ものすごくひさしぶりにスタンダードなポロシャツをゼロからつくったものがたり。 ものすごくひさしぶりにスタンダードなポロシャツをゼロからつくったものがたり。
当たり前のものを、いちから考え直し、
ベーシックなものを再考察・再構築しようという
「ほぼ日」内のプロジェクト「直線と曲線」がおくる
「ファーストキャップ」に続く第二弾は
「ファーストポロ」。
そう、ポロシャツです。

キャップは、かぶったことがない人や、
似合わないと思っている人にこそ、
というテーマがありましたが、ポロシャツもおなじ。
おしゃれ着にしたいのに、
なんだかスポーツウェアっぽくなっちゃうなあ、
それに、身体の線が出るから‥‥、
と思っている人にこそ着てほしい。

「直線と曲線」のメンバーには、
ポロシャツにうるさいのがそろっておりましたが、
その声を拾いあげて、機能的、かつおしゃれに、
そして「きちんと」した印象で
着られるポロシャツを、2型、つくりました。
夏に着るものですからね、機能面も考えましたよ。
(だから、インナーもつくっちゃいました!)



文=武井義明(ほぼ日)
03 細かいところまでとことん。
ラインナップが揃った!
ということでできあがったポロシャツとインナー、
正式名称は「ファーストポロ」と
「ファーストレイヤー」です。
行きましょう、こんなラインナップです!



[ファーストポロ]
写真 REGULAR(ホワイト/ブラック/ネイビー)

サイズ:レディースF/ユニセックスM/ユニセックスL



写真 WIDE(ホワイト/ブラック/ネイビー)

サイズ:レディースF/ユニセックスM/ユニセックスL
[ファーストレイヤー]
写真 メッシュハーフスリーブ(ブラック/ベージュ)

サイズ:ユニセックスM/ユニセックスL



写真 メッシュタンクトップ(ブラック/ベージュ)

サイズ:レディースF/ユニセックスM/ユニセックスL



写真 リブタンクトップ(ブラック/ベージュ)

サイズ:レディースF/ユニセックスM/ユニセックスL


サイズの「レディースF」と「ユニセックスM/L」は、
基本のデザインは同じながら、
パターンをすこしだけ変更しています。
まずは共通項から解説をしていきましょう。
何年も着続けられるものを。
ファーストポロは、ひと夏ではなく、
何年も着続けられるよう、素材とかたちを吟味しました。
児玉さんが「生地がこなれて、味が出てくるのは、
ひと夏着てその翌年、2年目以降だと思います」
と言うほど、しっかりとつくっているんです。
写真 着用サイズ:レディースF、ユニセックスM
経験のあるかたもいらっしゃると思いますが、
綿のポロシャツを長く着ていると、
汗による生地の脆弱化と、着脱による伸び、
そして洗濯乾燥を繰り返すことで、
生地が弱くなっていきます。
とくに気になるのが、襟まわりの磨耗。
コシが失われて、襟先がヒラヒラしてきたり、
内側にくるりと丸まったり、
前立てがゆるくなって、ちょっとだらしない印象に
なってしまうことがあるんですね。
ファーストポロの素材はポリエステルですから、
綿にくらべて耐汗性・洗濯耐久性が高いのですが、
さらにこんな工夫をしました。
まず、襟型が崩れないよう補強の意味で、
前立てのグログランテープを入れました
(ユニセックスM/Lのみ。
レディースFについては後述します)。
写真
グログランテープを前立てに使うことで
たびたび着脱時に引っ張られるゆえの劣化を防ぎ、
厚みと硬さが着た時のきちんとした印象を生みます。
このグログランテープは、
1枚を折るように縫い付けているので、
引っ張っても裂けにくくなっています。
ボタンを引っ張って外す、というような
ちょっと乱暴な脱ぎ方でも壊れにくい設計です。



グログランテープは、身頃の脇のスリット部分にも、
1枚のテープを舟形に折り返して縫い付けているので、
引き裂きに対し、とても強くなっています。
長期間着られる生地をつくったので、
縫製も長期間耐えられる仕様にしているんです。
写真
ポロシャツの襟は何度も着るうちに
くるりと巻いてしまい、エイジング感が出がち。
また、一日着ているうちに
すこしずつフニャッと型くずれしていきます。
でもファーストポロは、一日じゅう、しっかり。
とくに襟周りがすごいんです。
襟の付け根、つまりボディ側は、
袋編みとゴム編みを交互に組み合わせたミラノリブで、
襟全体に立体感とハリを保ちます。
襟の土台に厚みをだし、伸縮性が少ないことで、
ワイシャツにおける台襟のような役割をはたすのですね。
写真
そこから襟先までは「総針」という編み方。
ミラノリブほどではありませんが、
目が詰まっていて伸びづらい、
しっかりした印象の襟になっています。
そのため、くるりと内巻きにならず、
きれいにふわっと外はねしたまま着ることができます。
ファーストポロが、見た目、とてもきれいで、
きちんとした印象があるのは、
この襟の構造が大事なポイントなんです。
(開襟シャツのような、
襟がぺたんとした印象になりません。)
写真
ファーストポロにはREGULARとWIDEがある。
ポロシャツの役割として
「きちんとした場にも着てゆける」
ということがありました。
たとえばビジネス。

たとえば保護者会。

たとえば夜の会食。

「Tシャツじゃカジュアルすぎるかも」
と思う場面って意外とたくさんありますが、
そんなときに「きちんと」着られるポロシャツとして、
ファーストポロ/REGULARが便利です。
身幅と裾幅が同寸で、まっすぐなシルエット。
たて長の印象ですが、
ゆとりをもってサイズを設定していますから、
いろいろな体型のかたにお選びいただけます。
写真 着用サイズ:ユニセックスM
おなじポロシャツでも、
カジュアルにさらっと着たい場面もあります。
散歩する。

買い物に行く。

休日のランチで外出する。

どこに行くわけじゃないけど気分よく過ごしたい。
そんな時のための「ゆったり」したポロシャツが
ファーストポロ/WIDEです。
肩幅も身幅も広く、丈は短めにした、
トレンド感のあるデザインになっていますので、
「今らしいものを着ている」印象が出ます。
デザインの入ったおしゃれなボトムスに
合わせても大丈夫ですよ。
写真 着用サイズ:レディースF
サイズは3つ、3色展開。
REGULARとWIDEを、
大きさで比較すると、こうなります。



写真


表にすると、こうなります。



写真
レディースFは、パターンを替えて。
最初はREGULARとWIDEそれぞれに
同じデザインでグレーディング(大きさ)を変え、
完全にユニセックスのサイズ展開に
しようと思っていたのですけれど、
最終サンプルになって試着をしたとき、
「なんだか体育の先生っぽさが抜けないなあ」
という感想がから出ました。
とても微妙なところなんですが、たしかに、そうでした。
「そこを解決しましょう」と児玉さん。
REGULARもWIDEも、
ユニセックスM/Lはそのままにして、
当初「S」サイズだったものを
「より女性らしいパターン」として、
レディースFサイズとすることにしました。
まずREGULAR。

身幅と裾幅がほぼ同じ、という基本パターンを、
レディースFサイズのみ、
ほんのすこし裾幅を拡げました。
「わかるかわからないか、くらいのAライン」です。
写真
スカートやワイドパンツを穿いて
ポロシャツを合わせたいというときに、
スリットが入っていることで
あるていどの対応力はあるものの、
さらに裾幅を拡げることでスタイルをきれいに見せ、
なおかつ着脱しやすさをねらいました。
もちろん細身のパンツを穿いたときも、
ふわっとしてかわいく、きれいに見えますよ。
WIDEは発想が逆。

この「レディースF」は、
恰幅のよい男性でも着られるくらい身幅を広く、
逆に丈は短めに、すこしすぼまるかたちにしています。
写真
なのでさらに裾幅を拡げてしまうと、小柄なひとでは
「やけに大きなサイズを着ている」印象が出ます。
そこでこちらは、裾幅を少しだけ狭めることで
スッキリ感を出し、ワイドなものを着ているのに、
過剰なビッグサイズに見えないようにしています。
肩幅も広いので、肩線が落ち、
たっぷりした袖が肘のあたりまでくることで、
今どきのエレガントさ、かわいさが生まれました。
このあたりの裁量は、レディースウェアを長く手がけてきた
児玉さんならではのものです。
さらに、やわらかな印象を与える大事な要素として、
前立て(ボタンのついた首元の前開きの部分)も工夫。
REGULARもWIDEも、ユニセックスには
「グログランテープ」を入れているのですが、
レディースFは、これをなくしています。
グログランテープならではの「しっかりした」印象が、
やわらかく、ふんわりと着たい人に不要と考えたためです。
かつ、前立てを若干長めに(深く)することで、
より襟ぐりが広く、フェミニンな印象を生んでいます。
写真 着用サイズ:レディースF
色は、ホワイト/ブラック/ネイビー。
「スタンダードな3色」をそろえました。
ホワイトは、透けにくく、明るめのオフ白。
ブラックは真っ黒。ポリエステルならではの発色です。
そしてネイビーはやや明るめで、赤みのある紺ですよ。
(つづきます)
2025-07-17-THU
撮影:ami/スタイリング:白男川清美/ヘアメイク:森野友香子(高山都)、望月光(結木滉星)/モデル:高山都(身長158cm)、結木滉星(身長175cm、smart専属モデル)