音を立てて降り続く雨の朝。
談話室に腰かけ、窓から空を眺めて
出発のタイミングを見はからっていたら、
「今日は下山するだけでしょ。
当分やまないだろうから、ゆっくりしていったら」と
長蔵小屋で長年働く小林さん。
わけもなく落ち着かない私たちのようすを
すこし笑って、珈琲を淹れてくださいました。
薪ストーブがはぜる音を耳にしながら、
湯気が立ち、甘みをふくんだ香りがただようなか、
ふかく深呼吸した山のひととき。


太陽を浴びて輝きを増すリュウキンカ、
真っ白くてふわふわのワタスゲ、
芸術品みたいなショウジョウバカマ、
凛としたタテヤマリンドウ。
尾瀬へと向かうときは、
たいてい高山植物のお花の見頃に合わせて計画します。
でも、普段の生活に戻り、
街で過ごす日常のなかで思い出すのは、
山小屋でのふとした瞬間だったりします。
尾瀬には20軒もの山小屋があります。
その歴史はさまざまですが、
尾瀬の美しさを誰よりもたのしみ、
入山者を受け入れ、
自然を守ることを主張し続けた人たちの
思いがつながれてきています。
経済成長が自然保護より尊重された大正、昭和の時代を経て、
定点に構え、開発によって環境が変化する機微を感じ取り、
生業を成り立たせながらも、
行動を続けてきた人々が時を刻んできた場所です。
真っ白くてふわふわのワタスゲ、
芸術品みたいなショウジョウバカマ、
凛としたタテヤマリンドウ。
尾瀬へと向かうときは、
たいてい高山植物のお花の見頃に合わせて計画します。
でも、普段の生活に戻り、
街で過ごす日常のなかで思い出すのは、
山小屋でのふとした瞬間だったりします。
尾瀬には20軒もの山小屋があります。
その歴史はさまざまですが、
尾瀬の美しさを誰よりもたのしみ、
入山者を受け入れ、
自然を守ることを主張し続けた人たちの
思いがつながれてきています。
経済成長が自然保護より尊重された大正、昭和の時代を経て、
定点に構え、開発によって環境が変化する機微を感じ取り、
生業を成り立たせながらも、
行動を続けてきた人々が時を刻んできた場所です。

その先導をとってきた長蔵小屋。
長蔵さんにはじまり、
2代目の長英さんと靖子さん、
3代目の長靖さんと紀子さん、
そして当代の太郎さん、洋美さんが
時代の変化にもまれながらも生き抜き、
大切に育ててこられました。
扉を開け、一歩ふみ入れると、
一家を慕うスタッフさんの思いも随所に感じます。
行き届いた掃除、丁寧に提供される食事。
雪国ならではの暮らしの道具と、
海外から持ち帰ってきたというクラシカルな調度品。
落ち着きと洗練が共存する、心地のよい空間は、
太郎さんの母でもある紀子さんのセンスの賜物なのだそうです。
長蔵さんにはじまり、
2代目の長英さんと靖子さん、
3代目の長靖さんと紀子さん、
そして当代の太郎さん、洋美さんが
時代の変化にもまれながらも生き抜き、
大切に育ててこられました。
扉を開け、一歩ふみ入れると、
一家を慕うスタッフさんの思いも随所に感じます。
行き届いた掃除、丁寧に提供される食事。
雪国ならではの暮らしの道具と、
海外から持ち帰ってきたというクラシカルな調度品。
落ち着きと洗練が共存する、心地のよい空間は、
太郎さんの母でもある紀子さんのセンスの賜物なのだそうです。

長蔵小屋で泊まって迎える朝晩は、格別です。
荷物をおろして、お風呂で汗をながしたあと、
身軽になって、尾瀬沼のまわりを散策するのは大好きな時間。
日帰り客が下山したあとの静かな尾瀬が、
夕焼けに染まり、日が沈み、闇夜が訪れます。
真っ暗ななかで、温かな明かりをともす小屋は、
心強い存在です。
眠い目をこすって、窓から空を眺め、朝の訪れを待つ。
荷物をおろして、お風呂で汗をながしたあと、
身軽になって、尾瀬沼のまわりを散策するのは大好きな時間。
日帰り客が下山したあとの静かな尾瀬が、
夕焼けに染まり、日が沈み、闇夜が訪れます。
真っ暗ななかで、温かな明かりをともす小屋は、
心強い存在です。
眠い目をこすって、窓から空を眺め、朝の訪れを待つ。
朝もやが晴れた瞬間、
露に濡れた草花が輝く姿を目にしたら、
すばらしい一日を始められます。
露に濡れた草花が輝く姿を目にしたら、
すばらしい一日を始められます。

慌ただしい日常で
ないがしろにしてきた感情をみとめ、
目にする景色のちいさな揺らめきにも
一つ一つ言葉をあたえていく。
広い湿原のなかを一歩ずつ歩けば、
大きな空の下、自分のいまを確かめられる。
そんな安堵感も、尾瀬へ通う理由のひとつです。
ないがしろにしてきた感情をみとめ、
目にする景色のちいさな揺らめきにも
一つ一つ言葉をあたえていく。
広い湿原のなかを一歩ずつ歩けば、
大きな空の下、自分のいまを確かめられる。
そんな安堵感も、尾瀬へ通う理由のひとつです。
しっかり歩きたいときには、
長蔵小屋を拠点に、燧ヶ岳に登るもよし、
尾瀬沼、尾瀬ヶ原を抜けて、鳩待峠を目指すもよし。
のんびりと山の時間を味わいたいときには、
沼山峠か大清水から山に入って、
長蔵小屋で一泊、
スケジュールに余裕があれば二泊できたらなおよし。
中日を丸ごと山で過ごせると、
日常で感じていたちいさな心のわだかまりまで、
ほんとうにどうでもよくなります。
長蔵小屋を拠点に、燧ヶ岳に登るもよし、
尾瀬沼、尾瀬ヶ原を抜けて、鳩待峠を目指すもよし。
のんびりと山の時間を味わいたいときには、
沼山峠か大清水から山に入って、
長蔵小屋で一泊、
スケジュールに余裕があれば二泊できたらなおよし。
中日を丸ごと山で過ごせると、
日常で感じていたちいさな心のわだかまりまで、
ほんとうにどうでもよくなります。

自然に魅せられて集まってきた人が、
束の間、暖をとり、お互いの時間を尊重しながら、
不慣れなことは手を差し伸べ合う。
翌日にはそれぞれの朝を迎え、旅立つ。
尾瀬沼のほとりで、そんな人々を受け入れ続ける長蔵小屋。
この先、みなさんと
どのような場へと育てていけるのか、
たくさんのひとと仲間になって、
いっしょに考えていけたらうれしいです。
個人的には、
仕事でも、尾瀬に通い続ける口実ができたことが
なによりありがたいです(笑)。
束の間、暖をとり、お互いの時間を尊重しながら、
不慣れなことは手を差し伸べ合う。
翌日にはそれぞれの朝を迎え、旅立つ。
尾瀬沼のほとりで、そんな人々を受け入れ続ける長蔵小屋。
この先、みなさんと
どのような場へと育てていけるのか、
たくさんのひとと仲間になって、
いっしょに考えていけたらうれしいです。
個人的には、
仕事でも、尾瀬に通い続ける口実ができたことが
なによりありがたいです(笑)。
