来ちゃった。

糸井重里

・来るぞ来るぞとは思っていたのだ。
 「まだは、もう」とか言うけれど、
 11月になってからは、うかうかしてるうちに、
 すぐに来ちゃうんだよと、じぶんに言い聞かせていた。
 なんだかいろいろ詰まってるなぁと思ったときに、
 「来月にしよう、それ」とか軽く言ってたけど、
 その来月にした「それ」が積み上がっていたのだ。
 んで、いつのまにか「あれ、どうする?」と、
 切実に決めておかなきゃならないことも増えていて、
 そうこうしているうちに、来ちゃったじゃないか、

 師走!

 もう、いろんな予定も埋められないよ、師走だし。
 予約だの都合だのあいつはだの、もう無理っぽいよ。
 ついでに、俺も無理だったりもするよ。
 もっとさー、かすかな音色のジングルベルを鳴らすとか、
 あちこちちょっとずつツリーを飾るとか、
 11月のうちに予告の時間がもっとあったじゃん、昔は。
 なんなら、山下達郎とか松任谷由実とかの音もしてた。
 だけど、最近は、グラデーションじゃないんだよな。
 急に、「はいっ!師走です」とカードを渡される感じ。
 
 師走!そしてクリスマス!年の瀬、正月!
 あとはもう、追い込まれていくのみですよ、わしら。
 のんびりと「12月あたりにしましょうか」なんて
 歯医者さんの予定を入れていた時期がなつかしいよ、
 ついこの間のような気もするけど。
 ぼくの周辺の人たちは、10月11月12月あたりに
 誕生日なんかも集中しているんだよね。
 あと、ミュージシャンがコンサートをするのも、
 どういうわけだか11月12月が多くないですか?
 山下洋輔さんなんて、12月いっぱいは演るけど、
 来年からはちょっと休むぞ、とかだし。
 新年早々に武道館をやるのは清水ミチコだよ。
 餅がのどにつまるよ、三が日中だからね。
 いや、文句言ってるんじゃないんですよ。
 師走に不意打ちされて、わけわかんなくなってるの。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
来年からは、春と秋を長めにお願いします。おちついて。