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| 糸井 | そうだ、思い出した。 タコについて、言い忘れてたネタがある。
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| 南 | ははははは、またタコ(笑)。 | 
							
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| 糸井 | 新作だよ、タコの話の。 | 
| 南 | 増補改訂。タコ。 | 
| 糸井 | えっとね、言い忘れてたのは、 ミミックオクトパスについての話だ。
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| 南 | ミミックオクトパス。 モノマネするタコってこと?
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| 糸井 | そうそうそう。あ、知ってた? | 
| 南 | こう、二本足みたいになって 歩いてたりするような?
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| 糸井 | あ、それじゃない。 それもけっこうおもしろいんだけど、
 ミミックオクトパスはもっとすごい。
 ものすごく上手に、魚のふりをするんだ。
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| 南 | ほーーー。たとえば? | 
| 糸井 | ヒラメのまねとかするの。 | 
| 南 | へーーー。 | 
| 糸井 | 海底にヒラメがいるな、と思ったら それがタコなんだよ。
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| 南 | あー、そう。 | 
| 糸井 | たぶん、まだ伝わってないね、 その「ヒラメさ」の加減が。
 だからさ、たとえば、こういう
 長方形のパッケージに水と砂と
 ミミックオクトパスを入れてね、
 「おい、タコをあげるよ」って
 オレが伸坊にプレゼントするとするだろう?
 すると、伸坊は「ありがとう」って言って、
 その包みをガサガサ開けて、中を見て、
 「‥‥ヒラメじゃないか」って言うと思う。
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| 南 | はははははははは。 | 
| 糸井 | もうね、実写で見たらね、驚くよ。 モノマネ程度じゃないんだよ。
 ‥‥‥‥そのもの。
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  | 南 | へぇーーー(笑)。 | 
| 糸井 | もう、ほんと、不思議だよ。 そういうのを見て、またオレは思うわけ。
 「タコの視線はどこにあるの?」って。
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| 南 | うん、うん、だって、 人から見てヒラメに見えるように
 マネしているわけだからね。
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| 糸井 | 鏡もビデオもないどころか、 「お前から見てオレ、ヒラメに見える?」
 って訊く相手もいないわけだからね!
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| 南 | はははははは。 | 
| 糸井 | だから、もう、なに? タコと神の会話?
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| 南 | 神の視線を獲得したタコのヒラメ化。 | 
| 糸井 | その話をしてなかったなぁと思って。 | 
| 南 | そりゃたしかにしておくべきだね。 ミミックオクトパスか。
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| 糸井 | で、ミミックオクトパスにくらべると ちょっと弱いんだけど、
 もうひとつあってね。
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| 南 | どうぞ、どうぞ。 | 
| 糸井 | テレビで観たんだけど、 ヤドカリみたいなタコがいるんだよ。
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| 南 | あっ、それはオレも観たぞ。 ビンに入っていくやつでしょ?
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| 糸井 | ビン、ビン、ビン! あれいいだろー?
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| 南 | いい、いいいい(笑)。 | 
							
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| 一同 | (笑) | 
| 糸井 | まずね、タコをウツボが食べにくるんだ。 タコとウツボっていうのは、昔から、
 ハブとマングースみたいな関係にあってね。
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| 南 | ふふふふふ | 
| 糸井 | で、ウツボが来た、 たいへんだっていうときに、
 タコがビンの中に入る。
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| 南 | えーー、これはもう、 みなさんご存じだと思いますけど、
 タコという生き物には
 「カラス」というカタイところがありまして
 そこさえ通っちゃえば、
 どのように狭い場所でも小さい穴でも
 通り抜けることができるんです。
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| 一同 | (笑) | 
| 糸井 | だから、タコはビンの中に 簡単に入っちゃうんだけど、
 それだけじゃなくて、なんと、
 ビンの中にからだがぜんぶ入ったあとで
 ポンってふたをするんだよね。
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| 南 | そうそうそう(笑)。 こうやって最後に手が出てきて、
 吸盤で、こう、ぺたっと。
 帽子かぶるみたいに。
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| 糸井 | すごいよなー、あれ(笑)。 | 
| 南 | ビンって透明だからさ、 ウツボからすると、
 タコがありありと見えてるんだ。
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| 一同 | (笑) | 
| 糸井 | 悔しいよなぁ、ウツボ(笑)。 | 
| 南 | そこに見えてんのに! 自分の食べ物が。
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| 糸井 | すごいよね。 オレは あのタコたちに、
 ビンを5、6個あげたいね。
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| 一同 | (笑) | 
							
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								|  | (まさかのタコ話、新作。 神保町編はここまでですが、
 違う場所での取材へつづきます)
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