毎日なんとかするということについて。

糸井重里

・なんっにも考えないで書き出してみるぞ。
 風邪を引いた人に向かって、
 「自己管理ができてない」と叱る人がいるようです。
 そのお叱りのことばが元になって、
 じぶんが風邪を引いたときに先回りするように、
 「自己管理ができてなくて、もうしわけありません」
 と謝ったりする人もいるみたいです。
 自己管理で風邪が防げるなら、おれもやる!
 なにをどう自己管理すれば風邪を引かないのか、
 どうか教えてください、ちゃんと守りますから。
 手洗い、うがい、マスクは、コロナ流行のときに
 さんざん経験しましたから、やればやれます。
 あ、そういえば、あの時期、
 あんがい調子よかったような気もするなぁ。
 手洗いとうがいは、「自己管理」ですね、きっと。
 
 いや、風邪のことなど、もういい。
 おにぎりのことにしよう。
 おにぎりだ、おにぎりといえば、にぎるこめだ。
 あるときから、ぼくのおにぎりはふんわりになった。
 飯島奈美さんが「できるだけふんわりにぎる」
 ということを教えてくれてからだ。
 ふんわりにぎるためには、ごはんが熱いほうがいい。
 炊きたての、手がやけどするくらい熱いごはんは、
 こめつぶごとのシナジーが高いので、にぎりやすい。
 のちに、あったかいごはんであれば、
 やけどするほど熱くなくてもいいのだと知った。
 それにしても、「ふんわりかるくにぎる」はいい。
 ぼくは、長いことずっと、ふんわりおにぎっていた。
 しかし、最近になって気がついた。
 上司のにぎったおにぎりは、もっとかっこいいぞ。
 おれのふんわりおにぎりは、なんか負けている。
 「わたしだって、かるくにぎってる」のだそうだ。
 なかなか謎は解けなかったのだが、先日わかった。
 おれのおにぎりは「ふんわりかるく」を、
 強調して「ふんわりかるく」にぎり過ぎていたのだ。
 シロウトとか、半可通は、なにかと強調するものだ。
 おれは、その後は軽めに「ふんわりかるく」にぎった。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
とにかく、書き出せばなんとかなる。採点もされないしね。