

- 今日はよろしくお願いします!

- こちらこそよろしくお願いします。
とても楽しみにしてきたのですが、
わたしでよいのでしょうか?

- もももも、もちろんです!

- わたしたちのほうこそ、
このような集いに瀬尾さんをお迎えできて感激です。
どうぞ、珍味をたのしくご一緒に!

- はい。では、遠慮なく楽しませていただくことにします。

- さっそく珍味を、となる前に、
「珍味研究ゼミナール」なりの
珍味とはいったいどの範囲をいうのか、
というのを定義したいと思うのです。

- 珍味って、「珍しい味」って字で書きますが、
それを全部ひっくるめてしまうと、
なんだか範囲が広すぎるような気がしています。

- 「珍しい味」全般にしてしまうと広すぎる、
ということですね。
なるほど、そうですね。
ちょっと考えてみましょうか。

- わたしが今回珍味を買う前にちょっとしらべてみた
全国珍味商工業協同組合連合会の定義を
ご紹介します。
あ、ちなみに、「全珍連」と略すようです。

- ぜんちんれん‥‥。


- そこふたり、唱和しないでください。
いきますよ。
「珍味とは主として水産物を原料とし、
特殊加工により独特の風味を生かし、貯蔵性を与え、
再加工を要することなく食用に供せられる食品
(陸産物に類似の加工をほどこしたものを含む)で、
一般の嗜好に適合する文化生活の必需食品である。」

- さすが、ぜんちんれんさん、
たいへん簡潔ですばらしい定義ですね。

- ひらがなにしないほうがいいとおもいますよ。
ぜんちんれん。

- あら、そうかしら?

- それより、なんか、
こざっぱりしすぎていませんか?
この定義。

- そうですねえ。
じゃあ、自分たちなりに上げていってみましょうか?
まず一般的に、珍味は大量に食べないものですよね。
豆皿のようなものにちょっぴり盛って
ちびちびと食べるという印象のものが多いかな。
だから、印象として「しょっぱい」ものが多い。

- そうですね。
たしかに、ちょっとずつたべます。

- それでもって、味が濃いですよね。

- イコール、お酒が進むということでしょうか。

- 進みますね。
または、お酒を飲まない方は、ご飯が進みます。
ご飯とお酒を進ませます。

- そして、しょっぱい、味が濃いということは、
保存食的な意味合いもありますよね。
フレッシュな珍味というものは
あまり思い浮かばないかもしれません。

- たしかに、それはそうかもしれない。
とって出しの珍味‥‥。

- それは、刺し身だ‥‥。

- なにか乾燥していて長持ちをする、
酒粕や味噌に漬かっていて長持ちをする、
もしくは燻製になってて長持ちする、
という具合に「長持ちをする」というもの。

- 多くは常温でも保存が可能というもの。

- 今回気仙沼から買ってきたものでも、
常温のものは多いです。

- そうだ、長持ちをするという中には、
「熟成が進む」というものもありますよね。

- 塩辛とかそうですよね。


- そうです。そうです。
チャンジャなどもそうだと思います。

- あ、チャンジャ登場で
珍味がインターナショナルになった!

- 熟成によって
わたしたち日本人の大好きな「うま味」が
増しますよ。

- ああ、「うま味」。
それは「珍」とイコールな気がします。

- その「うま味」があるからこそ、
全珍連の定義するところの、
「再加工を要することなく食用に供せられる」
でもありますよね。
すでにそれ自体でうまいわけですから、
料理はしないでもよろしい!

- 味を追加する必要は全く無いのですよね。

- 食べるときにはむしろ中和しないと。
うま味はじめとする味の濃さを、
ご飯なりお酒なりで中和しながらでないと。

- あとドキドキしちゃう。

- しますします。

- しちゃいます。しちゃいます。
旨そうでドキドキもするし、
しょっぱくて食べ過ぎてドキドキもします。
過剰摂取は要注意です。

- 両ドキドキ。

- 「珍味は、過剰摂取すると、ドキドキしちゃうもの」。
というのも追加しましょうか(笑)。


- (笑)。
やっぱ、みんな経験があるんだ‥‥。
食べ過ぎでドキドキしちゃうやつ。
では、ちょっとまとめてみましょう。

- ええと‥‥。では‥‥。
まとめまっす。


- そんなところにしておきましょうかね。
もちろん例外もありますし、
そこは、臨機応変にいくのがいいと思います。

- おおらかに行きましょう!
定義するといいながら、
おおらかにいきましょう!

- 賛成!

- では、いよいよ次回から、
珍味を楽しんで行きましょう。

(さあ、並んだ珍味を前に、ドキドキしていきますよ!)
2015-05-22-FRI











