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で、ね? 本当にこういう寂しい人っているのかな? いるのかな? いるの? |
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いるだろうと思うよ。 |
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うん。 |
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でも、この作品のおじさんは 寂しくないほうだと思う。 |
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そう? 寂しくないほうなんだ! |
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だって病気してないもん。 |
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ああ、それは言えますね。 |
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そっかあ‥‥ ああ、またすこしホッとした。 |
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(笑) |
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なんか、吉本隆明さんとか 谷川俊太郎さんとかをみてると、 そんな寂しさなんか、 ひとかけらもないじゃないですか。 |
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寂しさの質とか量って、わからないもんね。 自分と他人のそれを くらべようがないものだし。 |
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わからないです、 自分がそこまで行ってみないと。 |
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わからない。 |
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わからないから、ぼくはそこをあまり 見つめなかったんだと思います。 で、ピントを合わせたのは やっぱりこの、思い出の部分で。 |
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山下さんはそっちなんだね。うんうん。 |
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はい、大きなテーマとして 「思い出」をとらえてましたね。 |
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あたしも、そっち。 |
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だから、おじいさんが若いころに 奥さんと出会うシーンで いちばん、こう、グッときたりしました。 |
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ぼくのいちばん好きなシーンは、 乾杯のシーン。 |
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あ〜、最後の。 |
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で、それは1回目よりも さっき観た2回目のほうが‥‥ なんかもう、泣きっぱなし(笑)。 |
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そうですか‥‥。 |
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思い出って力になるんだなぁって思うと、 どうしても、こう‥‥。 さっきもちょっと、話しましたが、 つい最近、友だちを亡くしまして‥‥。 この物語のラストとね、 たまたま同じようなことをしていたんです。 |
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‥‥乾杯を? |
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うん。 死んでしまうほんのちょっと前に、 ご飯を食べに行く約束をしたんですね。 で、お店の予約をしてたんです。 ところが友だちはその日が来る前に 亡くなってしまった。 で、予約をした日が来たわけです。 ‥‥行かないのもねぇ(笑)。 行きましたよ、約束だから。 そこは知り合いの店で、 友だちが亡くなったことも知ってたので、 グラスをね、ふたつ出してくれたんです。 それで乾杯ってやったときには、 ちょっと、もう、ボロボロに‥‥。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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‥‥うん。 |
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あのね、幽霊がいるとか そういう意味じゃないよ、 そうじゃなくて、 あの乾杯のシーンからぼくは 「死者と共に生きられるんだ」 っていう救いを感じたんです。 心情的には、 そこにいちばんピントが合いました。 |
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なるほど‥‥。 |
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なんか‥‥、あっしが観てて思ったのは、 思い出の部分にいちばん感動したんですけど。 でも思い出なんだけど、 「今」にも見えるんですよ、 私の世代から見るとね。 それでなんか‥‥‥‥ あの、たとえば‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥やばい、すごいウルってきた。 |
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(笑) |
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大丈夫、みんなウルってるから(笑)。 |
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みんなウルってる(笑)。 |
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なんかぁ、なんていうんだろうな? その‥‥‥‥ 自分がぁ‥‥生まれてぇぇ‥‥‥はぅっ。 |
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(笑) |
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あ、ゆーないとさん、 ティッシュを取りに走りました。 |
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(笑) |
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大丈夫? 平気?(笑) |
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‥‥スンスン。 すいません、大丈夫です。 ええとぉ‥‥自分が生まれてぇ‥‥スン‥‥ 育ってきてぇ‥‥そのあとにぃ‥‥ 大きくなってぇ、結婚してぇ‥‥スンスン、 子どもが生まれてっていうのをぉ‥‥ 親の目線でぇ・・・・‥‥‥ぇえぐ。 |
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(笑) |
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だめだ(笑)。 |
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ややこしいな(笑)、このひと。 あ、でもちょっとわかったぞ! そういう意味で「今」っていうことか。 |
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そうそうそう‥‥‥‥スン。 |
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私の「今」は、 親にとっての「思い出」としてある。 |
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そう。 |
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この作品で描かれている「思い出」は、 私の「今」だって思うわけね? |
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それです。 |
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はぁ〜。 |
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すいません。 ‥‥スンスンスンスン。 |
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まあ、ゆっくり鼻をかんでください。 |
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「主人公」に自分を投影するのと、 「主人公の思い出」のところに 自分を置いて観るのとでは、 やっぱりだいぶちがってくるんだね。 |
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ぢがいまずね‥‥ビーーン(鼻をかむ)。 |
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そう、ぜんぜんちがってきますよね。 わたしは観るのが2回目だったから、 きょうはちょっと前とちがって観れて、 前はもっとこう素直にストレートに 観たんですけど‥‥あの‥‥ 今回はやっぱりこれが自分だったりとか‥‥ これが親だったらとか(声が震えだす)。 |
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うんうん、いろいろに見えたのね? |
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でも、自分の子どもも‥‥スン、 わらしがいないく、なっれも‥‥ こういうふうり、 なるわけじゃらないですかぁ‥‥‥‥‥‥。 |
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(爆笑) |
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みんな泣きすぎです!(笑) |
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しかも、おスギさん なに言ってるかわかんない‥‥スンスン。 |
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いやあ、すごいわ(笑)、 なんか、もう、いま、この場がすごい。 感動やら、人前で泣く恥ずかしさやら、 おもしろさやら、 もう、いろんな感情がうず巻いてる(笑)。 |
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おもしろいよねえ。 ほんとにこの作品、 こんなにいろんなこと思わせてくれる。 観かたが、いっぱいあるんですね。 |
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ふところが広いんですよね、作品の。 |
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ね。本当、本当。 |
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10分なのに。 |
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くどいようだけど、 10分、なんだよねぇ〜。 |
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う〜ん。 |
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これを寂しいと見るか、 豊かって思うかは、 やっぱりこっちの都合なんでしょうね。 |
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うん、そうだね。 |
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この物語のおじいさんは、 ただ単に真面目に生きてきて、 豊かなものを持っているから ここにいたいんだって、ぼくは思いたいし。 |
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それか、「寂しい」って言ってるか、 どっちかなんですよね。 |
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そうですね。 |
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受け取るほうの、 心情とか環境によるんだと思う。 |
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あっしも‥‥スンスンスン。 |
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わらしも、ほんろに、 そりはそうおもっれ‥‥ズズズズ。 |
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わかったので、 きみらは鼻かんでください(笑)。 |
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わはははははは‥‥‥‥スン、スン。 |
(つづきます!) |
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2008-12-22-MON |
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協力 ロボット / 東宝 / pieces of love |
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