| 糸井 |
ひびのさんは
デザインだとかイラストだとか
絵だとかに関わってきた期間が長いですよね。
ずっと描いてきたわけでしょ。
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| ひびの |
そうですね、常に何かを描いてきました。
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| 糸井 |
描きはじめたころと今とで
変わってきたことはありますか。
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| ひびの |
そうですね、自分の中ではすごく、
変化しているという意識があります。
今回のハラマキもそうですが、
いま、こうやって、
商品開発の仕事が多くなっていますが、
それは今だからできていることだと思います。
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| 糸井 |
ああ。
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| ひびの |
若いころにこういうものをつくっても、
売れるものにはならなかったんじゃないかと。
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| 糸井 |
それは、なにが違うんでしょうね。
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| ひびの |
なんですかね‥‥
「区別」ができるようになったのかな。
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| 糸井 |
区別。
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| ひびの |
仕事で求められることと
自分の性格をわけることができる、という感じ。
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| 糸井 |
なるほど。
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| ひびの |
昔の自分はもっとこう、とんがっていて、
「これしかやらない」
というところがあった気がします。
若いときって、
自分をがんじがらめにするじゃないですか。
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| 糸井 |
うん。
します、します。
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| ひびの |
「これしかやらない」をはっきり持ってないと
自分が崩れそうだったので。
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| 糸井 |
怖いからね。
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| ひびの |
ええ。
そうやって自分を信じてやってきたんですけど、
なんだかだんだんこう、
すこし丸くなったような（笑）。
日常と非日常を
素直にわけられるようになって。
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| 糸井 |
うん。
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| ひびの |
とはいえ、今、
ちょっと非日常が弱くなっていて、
自分ではそこが
「あ、やだな」と思ってるんですけど。
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| 糸井 |
今は、日常の方に強く振れ気味なんですね。
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| ひびの |
ええ、たぶん。
時代性もあるので、
最近はどちらかというと、
「日常」に世の中が寄ってる感じがすごくします。
とっぴなものは
受け入れられにくい時代性かなあ、
なんて勝手に思っているんですけど。
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| 糸井 |
たしかに、時代としてはそうだと思います。
だからこそ、
無茶をしてでもそこを突破している人を見ると
ほめたくなるんですよね。
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| ひびの |
そうですねぇ、
「あの若さはいいなぁ」とか。
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| 糸井 |
ぼくらもそういう役割をしてきたんでしょうね、
若いときには。
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| ひびの |
私はそんなに‥‥糸井さんはそうだけど。
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| 糸井 |
いや、ぼくの場合は広告ですから、
あまり自分を出したつもりはないわけで。
‥‥でも、
湯村輝彦さんとの仕事なんかは、
めちゃくちゃやったかもしれない（笑）。
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| ひびの |
『情熱のペンギンごはん』ですよね。
私はもう、すぐ買いました。
大好きでしたから。
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| 糸井 |
あー、ありがとうございます。
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| ひびの |
私の友だちはみんな持っていると思いますよ。
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| 糸井 |
あれなんかは、なんだろう、
別に挑戦的なつもりでやってるんじゃなくて、
自分から、なんか出ちゃうものだったんです。
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| ひびの |
ああー、わかります。
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| 糸井 |
「だって、出ちゃうんだもん」なんですよ。
親しい友だちと会ってるときの
悪い冗談とかもそれですよ。
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| ひびの |
ええ、ええ。
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| 糸井 |
出ちゃうんだもん。
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| ひびの |
はははは。
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| 糸井 |
ひびのさんにも、
「出ちゃうもの」はありますよね、今も。
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| ひびの |
うーん、どうなんでしょう‥‥。
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| 糸井 |
だって、舞台衣装のお仕事なんかは、
「出すなら出せー」
ってところがあるじゃないですか。
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| ひびの |
そうなんですけど‥‥
でも私、舞台衣装は長年やってますけど、
けっきょく野田秀樹さんとがほとんどで、
ほかの演出家さんからは、
あまり認められていないので（笑）。
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| 糸井 |
そうですか、野田さんがほとんど。
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| ひびの |
で、その野田さんも、
昔はとんでもない衣装でやれたけど、
今はそっちの方向ばかりじゃないんです。
すこしずつ変わってきている。
私もその中で変わらなきゃいけなくて。
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| 糸井 |
うん。
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| ひびの |
とんでもないもの、とっぴなもの、
ハチャメチャなものはすごくたのしいけど、
ずーっとやってても飽きちゃう。
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| 糸井 |
そうですね。
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| ひびの |
そこからだんだんとリアルに、
日常に向かうんですけど‥‥。
それでもやっぱり、すこし残るんですよ。
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| 糸井 |
「出ちゃうもの」が。
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| ひびの |
はい（笑）。
だから、ま、ちょうどいいのかなと思って。
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| 糸井 |
そうですね。
今回デザインしてもらったハラマキも、
日常でたのしく使ってもらえるものでありながら、
題材は、非日常の世界ですもんね。
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| ひびの |
そうですね。
その非日常性は自分でもたのしみにして。
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| 糸井 |
残してありますよね。
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| ひびの |
はい。
そこがないと、やってておもしろくないので。
だから、やっぱりちょっと、
使う人を攻めていく感じが入ってますよね。
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| 糸井 |
軽い、毒が。
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| ひびの |
そうそう。
これも、ただのクマにも見えるけど、
「ドクロパンダ」と名づけて、
パンダだけどドクロなんだよみたいな。
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| 糸井 |
うっすらとした悪意を（笑）。
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| ひびの |
入れてますね。
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| 糸井 |
親しい友だちにだったら、
かならず出して付き合いますよね。
軽い毒とか、悪意とかを。
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| ひびの |
そう、そうなんです。
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| 糸井 |
でもお客さんを相手にしたり、
商品にしたりすると、つい遠慮しちゃう。
優等生ばかりになりすぎちゃう。
その常識みたいなものに、
みんなが慣れ過ぎてるのかもしれないですよね。
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| ひびの |
ええ。
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| 糸井 |
本来、もっと親しいはずです。
「お客さんとは、もっと親しいんだよ」
ってことを、ぼくはすごく言いたい気がする。
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| ひびの |
そうですね。
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| 糸井 |
‥‥あ、そうだ、
親しさで思い出した。
ぼくはいま「緑」と親しいんですよ。
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| ひびの |
緑？
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| 糸井 |
はやりものだから始めてみたんですけど、
「グリーンスムージー」ってのを
毎日飲んでるんです。
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| ひびの |
え‥‥グリーンスムージー？
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| ゆーないと |
（ものすごい勉強になると思って、
ずっと感動して聞いてたのに、
社長、ここにきていきなりその話をする？！） |
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（スムージー？ つづきます） |
