そういえばね‥‥「笑っていいとも」が終わったあと、
だいたい30分から40分、
テーマを決めないで話してるんです。

まったく何もないところから、
みんなで作り上げる。
つまり、ジャズでいう「セッション」を
やってるんですよね。

うん、うん、おもしろいなあ。

本当にその場でしかできないものを
見てるから、観客もノってくるんですよ。
ようするに「現場に立ち会ってる」興奮なんです。

それ、いちばん贅沢な時間ですよ。

もちろん、再現される技術の「様式美」も
わかるんだけど、
ジャズって、そうじゃないところに
自分たちのアイデンティティを持ってますよね。

聴いてるほうも、
一緒に演奏してるんでしょうね、心のなかで。

一緒になってくれると、最高ですね。

‥‥ミュージシャン同士も
見てると、よく笑いあってますよね？

はい、はい。

あれって、嬉しくてしょうがないとか、
そういう気持ちなんですか？

ええ、そうです。
お、今なんかすごく合ったね、
気持ちいいねーって、笑ったりするんです。

あるいは、なんなんだおまえはって場合も。

そうきたか、みたいな。

そう、そう。
あっ、そう、今日はそうくるのね、とか。

確かにジャズでよく見るシーンだよね。

「どうしてわざとはずすの！」なんて。
「しょうがねえな今日は」ってなったり（笑）。

そういう感じって、いまのお笑いの人たちに
受け継がれてるのかもしれないですね。

ああ、そうかもしれない。
あの人たちの「ライブ感」って、そうだよね。

できあがってるものと、アドリブと、
両方、やってますよね。

それはね、ほんとお笑いに通じてんですよ。

だから、お笑いの人たちって、
昔だったら音楽家になっちゃったかも
しれないですよね。

うん。俺がやってるお笑いも
ほとんど、気持ちは同じですから。

あ、そうですか。

うん、「その場、一回限り」という意味では。

だから、お笑いでもジャズでも、
人となにかやるからには
やっぱり自分も変わりたいし、
相手も変わってほしいなと思ってるんです。

もともと「ジャズ的」なものを
タモリは持っているんだよ。

やっぱり、そこがいちばん、
おもしろいところなんですよ。
現場に立ち会ってるという、生な感じが。
お笑いにしても、ジャズにしてもね。

そこ、ぜひ味わってほしいですね。
会場に来てくれる人たちには。

はー、なるほど‥‥ええと、では
そんなようなことで、いけそうでしょうか？
強引にまとめてしまいますが（笑）。

うん、大丈夫でしょう。

ええ、こんな感じで。

‥‥いきましょうか！