南伸坊さんと糸井重里。 旧知のふたりによる、めくるめく無駄話。 それ全体を「黄昏」と呼びましょうか。 いつまでも続くふたりのおしゃべりは、 シリーズを重ねて、とうとう本になりました。 ああ、たのしかったと思っていたら、 おじさんたちの冒険譚は終わってませんでした。 なんと、いろんな人が大好きなバンド、 クラムボンさんが曲をつくってくれたのです。 なんの? 「黄昏」のですよ! 曲のタイトルも、ずばり『黄昏』。 この特別な曲を「ほぼ日」でもダウンロード販売します。 そして、またまた始めましょう、めくるめく無駄話を。 クラムボンさんたちとお会いしたときの雑談と、 これまでにいろんな取材で交わされた雑談を まとめていろいろお出しします。 音楽も雑談も、愛でられますように!


第27回 タコの話の新作。
糸井 そうだ、思い出した。
タコについて、言い忘れてたネタがある。
南 ははははは、またタコ(笑)。
糸井 新作だよ、タコの話の。
南 増補改訂。タコ。
糸井 えっとね、言い忘れてたのは、
ミミックオクトパスについての話だ。
南 ミミックオクトパス。
モノマネするタコってこと?
糸井 そうそうそう。あ、知ってた?
南 こう、二本足みたいになって
歩いてたりするような?
糸井 あ、それじゃない。
それもけっこうおもしろいんだけど、
ミミックオクトパスはもっとすごい。
ものすごく上手に、魚のふりをするんだ。
南 ほーーー。たとえば?
糸井 ヒラメのまねとかするの。
南 へーーー。
糸井 海底にヒラメがいるな、と思ったら
それがタコなんだよ。
南 あー、そう。
糸井 たぶん、まだ伝わってないね、
その「ヒラメさ」の加減が。
だからさ、たとえば、こういう
長方形のパッケージに水と砂と
ミミックオクトパスを入れてね、
「おい、タコをあげるよ」って
オレが伸坊にプレゼントするとするだろう?
すると、伸坊は「ありがとう」って言って、
その包みをガサガサ開けて、中を見て、
「‥‥ヒラメじゃないか」って言うと思う。
南 はははははははは。
糸井 もうね、実写で見たらね、驚くよ。
モノマネ程度じゃないんだよ。
‥‥‥‥そのもの。
南 へぇーーー(笑)。
糸井 もう、ほんと、不思議だよ。
そういうのを見て、またオレは思うわけ。
「タコの視線はどこにあるの?」って。
南 うん、うん、だって、
人から見てヒラメに見えるように
マネしているわけだからね。
糸井 鏡もビデオもないどころか、
「お前から見てオレ、ヒラメに見える?」
って訊く相手もいないわけだからね!
南 はははははは。
糸井 だから、もう、なに?
タコと神の会話?
南 神の視線を獲得したタコのヒラメ化。
糸井 その話をしてなかったなぁと思って。
南 そりゃたしかにしておくべきだね。
ミミックオクトパスか。
糸井 で、ミミックオクトパスにくらべると
ちょっと弱いんだけど、
もうひとつあってね。
南 どうぞ、どうぞ。
糸井 テレビで観たんだけど、
ヤドカリみたいなタコがいるんだよ。
南 あっ、それはオレも観たぞ。
ビンに入っていくやつでしょ?
糸井 ビン、ビン、ビン!
あれいいだろー?
南 いい、いいいい(笑)。
一同 (笑)
糸井 まずね、タコをウツボが食べにくるんだ。
タコとウツボっていうのは、昔から、
ハブとマングースみたいな関係にあってね。
南 ふふふふふ
糸井 で、ウツボが来た、
たいへんだっていうときに、
タコがビンの中に入る。
南 えーー、これはもう、
みなさんご存じだと思いますけど
、
タコという生き物には
「カラス」というカタイところがありまして
そこさえ通っちゃえば、
どのように狭い場所でも小さい穴でも
通り抜けることができるんです。
一同 (笑)
糸井 だから、タコはビンの中に
簡単に入っちゃうんだけど、
それだけじゃなくて、なんと、
ビンの中にからだがぜんぶ入ったあとで
ポンってふたをするんだよね。
南 そうそうそう(笑)。
こうやって最後に手が出てきて、
吸盤で、こう、ぺたっと。
帽子かぶるみたいに。
糸井 すごいよなー、あれ(笑)。
南 ビンって透明だからさ、
ウツボからすると、
タコがありありと見えてるんだ。
一同 (笑)
糸井 悔しいよなぁ、ウツボ(笑)。
南 そこに見えてんのに!
自分の食べ物が。
糸井 すごいよね。
オレは あのタコたちに、
ビンを5、6個あげたいね。
一同 (笑)
(まさかのタコ話、新作。
 神保町編はここまでですが、
 違う場所での取材へつづきます)


第1回 ふたり、クラムボンに会う。 2010-05-19
第2回 一同、苦みばしる。 2010-05-20
第3回 もっと、いなさなきゃ、オレらを。 2010-05-21
第4回 『黄昏』対『巌窟王』。
2010-05-24
第5回 アンドレア・デル・サルト。 2010-05-25
第6回 続・アンドレア・デル・サルト。
2010-05-26
第7回 アンドレ・ザ・ジャイアント。
2010-05-27
第8回 サバを読む。 2010-05-28
第9回 難しい漢字の覚え方。 2010-05-31
第10回 焼き物と書は。 2010-06-01
第11回 「味」はどっちにある? 2010-06-02
第12回 あとがつくことについて。 2010-06-03
第13回 でかい問題。 2010-06-04
第14回 帽子とかぎ裂きとサザエのしっぽ。 2010-06-07
第15回 なるほどねー。 2010-06-08
第16回 ダ・ヴィンチは絵がうまい 2010-06-16
第17回 刑事伸坊。 2010-06-17
第18回 ロン・ミュエックを見たまえ。 2010-06-18
第19回 自然劣化の深い話を、朝から。 2010-06-21
第20回 東京はすごい。 2010-06-22
第21回 あっちに行っちゃいけないよ。 2010-06-23
第22回 まつうらさん。 2010-06-24
第23回 東京の子は有名人によく会う。 2010-06-25
第24回 きらきら星と玄関の鍵。 2010-7-11
第25回 熱心に目玉焼きを語る。前編。 2010-7-18
第26回 熱心に目玉焼きを語る。後編。 2010-7-25



2010-08-01-SUN