今日のダーリン

・いろんな外国の映画やドラマを見ていると、
 ごくふつうの家庭の、質素な食事の場面が出てくる。
 なにか豆を煮たようなものとパンだとか、
 短いパスタの大盛りだとか、何度も見たような気がする。
 ランチというと、ピーナッツバターのサンドイッチとか。
 なんか、あんまりうらやましくなるような食事は少ない。
 もちろん、そういう食事も映画としての演出だから、
 みんなそんな感じなのかぁと思うのはちがうかもしれない。
 でも、まぁ、だいたいそんなものだとも思うんだよね。
 日本のドラマのなかの食事シーンでも、
 だいたいどこの家でもありそうな献立で食べてるものね。

 このところよく取り上げられているニュースが、
 外国から仕事だったり観光だったりでやってくる人たちが、
 日本の食べものによろこんでいるという話題だ。
 日本に来てコンビニで売っている食品に感激したり、
 ラーメンだとか、とんかつだとか、回転寿司とか、
 あちこちの大衆的な食事の店で行列したりしているらしい。
 いや、らしいっていうか、ぼくもよくその行列を見ている。
 円が安くなって、海外の人には割安感もあるのだろうが、
 おいしいと思わなきゃ、ほめたり並んだりはしないだろう。
 
 正直なことを言うと、ぼくはもともと、
 日本の料理をじぶんでは気に入っていたけれど、
 こんなふうに外国の人に評価されるかどうかなんて、
 考えたこともなかった。
 じぶんたちの「ふつう」が、
 外の人たちにとっての「ごちそう」になるなんてことが、
 実際に起こってから「そうだったのか」と、
 後追いのようにして思ったのが現実だ。
 そして、いまごろになって、
 もともと好きだったラーメンやらとんかつのことが
 「国際的にもおいしいと感じられている」と知って
 (恥ずかしながら)いっそうおいしく思うようになった。
 
 そういえば、日本プロ野球界の宝、
 イチロー選手がメジャーに挑戦するというとき、
 どれくらいの活躍をするかについて、ぼくも取材されて
 「レギュラーをとれること」と控え目に答えたのだった。
 日本の食事も、ほんとはもっとすごいのかもしれないよ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「一汁一菜でよいという提案」って、思えば世界標準かも〜。