三國万里子の  編みものの世界。

作品紹介・ウエア(1)
みちこ 1冊目の三國さんの本、
『編みものこもの』はそのタイトル通り
手袋、帽子、マフラー、靴下など、
こもの作品を集めた一冊でしたが‥‥
なんこ 2冊目の『編みものワードローブ』には、
ちょっと大きめの作品、ウェア類も載っています。
セーターとか、カーディガンとか、ね。
みちこ そう。
なのでこの展覧会にも、
何点かのウエアが展示されていました。
なんこ あ〜、『編みものワードローブ』で見た、
刺しゅうのカーディガンがある‥‥。
じゃあ、これもあった?

協力: 文化出版局 編みものワードロープ
みちこ あったよ〜。
なんこ うわ〜、いいなぁ〜。
みちこ ではでは、ウエア類も
三國さんの解説でご紹介いたします。
なんこ お、このセーター、
三國さんが着ているのと柄が似てない?
みちこ うん。
そのお話も含めて、どうぞー。

国立「野ばら手芸店」の
デッドストックモヘアのセーター

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なんこ

「このセーターは、
 きょうわたしが着ている
 古着のセーターを参考にしてつくったものです。
 今っぽい鮮やかな配色で、
 女の子らしい感じにしてみました。

 わたしが着ているセーターはたぶん、
 ホームメイドの古着だと思います。
 つまり、どこかのお母さんが編んだセーター。
 そういうホームメイドの古着のニットって、
 ハチャメチャに自由な感じが大好きなんです。

 使用した糸は、
 国立「野ばら手芸店」で見つけた、
 デッドストックのモヘアです」


アランのカーディガン

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なんこ

「これは『編みものワードローブ』に載っている
 アラン編みのカーディガンです。

 カーディガンとかセーターには、
 女の人がきれいに見える大きさがある思います。
 ニットって、女の人の体の線を拾いすぎると
 体型以上にむちっと見せてしまうことが
 ありますよね。
 わたしがニットをつくるとき
 いちばんに考えているのは、
 "着て、その女の子が輝く"ことです。
 なので、サイズ感には気をつけています。
 すこしゆとりのあるサイズ。
 中にたくさん着込んで着ぶくれしても
 かわいくみえるように。

 このケーブルの柄は、
 シードウィッシュボーンといいます。
 縁起ものの柄らしいんですけど、
 この模様を使ったアランのウエアを
 みたことがなかったので、自分でつくりました。
 
 個性があって、すこしラフ。
 とても自分好みのカーディガンです」


T字形のセーター

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なんこ

「すとんとした、T字形のセーター。
 これも本に載ったものです。

 編みものの本をつくるときには、
 "ほかの編みもの本で見たことないものを"
 という気持ちが、わりと強くあるんです。
 このセーターも、
 "このパターンを使ったウエアは見たことがない"
 と思ってつくりました。
 カラフルなボーダー模様がおもしろいですよね。

 五分袖なので、
 ちょっと半纏(はんてん)っぽい
 かわいさがあると思います」


子どものための
レースパネルカーディガン

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なんこ

「今回の展示で1点だけ、
 4、5歳の子ども用のニットをつくりました。

 中東の国の写真集を見ていたら、
 窓が木を透かし彫りにした明かり取りになっている
 お家があったんですね。
 その窓のような
 フレームがついているニットを
 つくってみたくなったんです。

 子どもが着るものとしては
 すこし地味なカーディガンなのかもしれません。
 でも、いまのおしゃれなお母さんって、
 あえて素朴なデザインを
 お子さんにコーディネートしてますよね。
 ポップなものと合わせてもかわいいと思います」



スパングルと
刺しゅうのカーディガン

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なんこ

「この展示のために編んだカーディガンです。

 デザインする時には
 どんな人がどう着てくれるか、
 とかイメージしながら作ることが多いのですが、
 これもそうでした。
 古着が好きでおしゃれな女の子が
 太いジーンズと合わせて着てくれてます、
 わたしの妄想の中では。
 襟ぐりがすこし伸びちゃって
 肩が落ちたかんじが好きです。

 スパングルと刺しゅうが大好きなんです。
 そのふたつを組み合わせたものをつくりたい、
 という気持ちから生まれた
 カーディガンでもあります」



モヘアのカーディガン

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なんこ

「これもやっぱり、サイズ感をたいせつにした
 カーディガンです。
 着丈がちょっと長めで、
 そでは手首のぐりぐりが出るくらいの感じで
 作りたかったのです。

 古着屋巡りをしているときに出会った一枚を
 参考にして生まれました。
 それ、とてもかわいい
 モヘアのカーディガンだったのだけど
 一緒にいた編集者さんに買われてしまって
 悔しかったので、もっといいのを作ろうと。
 
 くすんだ色合いのピンクと、
 えりもとの刺しゅうが特徴です。
 あと、このボタンも自慢なんです。
 このピンクに、ぴったりのボタン。
 自分のコレクションの中から見つけました」



なんこ このピンクのカーディガン、
やっぱりほんとにかわいいなぁ‥‥。
って、みっちゃん! この写真!!
みちこ 三國さんが、
「何か着てみませんか?」とおっしゃるから。
なんこ えーーー。
みちこ せっかくなので、
本に載っていた、ピンクのこのコを。
なんこ うわ〜〜、いいなぁ。
‥‥写真は山下さんに撮ってもらったのね。
(鏡に写り込んでいるのを見て)
みちこ うん。
なんかぜんぜん帰らないでぶらぶらしてたから
撮ってもらった。
なんこ 似合う、似合うよみっちゃん。
みちこ ありがとう(照)。
三國さんは自分のサイズで
作品をつくってらして、
たまたまわたしと身長が同じだったの。
158センチ。
なんこ へえー、それでぴったりなんだ。
でもサイズだけじゃなくて雰囲気も似合ってる。
みちこ ありがとう(照)。
なんこ ‥‥とはいえどうしても、この、
写真に写り込んでるおじさんが気になるなぁ。
せっかくの作品のイメージが‥‥。
ちょっと待ってね(画像をいじる)、
‥‥よし、と。
トリミングした。

ぶらぶらしていた48歳をトリミングしてすっきり!
(水曜日に、つづきます)

2011-03-28-MON

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(c)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
イラスト/木下綾乃