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ほぼ日手帳

糸井重里

・「なんとかさんとは、どこで知り合ったんですか?」
 と、ふと質問されることがある。
 取材なんかではなくて、近くにいる乗組員とかから。
 そういえば、と考えて、すぐに答えられることもあるが、
 思い出してもよくわからないぞ、ということもある。
 いろんな場面で、そのなんとかさんとはいっしょにいた。
 あれもこれもあったことは憶えているのだが、
 もともと、どこで会ったんだっけ? 
 最初は、どこで、いつ、ということがあいまいなのだ。
 年をとって物忘れがひどくなったとも言えそうだけど、
 同じ質問を10年前にされても、きっと答えられなかった。

 ぼくがよく言っている「人生あみだくじ説」で言うと、
 線をたどれるんだけど、始点を忘れてるってことだな。
 ま、いっか。
 この「あみだくじ」というのは、
 スタート、つまり始点もたしかにあるんだけど、
 それは、どこでだれのところで生まれたかってことだ。
 このことも重要なのはわかっているのだけれど、
 その後、何百万回と角を曲がってるわけだよね。
 あの学校に通ってなければ、あいつとは会わなかった。
 あいつに会ってなければ、あのスポーツをやってなかった。
 あの日に、あそこに遊びに行ったから、あの人に会った。
 あのとき学校を休まなければ、あの本を読まなかった。
 一見なんでもない偶然と判断の連続で、
 その先の出来事が変わるし、幸運にも不運にもぶつかる。

 先日、「イトイさんがあの仕事をしてなければ、
 うちの子どもたちはいなかったんですよね」と言われた。
 そうか、あの仕事の場で会った人どうしが結婚したから、
 あの子たちがこの世に誕生したんだよな、すげぇな。
 ぼくの「あみだくじ」は、他の人の「あみだくじ」とも、
 重なり合ったり交差したりしてる、というわけだ。
 思えば、まだ会ったことのない人たちにも、
 なにかの表現を通じて出会ってるとも言えるんだよね。
 怖いくらいおもしろいことだなぁ。
 ぼくの「あみだくじ」は、なんか、
 まだまだ何度も曲がりそうなんだけど、ま、いっか。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
どこで曲がったか、さかのぼって考えるのも、おもしろい。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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