メルカート2008夏。
イタリアのカンピオナートでは、
インテルが16個目のスクデットを獲得しました。
これからメルカートが本格的に展開し、
いちばん面白い核心部分に近づこうとしています。
優勝したインテルは、
ユーロッパで最も権威のある
UEFAチャンピオンズ・リーグ次期大会に
このまま参加できますが、
カンピオナートで4位までに入れず
5位に終わったACミランは、
UEFAカップの方に出場することになります。
この結果にACミランのベルルスコーニ会長は激怒し、
最高級のアタッカーたちをメルカートで買うようにと
命令しました。
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ベルルスコーニ、誰をねらう? |
ベルルスコーニのねらいは
バルセロナのエトーかロナウジーニョのどちらかと、
チェルシーのドログバです。
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たしかにバルセロナは、この2人のチャンピオンを
売りに出しているのですが、その値段は、
ロナウジーニョが2500万ユーロ、
エトーが3000万ユーロで、
今のところ過剰な金額に見えます。
この値段ではと、ベルルスコーニが目を向けたのは、
世界で最も金持ちのひとりである
ロマン・アブラモヴィッチのチェルシーです。
チェルシーは先頃のUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝戦で
ユナイテッド・マンチェスターに敗れましたから、
チームを大きく、全てを改革したいでしょう。
ただし、ドログバについては、
その値段が4000万ユーロと決まっており、
イタリアのチームが、かつてこの金額を
一人の選手のために支払った記録はありません。
それほどの高額です。
ACミランには、アズーリのメンバーとして
世界チャンピオンになった
ザンブロッティが来ることになってはいますが、
彼はディフェンダーです。
ACミランの本当の目的である
センター・フォワードについては、
まだほとんど手つかずで、
これから決めなくてはなりません。
ベルルスコーニはシェフチェンコの
呼び戻しも考えています。
彼の希望は「無償で」ということなのですが、
チェルシーはこのウクライナ人選手について
1000万ユーロを要求していますから、
この話もまだ未解決です。
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モラッティのねらいは‥‥。 |
いっぽう選手を手放すことについて、
ACミランはガットゥーゾをバイエルン・ミュンヘンに
売らない、としています。
それでもメルカートで
大きな商売をする必要があることに変わりはありません。
このチームは消耗していますからね。
カカとパトを除いては、
将来を託す若い選手がいないというのが悩みです。
さてスクデットを勝ち取ったインテルですが、
今年は100歳を迎えたお祝いもしましたし、
勢いに乗っているマッシモ・モラッティ会長は、
メルカートでもセンセーショナルな買い物を
したいでしょう。
そして彼もベルルスコーニと同様に、
チェルシーの方を向いていますが、
石油業者のモラッティ会長が望んでいるのは、
ミッドフィルダーのフランク・ランパードです。
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インテルが最初に提示した1500万ユーロは
チェルシーに突き返されましたが、
近日中にも増額されるのではないでしょうか。
ランパード自身はイエスと言っているようですが、
この取引に道を開くのはチェルシー会長の
アブラモヴィッチですから、
彼がOKと言わないことには話が進みません。
このほか、サンプドリアがレアル・マドリードから
呼び戻したカッサーノにも、
インテルは興味を持っています。
カッサーノはカンピオナートで
良いプレイをしていますし、
EURO2008のためにアズーリに招集されてもいます。
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イタリアサッカーのもうひとつの大チーム、
ユヴェントスは、パレルモから
ブラジル人のアマウリを買いました。
やはりEURO2008に呼ばれているデル・ピエロや、
トレセゲらと一緒にプレイするアマウリを、
来シーズンは見られるというわけです。
ACミランとユヴェントスにしてみれば、
2年続けてインテルにスクデットを
持っていかれましたから、
チームを強化して対抗しなければなりません。
カンピオナート2008-2009のシーズンは、
ここ2年間とは間違いなく
様子が変わることになるはずです。
八百長スキャンダルの混乱からの建て直しも進み、
かつてのように、インテル、ユーベ、ACミランが
激突する大舞台としてのカンピオナートが
もどってくると、ぼくは期待しています。
しかし、他のチームは、
ただそれを眺めているだけなのでしょうか?
訳者のひとこと |
UEFAカップは、
惜しくも自国のカンピオナートで、
UEFAチャンピオンズ・リーグに出場できる順位の
すぐ下にいるチームが参加する大会だそうです。
弱いチームからすれば、
そこに参加できることも一つの目標でしょうが、
ベルルスコーニ会長は、さぞやご不満でしょう。
彼にすれば、カンピオナート優勝、
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝すら当たり前、
世界一のチームでなければ私のチームではない、
くらいに思っているでしょうからね。
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翻訳/イラスト=酒井うらら |
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