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ほぼ日手帳

糸井重里

・うちの犬ブイコは、犬にしては活動的でない。
 いや、とてもかわいいんですけど、活動的ではない。
 外に出るのは好きらしいのだが、散歩は好まない。
 ちょっと敷地内をうろうろして、すぐに
 「もう帰りましょう」という態度になる。
 先代の犬ブイヨンは、どれだけ長い時間散歩しても
 「もういいです」ということはなかった「もっとだ!」だった。
 しかも、家にいるときでもひっきりなしに
 跳ね回ったり遊ぶ機会をうかがっていた。
 ボールをくわえてきては、ぼくの前でポトリと落とし、
 投げてくれと催促する(岩田さんはよくやらされてたなぁ)。
 投げてやると取りにいき全速力で戻ってきて、
 またポトリと落とす、これを何度でも繰り返す。
 とにかく体育が大好物というか、遊びが命の犬だった。
 いま現在のぼくらの体力では、とても相手しきれないだろう。
 そんな都合に合わせてマッチングしたわけではないのだが、
 いまの二代目の省エネな生き方はずいぶんと助かっている。
 アクティブになるのは、「玄関に誰かが来ましたよ」
 という「ご報告」のお仕事のときだけで、
 このときばかりは一所懸命に吠え立てる。
 いつもいい仕事をしてくれるね、ありがとね。
 さて、こんな二代目でも、ほんのちょっとだけ
 「遊ぼう」と誘ってくることはあるのだ。
 ぼくの視界のなかに入ってきて、小声で「ゔう」とつぶやく。
 そのサインに応えてぼくが立ち上がると、
 おもちゃの置いてあるところに先回りして、
 ゴムのボールをひとつくわえて、その場に置く。
 投げてやると取りに行くが、くわえて戻ってはこない、
 その場にいてぼくがそこに歩いていくのを待っている。
 往復の往はあるけど復がないのだ。
 しょうがないから、ぼくの方がそっちに出向く。
 犬はただ待っている。
 その場から、ぼくはボールを拾ってまた投げる。
 犬は追う、追った先で止まる。
 これを数回繰り返すと、ボールを追いかけなくなる、犬なのに。
 これで、数分間でおしまいである。
 だけど、遊びたくないわけではない、というのが興味深い。
 ま、なんやかんや言っても、やっぱり血は犬なのだろう。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ブイヨンもブイコもぼくも、遊ばずに生きていくことはできない。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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