劇団セルフタイマーへようこそ!
作品鑑賞会#3 室内公演という安定。
 
観覧客A これはある意味、
転機と言える作品ではないでしょうか。
糸井 そうですね、
ここまで野外公演だったのが
一気に室内公演になるわけです。

 

しつない。

これまで野外の活動ばかりだった
「劇団セルフタイマー」ですが、
室内での公演もやってみました。
三脚というものを使えば、
いろんなことができそうです。
でも、まだまだ練れてないです。
タイトルは『溺愛街道』です。

2013/03/15 11:08

観覧客B 解説にも書かれていますが、
室内では「三脚」を使った。
糸井 室内では三脚オーケーにしました。
家の中は周囲の視線が気になりませんから、
だいぶ気持ちが安定します。
なら、安定させる方向で劇団行為をやってみようと。
観覧客C なるほど。
糸井 ちゃんとフレーミングができるんですよ。
なんていうかその‥‥
三脚っていうものは、いいもんだなって(笑)。
観覧客D しみじみ(笑)。
いつも厳しい環境ですからね。
糸井 ええ。
観覧客B たしかに安定はしているんですが、
それでもやはり、
これがふつうの写真とちがうのは、
この「セルフタイマー顔」ですよね。
観覧客C 10秒の勝負が、この視線にあらわれています。
糸井 どんな環境であっても、
落ち着くことはできませんから。
観覧客D それが「劇団セルフタイマー」。
観覧客A 次の作品も、室内での公演です。

 

いえでも。

『劇団セルフタイマー』は、
三脚に新しい活動の道を発見した。
これで、家でも劇団ができる‥‥。
しかし、まだまだ、いろいろ
試行錯誤の段階です。
犬は、セルフタイマーのセットが
はじまると姿を隠そうとします。
<『ブイヨンの気持ち(不明)』より>

2013/03/19 12:24

糸井 室内ということもありますが、
これのポイントは
共演者がいるということです。
一同 はい、はい(笑)。
観覧客B 主演女優さんが
客演の役者さんをがっちりくわえ込んでます(笑)。
糸井 あと、もうひとつのポイントは、
監督が監督としての余裕を失っているところです。
タイマーをセットしてからの助走で、
かんぜんに余裕がなくなって
監督は老眼鏡をはずすのを忘れている。
一同 (笑)
糸井 うっかりでした。
舞台の上では一応、めがねをはずしておきたいので。
観覧客B 役者の自分としては。
糸井 役者の自分としては。
観覧客A 次の室内公演は、「ほぼ日」のオフィスですね。

 

かいしゃでも。

『劇団セルフタイマー』は、
公演のフィールドを求めて、
こんどは、会社にやってきました。
やっぱりホームグランドらしく、
おちついた演技が出来ましたね。
よかったです。
<『ブイヨンの気持ち(不明)』より>

2013/03/19 21:29

観覧客B これは、
女優さんのポーズがとてもきれいな作品ですねぇ。
糸井 そのポーズには秘密があります。
なにかというと、ボールです。
一同 ‥‥ああーーー。
糸井 ボールをこうしているあいだは、
わりとじっとしています。
投げてくれるのを待っていますから。
観覧客C すごい‥‥演出のテクニックだ。
糸井 とはいえ、まぁ、ボールを持ってですよ、
セルフタイマーをセッティングして、
10秒でこのかたちにするんですから、これはこれで‥‥
観覧客D 簡単ではなさそうです。
糸井 (わかってくれてありがとう、という顔でうなずく)
観覧客A そして室内公演は、再びご自宅へ。

 

そうだん。

『劇団セルフタイマー』は、
実力をつけてきています。
三脚のおかげだと思われます。
今日は、新しい劇団員も入って、
さっそく助演をしてくれました。
これは、相談をしている場面です。
のってきました。
<『ブイヨンの気持ち(実感)』より>

2013/03/21 11:25

観覧客B これは、中期の傑作ですね。
観覧客A 感動しました。
作品のクオリティはもちろんですが、
解説文の最後の一行。
「のってきました。」
観覧客B そう(笑)、
劇団解散説をふっとばす発言。
観覧客A ファンがどれだけしびれたか。
糸井 ありがとうございます。
あとやっぱり、この作品も助演がいます。
観覧客C いますね。
助演のかたが脇をかためてます(笑)。
観覧客D ゆったりとした作品に見えます。
糸井 そうですね、室内公演で三脚を使うっていうのは、
相当、余裕がうまれるんですよ。
観覧客A 児童公園での、追い込まれ方にくらべたら(笑)。
糸井 そうそう。
女優の不安も減りますから。
観覧客B この室内公演は‥‥いいカメラで撮りました?
糸井 ‥‥(写真をよく見て)ああ、そうですね。
いいカメラで撮っています。
マニュアルで、
ピントや露出などを合わせるタイプのカメラ。
観覧客C つまり、安定した室内だったら、
マニュアルのカメラで細かい設定ができて、
ゆったりとした作品になる。
糸井 まぁ、そうですけど、でも‥‥
その安定にぬくぬくとしていてもね。
観覧客A そう、そうなんです!
ここからがまた、
「劇団セルフタイマー」のかっこいいところです。

(つづきます!)
2013-06-06-THU
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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
ほとんどのカメラについているのに、 たぶんあんまり使われていない機能、「セルフタイマー」。 糸井重里は、これに着目。 「劇団セルフタイマー」を設立しました。 それはつまり、孤独にがんばる撮影活動。 一座の公演は「気まぐれカメら」で発表されています。 主演女優、ブイヨン。監督・出演、糸井重里。 タイマーセットで本番スタート! 走れ! レンズを見よ! 周囲の目は気にしない! この、ペーソスあふれる活動を、みなさんもいかがですか? 劇団セルフタイマーは団員を募集します。 とはいえ、ほんとに人を集めるわけではございません。 「セルフタイマーで撮った写真を投稿する」、 それが団員になるということなのです。 さぁ、あなたも、タイマー・セーット!