| 糸井 | 
        個人として、さっき、浪費というか 
          消費が好きだっておっしゃいましたけれど、 
          それは、小さいときからですか。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        そうですね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        なんだろう、それ(笑)。 
          親?  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | ルディー | 
        親は名古屋の人間ですから、 
          どっちかっていうと、 
          貯めることで報酬系が 
          活性化するほうです。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        貯めて爆発させますよね。 
          嫁入り道具の見せびらかしっこ、 
          とかすごいんでしょ。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        わたしは名古屋市内だったんで、 
          知ってる友人ではいなかったんですけど、 
          尾張とか三河は。 
          名古屋は基本的には貯める、ケチ。 
          その反動ですね、やっぱり(笑)。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | 糸井 | 
        いやだったんですかね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        ええ、いやだったんです、きっと。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        消費のエピソードとかありますか。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        一応ですね、理性はけっこう、 
          少しは残ってるので、 
          やっぱりこれ以上使っちゃいけない、 
          っていうところはあるのと、 
          それからやっぱり、なんていうか、 
          そんな大きなお金使いませんから。 
          宝石買ったりとか、 
          そんなの絶対しませんから、 
          ですから、まぁ、なんとか。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        ちょうどいいですね。 
          つまり「使わなくて何になるの?」 
          っていうぐらいのことですね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        そうですね。 
          あと、何年生きられるかわかんないのに、 
          使わなきゃ損ってぐらいの感じです。 
          でも、ときたま、なんか、 
          貯金通帳見て、ええ、大丈夫か? 
          って思ってますけど(笑)。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | 糸井 | 
        そんなふうなこと考えてる人に、 
          けっこう、まとまったお金で、 
          何かこう、 
          まるっきり悪いわけじゃない話だけどなぁ、 
          みたいなお金の誘惑が来たとき、 
          自分はどう振舞うと想像します?  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        自分が遊んでいるうちに、 
          お金がお金を生むっていうことは 
          絶対におかしいと思ってるので。 
          もちろん、ある程度の利子、 
          金利が付くっていうのはいいんですけど、 
          そんなうまい話は絶対に乗りませんから。 
          それはやっぱり、いけないと思ってるので。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        はぁー、なるほど。 
          それはモラルという以上のものですね。 
          なんか、理論に近いですね。 
          自分を生かすための。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        そうですね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        他の対談でも、ぼくしゃべってるんだけど、 
          ぼくは自分に対してそういうのが、 
          何で確かめていいかわからないって気持ちがあって。 
          考えてきたことなかっただけに、 
          オレは何で転ぶんだろう、 
          ってことについて、いつも考える人間なんですね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        ああ、はぁはぁ。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        女で転ぶかもしれないってことについては、 
          あ、このくらいで転ぶな、 
          っていうのが、わかってるんですよ。 
          だから、逆に言うと対処できるというか。 
          転んでもいいと思ったら、転べばいいんで、 
          でもお金については、考えようがないんですね。 
          それで、ちゃんと理性があって、 
          お金を持っちゃった人に訊いたら、 
          「それはもう若いときから決まってるんだよ」 
          って言われたんですよ。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | ルディー | 
        うん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        「ぼくは大丈夫ですかね」って言ったら、 
          「糸井さん、全然大丈夫だよ」って。 
          「何で見分けるんですか」って訊いたの。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        うーん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        そしたら「うーん、それは、わかるよ」って言われて、 
          おしまいにされちゃったんだけど、 
          その人は、それこそ、 
          イデオロギー的に左の人たちとかも 
          付き合いがあって、その人たちに 
          けっこう黙って寄付とかもしてきた人なんですよ。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        ああー。 
          うんうん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        それが「ひどいもんだよ」って言うんです。 
          人は、普段言ってることと 
          まったくちがう動きをする、 
          っていうことを、いっぱい知ってるんですよ。 
          で、ぼくは欲しがらないつもりもないし、 
          欲しいし、いっぱいあれば 
          あったほうがいいと思うし。 
          「だけど、なんか、不安なんですよね」って言ったら 
          「転ばない、転ばない」って言われたんですよ。 
          何よそれは、っていうのは、 
          わかんないんですよね。 
          いまのルディーさんのは、だから、 
          自分を守る理論でもありますよね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        そうですね。 
          でも、不安って言えば、 
          いつも不安ですよ、やっぱり。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        なくなっちゃう不安?  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        100歳まで生きちゃったら 
          どうしようって思う(笑)。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | 糸井 | 
        100歳、無理ですよね。 
          ただ、例で言うと、 
          ぼくの産みの母っていうのは88とか、89とか、 
          このあいだ亡くなったんですけど、 
          仕事なんかとっくに辞めて、 
          寡婦として生きてきた。 
          でも年金だけで、 
          しょっちゅう海外旅行とかして、楽しそうに生きて、 
          しかも、ちゃんとそんなに大きくない財産を、 
          ぼくは、もらえる権利を 
          放棄するって書類を作ったくらいに、 
          ちゃんと残して、 
          葬式代もかけずに死にました。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        うん。 
          すばらしいですね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        だから、年金ってすごいですね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        うん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        破綻する、破綻するって言われてますけど、 
          いちばんあれ、絶対、 
          なんとかすると思うんですよね。 
          だから、けっこうね、100歳、 
          心配ないかも。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        うーん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        国がやることだから、 
          信用できないって言い方もあるんだけど、 
          でもね、ほんとに飢え死にするような人が 
          バタバタ現れるってことはないですよね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        そうですね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        そう考えるとね、 
          心配しなくていいんじゃないかって、 
          いちばんいま、なんかね、 
          理論的に言いたくてしょうがないんですよ。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        心配ない、老後のことはと。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        心配されることで、 
          こう、せっかく楽しい時間を。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | ルディー | 
        それを結局ね、なんて言いますか、 
          人間に、市民に説得するのは、 
          やっぱり、政治家の役目ですよ。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        そうですね。 
          おばあちゃん心配なくね、 
          って言ってやったときに、 
          「そうか」って言わせないとダメなんですよね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        不安な人間は消費なんかしないので。 
          やっぱり、それは、ちゃんと 
          政治家がきちんと、国の借金は、 
          これだけあるけども、 
          これで、こうだから、大丈夫だと。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | 糸井 | 
        だって、ものすごく単純に言ってさ、 
          農業人口がこれだけ減ってね、 
          兼業農家がもうほとんどになっちゃって、 
          専業農家なんかいるかいないか 
          わかんない数字になって、 
          で、食料自給率が40%だって、 
          あれも、数字の取り方ですから、 
          食えるだけ足りてるのに、 
          心配だって言わせるわけじゃないですか。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        うん。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        もうそこでウソですよね。 
          心配だって言わせたことでの 
          利権っていうので生きてる人の数が 
          無闇にいるってことだと思うんですよ。 
          だから、たぶん、 
          心配メディアっていうのが食ってる。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        心配メディア。 
          なるほど。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        そいつらを食わせるために 
          みんなを心配させてるっていうふうに思うと、 
          その人たち用の仕事を作って、 
          消費のほうで、そこに人を割り当てたいって、 
          ぼくは思ってる。 
          ‥‥なかなか、大反対されるでしょうね。 
          心配メディアのほうが強いですからね。  
         | 
      
      
        | ルディー | 
        心配メディアね。 
          ほんとですよね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        あんな心配ばっかりさせて。  
         | 
      
      
          | 
      
      
        | ルディー | 
        うん、ほんとですよね。 
          日本なんて、いまのところ 
          他の国よりもいいはずなのに、 
          不安だっていう人がすごく数が多いので、 
          これは、やっぱり、ほんとにおかしいですよね。  
         | 
      
      
        | 糸井 | 
        おかしいよね。 
          ずっとここより低いところで、 
          平気で生きてるんですもんね。  
           
          (つづきます) |