糸井重里

・雨だれの一滴一滴が、石の上に落ち続けて、
 いつのまにか穴をあけてしまうというようなこと、
 ほんとうにあるじゃないですか。
 人の考えることも、ほんのしずくの一滴みたいなものでも、
 しょっちゅう思っていたりすると、
 石にできた凹みみたいな「ことば」になるかもしれません。

 昨日スペインの映画『シラート』を見てきてね、
 いやぁ、内容はほとんど言わないようにしますが、
 ものすごいです、続々と伝わってくるイメージが。
 脚本、音楽(音響)、演出、俳優、映像、環境設計、
 なにをどうとっても完璧じゃないかと思えました。
 ツッコミようのない大ボケとも言えるかもしれない。 
 大悲喜劇だとも思えるし、超観念的だとも言えそうだし、
 ドキュメンタリーと錯覚しそうなリアルさがあって。
 「こんな映画を撮りたいんだ」というところから始まって、
 現実に「完成したぞ!」に至るまでの、
 精神的体力的金銭的時間的な「タフぶり」に卒倒しました。

 このすっごい映画を見たことと、
 前々からの雨だれみたいな思いとが重なったんでしょうね。
 「LIFE」ということばの「よさ」が、また屹立したんです。
 こういうことを「考えとして言う」のではなく、
 目の前に置きたい短詩のような「ことば」として書きます。

 ◆いろいろ端折るな。
 それは人生を端折っていることだ。

 ◆一日の生は、一生の生と相似形である。
 今日求めていることは、一生求めていることと同じだ。

 ◆安く、早く、大量に? 
 安く早く大量な人生を送りたいなら、どうぞ。

 映画館を出たところで、そんなメモを書いてました。
 渋谷の駅前は、無数のLIFEで混み合っていました。
 みんな、それぞれお好きなままにどうぞ、です。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
LIFEは、生命、生きること、生活、ナマ、人生。大事です。

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