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10分というショートアニメーションに こころを揺さぶられて、 白熱した感激団になっているわけですが、 ‥‥‥‥まだ鼻をすすってますね。 |
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(笑) |
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そんな中で、わりとこう、 しゃくぜんとしない感じでいらっしゃるのが 小木曽さんでして。 |
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なんだか、申し訳ないです(笑)。 |
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いやいや、そんなことはぜんぜんないです。 ちがう視点でのお話は、ね? |
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はい。 それを話していただくのは感激団にとって 有意義なことだと思うので。 |
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いままでにない。 |
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うん、ないない、新鮮。 |
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そうですか‥‥。 あの、繰り返しますけど、 このアニメーションを観て僕は、 「じゃあ、どうするの?」って思ったわけ。 昔の思い出も大切なのはわかります。 でも私ならば、 昔の思い出だけで生きるなんていうことは、 とうていあり得ないと思うんですよ。 それはね‥‥寂しい。 |
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寂しい。 |
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うん。わたしも、どっちかっていうと、 じつは寂しくみえる派なんですよ、心の中は。 |
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そうなんだ。 |
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谷川俊太郎さんの詩で、 「おじいちゃん、昔のことじゃなくて、 今のことを教えて」 っていうのがあるんですけど。 だからほんとうに、 いまを楽しんでいてもらいたい っていう願望がすごい強い分、 このおじいさんが寂しい人だと 思わないよう思わないよう、 自分で埋め合わせているんだと思う。 |
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楽しんでいてほしいっていう、 願望は強いよね。 |
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もし自分の親がそうだったら、 すごい悲しいって思うんですよね。 だから楽しんでほしいんだけど‥‥ だけど本音の部分では、 寂しいんだろうなぁっていうのは‥‥。 |
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感じてしまう。 |
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寂しい話ですよ。 |
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そうですね、寂しさはありますよね。 でもぼくはやっぱり、 この物語は自分の力になりました。 希望をもらいましたね。 この物語のおじいさんがやってることは、 なんだろう、 思い出に生かされている感じ? |
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うん、たしかにそうだね。 積み重ねの上のほうに行くのに、 過去がちゃんと生きているみたいな。 |
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うんうん。 |
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ちゃんと生きてきたことが、 いまの彼をあたたかくしているような。 |
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うん、きちんとしたりね。 |
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すさんだ生活をしてないんですよね。 |
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きちんとしてるんです。 |
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お洗濯をして。 |
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自分の分のご飯をつくる。 |
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動いてる心臓を確かめながら生きてますよね。 「今日も生きてきた」っていうような 暮らしをしていると思う。 |
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‥‥過去だけを見ながらね。 |
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小木曽さ〜ん(笑)。 |
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あのね、みなさんはお若いじゃないですか。 その状況、当事者になってみるとね、 ちょっと感じ方がちがうの。 |
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ああ〜。 |
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小木曽さん、おいくつでしたっけ? |
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先だって、62になりました。 |
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うーん、でも、ほら、さっきも言ったけど、 このおじいさんラストで笑ってたじゃない? |
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いや、そりゃ僕だって、 たまにはおいしいもの食べりゃ、笑うよ? だけどひとりは‥‥寂しいですよ。 |
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でも物売りは来てましたよ。 |
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ほらこれ、絵本に、ね? 「チェスをしに来る」って書いてある、 友だちが。 |
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ああ、物売りとチェスだけなのね。 |
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(笑) |
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いや、子どもとか孫も 来ますよ、来ます。来てる! これは。 |
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来る来る。ときどき来るよ! |
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みんなでなぐさめてる(笑)。 |
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寂しい話ですよ。 |
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もお〜、コォ〜ギィ〜(笑)。 |
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ちなみに、絵本によると、 おばあさんが亡くなったのは3年前ですね。 |
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ほお。 |
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おじいさんは朝起きると、 釣りをしておかずを獲ります。 家の近くの行商人の舟から 果物屋さんや八百屋さんやお花屋さんが来る。 |
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ね? ほら、毎日にぎやか! |
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で、遠くに住んでいる 子どもたちからの手紙を読んだり‥‥ って、あれ? |
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手紙かー。 |
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ええー? |
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でも「毎日楽しく暮らしてる」と書いてます。 |
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楽しく暮らしてるの! そこが大切よ! |
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でもね、これはね‥‥ |
一同 |
あ〜(笑)。 |
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ほんともう、コォ〜ギィ〜〜(笑)。 |
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この話はやっぱり、僕には寂しいわけ。 |
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小木曽さん、お子さんがご結婚なされたのは? |
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え? ああ、半年ほど前でしたかね。 |
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やっぱりそういう節目っていうのは、 ちょっと寂しかったり‥‥ |
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いや、子どものことに関して 寂しいと思うことは一切ないですね。 |
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ええ?! |
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あ、そうなんですか。 |
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いいことばっかり、楽しいことばっかりだね。 |
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へぇ〜。 |
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じゃあ、小木曽さんにとって、 来るべき寂しいことって何なんですか? |
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やっぱりね、死の予感がね、する。 |
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‥‥なるほど。 |
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そんなことは、40〜50の時は まったく考えてなかったから。 |
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ぼくはでも、40代なんですが、 じつは最近、友だちの死がありまして‥‥。 けっこう人は急に死んじゃうんだ と思うようになりましたよ。 死は緩慢に訪れるものと思っていたんだけど、 そうではなくて、 いつ死んでもおかしくないんだなって、 それは強く思うようになりました。 |
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そうですか、そんなことが‥‥。 |
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わたしは喪失感っていうのがすごく怖い。 ペットがいなくなったり、 旦那さんが死んじゃったりみたいな。 ‥‥そうかあ、小木曽さんの寂しいは、 そういう予感なんですね‥‥。 |
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死のことは、ちょっとわかんないですけど‥‥ でも、この物語でいうと、 けっこうやっぱり、おじいさんは淡々と、 退屈ではないし、不幸でもないまま、 わりとその、なんですかね、 「ゴールに向かってこなしていく」 っていうのは言い方が悪いですけど‥‥ なんか静かに過ごしてく感じがします。 |
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うん、わたしもそう、 淡々としたものだと思う。 たぶん、悲しい瞬間を忘れることも あると思うんですよ。 |
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あるある、あるよ。 |
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食べなきゃいけないとか、 トイレ入ったり、お風呂入ったりとか。 基本は寂しいと思うんですけど。 ‥‥わたしの場合、ちっちゃいときから、 よく周りのかたが亡くなったり、 それに参加しなくちゃいけなかったりで‥‥。 |
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スギちゃんは、お寺の娘なんだよね? |
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そうです。だからそういうことをわたし、 すごく考えて生きてきたほうなんですね。 で、最近になって至った結論はこうです。 死というものは怖いけど エネルギーはみんなどんどん薄れていくので、 いまの感情のまんまの気持ちじゃないんで みんな大丈夫だということです、死ぬ時は。 |
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(笑) |
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ああ〜、すごい、それ。 |
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でもね、意外とね、 そんなに僕は枯れないと思うよ? |
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小木曽さんは エネルギー量がすごいから(笑)。 |
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いや、僕だけじゃなくてね、 人はみんなそうだと思うよ? もっとこんなことしたいとか‥‥、 たとえば、年取っても恋愛したいとかさ、 そういう思いはね、なにかしら持ってる。 |
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うん。 みんな本音は、いろいろあるんだと思う。 |
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この話のおじいさんみたいにさ、 家の中で魚釣りして、それで幸せって。 僕は、あれで満足だとは思いたくないの。 |
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そのころの自分は もっとエネルギーがあるはずだ、と。 |
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釣りがお好きな小木曽さんだったら、 あそこでもう本格的な釣りにのりだして。 |
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そう、家の中じゃなくてね、外でさ。 |
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外で、モーターボートでポイントを探して。 |
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そうそうそうそう! |
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コギーは、ほんとに枯れないかも(笑)。 |
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いやあ、おもしろい‥‥。 小木曽さんをまぜなかったら、 ぜったいこうはならなかった。 きっとひとつの傾向に おさまる座談会になってましたよね。 |
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ほんとに。 言葉もないアニメーションなのに、 小木曽さんをこんなにまで熱中させる っていうのは素晴らしいですよ。 |
(つづきます!) |
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2008-12-21-SUN |
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協力 ロボット / 東宝 / pieces of love |
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