劇団セルフタイマーへ ようこそ!
作品鑑賞会#8 劇団のジレンマ。
 

観覧客A この展示も、
のこすところあと4作品になりました。
観覧客B すごかったです、ここまで。
観覧客C やはり監督のお話をうかがいながらだと、
味わえる深さがちがいます。
糸井 そうですか、そう言っていただけると助かります。
観覧客A では、引き続きお願いします。
こちらは、お墓で撮った作品。

 

なかなか。

『劇団セルフタイマー』の、
本日の公演報告です。
このくらいの距離感の舞台が、
いちばんやりやすいと、
監督は思っているのですが、
女優はあいかわらず客席を見ません。
なかなか、道は遠いです。

2013/04/27 19:49

糸井 ええ。
観覧客B きれいな作品です。
すっと立っていますね。
観覧客C 女優さんも自然体の演技で。
糸井 このときはめずらしく余裕がありました。
ぼくはただ、リードを持っているだけです。
この演出であれば、
女優がどこを向いていようが成立するんです。
観覧客D なるほど。
糸井 めずらしく、そんなに慌てていません。
観覧客A 墓石も背景のビルも立方体。
整然とした雰囲気のなかに演者が自然体でたたずむ、
きれいな作品だと思いました。
糸井 ありがとうございます、落ち着いてます。
観覧客B かと思ったら‥‥監督は初心を忘れませんよ。
次の作品をご覧ください。

 

きょうとこうえん。

おなじみの川辺で、
「劇団セルフタイマー」の公演です。
めずらしく女優が客席を向いてます。
だんだん、自覚がでてきたのか。
そのへんは、よくわかりません。

2013/04/29 18:26

糸井 まったく余裕がないです。
一同 (笑)
観覧客B みごとな「セルフタイマーポーズ」に
すばらしい「セルフタイマー顔」で(笑)。

糸井 うーーん‥‥
やっぱり、カメラを置く場所がねぇ。
これは石の上なんです。
不安定。
川原での10秒。
どうしても余裕が失われます。
観覧客B 写真のななめ具合も、いいなぁー(笑)。
観覧客C でもこの作品、女優さんがすごく愛らしいです。

糸井 めずらしいことですね。
はっきりと、客席を見ています。
観覧客D かわいいなぁー(笑)。
糸井 ちなみに、この背景は京都の嵐山ですね。
観覧客A ありがとうございました。
そして次の一枚。
監督がまっすぐ立っている作品が多くなってきました。

 

こうえんこうえん。

「劇団セルフタイマー」in京都。
小さな公園での公演です。
ありがちな抱擁シーンです。
監督も、意欲はあるのですが、
新しい表現に行き詰まっています。
その遠因はこの女優にあるようです。

2013/05/01 18:04

糸井 また公園。
観覧客B 公園での、公演。
糸井 はい。
あのですね、
これはこんなに、ありがちなものになる
予定じゃなかったんです。
観覧客C ‥‥どういうことでしょう?
糸井 ここは公園ですから、
ジャングルジム的な遊具があります。
観覧客C はい。
糸井 写っているわれわれの視線の先には、
その遊具があるんですよ。
観覧客D はい。
糸井 カラフルで、写真うつりが良さそうな遊具です。
ですからほんとは、
その遊具のそばに立って撮りたかった。
観覧客A ああ、なるほど。
糸井 かわいい遊具といっしょに写りたかった。
でもけっきょく‥‥
その遊具にカメラを置いて、これを撮りました。
観覧客B ああーー。
観覧客C それはちょっと残念ですね。
糸井 そうするしかなかったんです。
‥‥今日、ぼくは何度か、
カメラの置き場所のたいせつさについて
話してますよね。
そのことについて、
具体的におわかりいただけると思います。
ほら、
ぼくと女優が立っているこの場所には、
カメラを置ける場所なんてないんです。

観覧客B ほんとだ‥‥。
観覧客C ここから遊具側を撮るには、
カメラを地面に置くしかない。
糸井 そう。
だから、いちばん撮りたいものって、
なかなか撮りづらいんです。
これはねぇー、よくあることなんですよ。
‥‥ジレンマです。
観覧客D ジレンマ。
観覧客A 劇団のジレンマ。
糸井 三脚を使えばすぐに解決するんですけど、
それだと気軽さがなくなるので‥‥。
観覧客B ジレンマですね。
観覧客C 悩ましいところです。
糸井 うーーん‥‥(真顔)。

(作品鑑賞会は、次がラスト!)
2013-06-13-THU
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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
ほとんどのカメラについているのに、 たぶんあんまり使われていない機能、「セルフタイマー」。 糸井重里は、これに着目。 「劇団セルフタイマー」を設立しました。 それはつまり、孤独にがんばる撮影活動。 一座の公演は「気まぐれカメら」で発表されています。 主演女優、ブイヨン。監督・出演、糸井重里。 タイマーセットで本番スタート! 走れ! レンズを見よ! 周囲の目は気にしない! この、ペーソスあふれる活動を、みなさんもいかがですか? 劇団セルフタイマーは団員を募集します。 とはいえ、ほんとに人を集めるわけではございません。 「セルフタイマーで撮った写真を投稿する」、 それが団員になるということなのです。 さぁ、あなたも、タイマー・セーット!