
古代ローマの元老院時代から
イタリアにとって神聖な場所である上院で
シャンパンを抜いて勝利を祝い、飲み食いしたあと、
お祭り騒ぎをするために街にくり出しました。
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イタリアは不思議な国です。
日ごとに経済状態が悪くなっているというのに、
政府が不在になったからと言って、
それを飲めや歌えやのお祭り騒ぎの
チャンスにしてしまうのですから。
ともかく、ベルルスコーニは
首相に新たに立候補する準備をしています。
いつもどおりテレビに現われ、
「祖国の救世主」を装い、
自分を宣伝するチャンスを逃しません。
たぶん総選挙は4月に行われるでしょう。
彼はクジャクが羽根を広げるように、
デモンストレーションを計っています。
彼のACミランをも、いや、
ことさらACミランを引き合いに持ち出しながら。
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ベルルスコーニのおもうつぼ‥‥? |
3週間前のことですが、
ACミラン対ナポリ戦の試合1時間前に
サン・シーロ競技場に到着した彼は、
彼のチームであるACミランが勝ち取った
18個の国際的なカップとともに、
写真やテレビのためにポーズしながら、
このようなことを言いました。
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「世界中でだれもACミランのように勝利してはいない。
私のように勝利した者はいない。
私はイタリアの、ヨーロッパの、世界のチャンピオンだ。
私の味方につく者は勝利する‥‥‥」と。
ベルルスコーニにとってACミランは宣伝の素材、
会長である彼の広告のための商品なのでしょうか。
彼に任せればイタリアも彼のACミランのように勝利する、
という印象を与えるために、
彼は常に勝者でいることを望みます。
もちろん、そうは行かない、
彼の思いどおりにはならないと、ぼくは願いますが、
20年前にセリエBに降格されて
破産の崖っぷちにいたACミランを買い、
世界一のチームにのし上がらせたこの男に、
魅せられているイタリア人はまだ沢山います。
ACミランは目下、
カンピオナートでは低迷していますが、
チャンピオンズ・リーグではまだ闘っており、
彼が展開する買い物の数々は、
チームに新たな次元をもたらすでしょう。
1月には、2200万ユーロで購入した
18歳のパトをデビューさせました。
彼はナポリを相手にとんでもないゴールを決め、
来シーズンにはセンセーションを巻き起こすのは
確実と思われます。
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ベルルスコーニは続けます。
「ロナウジーニョ?
我々はポールポジションにいるのですよ。
もしバルセロナが彼を売るなら、
彼を買うのは我々です。
ザンブロッティ?
彼はすでに、ACミランが彼のお気に入りだと
言っています」
彼の口から出てくるのは、
ほかでもない選挙戦のために、
「いつもの通り」の大きな約束、約束、約束‥‥。
「私はACミランにおこなったことを、
イタリアにもおこなうだろう」
これは彼の選挙スローガンです。
ACミランを勝たせたように、
イタリアを勝たせます、ということです。
プローディ内閣不信任の結果で、
イタリア人たちはベルルスコーニに屈服した
格好になりました。
果たして、総選挙の結果は‥‥?
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訳者のひとこと |
プローディ内閣は連立与党でした。
連立の一翼をになっていた欧州民主同盟の離脱で、
与党が上院では少数になってしまったのです。
つまり、ねじれてしまったのですね。
フランコさんは、
サッカーチームの会長ごときが
首相になるべきではないと言っているのではなくて、
その会長の品性ややり方がいかがなものかと
心配なさっているのです。
ひとりのカリスマが国を統制する危険性は、
ムッソリーニのファシスト党時代を
思い出すまでもないことでしょう。
ところで「シャンパン」と表記した単語ですが、
イタリアだからスプマンテ?
とも思いましたが、
原文にchampagneとあるので
シャンパンにしました。
イタリアでもシャンパンは
「より高級」なイメージを与えるのです。 |
翻訳/イラスト=酒井うらら |
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