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ほぼ日手帳

糸井重里

・わたしは「あんこ」が好きです。
 あずきを甘く煮たもの、という言い方もできますが、
 「あんこ」はあずきを煮ただけで終わりではありません。
 煮てから、熱伝導のいい鍋(錫製のサワリという)で、
 焼き付けるかのように熱して水分を飛ばします。
 その過程で、砂糖がやや焦げる手前の
 「弱キャラメライズ」されておいしくなります。
 焦がすのはだめですよ、ねっとりさせるくらいです。

 つい、好きな「あんこ」の話になると、
 聞いてる人に嫌われるくらいしつこくなりがちです。
 わかっております、じぶんだって
 そんなに原理主義的になるのはよくないと思っています。
 だいたい、「あんこ」はあずきでつくるともかぎらない。
 いろんな豆を材料にしても、どれだっておいしいです。
 うぐいすあん、白あん、くりあん、みんないいです。
 場合によっては甘い味に炊いた赤飯(もち米)だって、
 まんじゅうの「あん」として使われます、うまいです。
 さらに、じぶんで言っておいて否定するようですが、
 甘く煮ただけの「あんこ」も、ぜんざいも、しるこも、
 ほんとうはぜんぜん嫌いじゃないです、好きです。

 全国、地方によって、店によって、
 いろんな「あんこ」がありますが、だいたいうまいです。
 これが好きだあれはいいね、ということもありますけれど、
 どれも、まずいもの以外は、みんなおいしいです。
 これでなきゃとか、あれはだめだとか、言ってません。
 「こだわり」とかに向かった趣味は、
 どこかでUターンして「寛容」の広原に着地するのです。
 ごく稀に、「これはどうも‥‥」というものもあります。
 しかし、それは「あんこ」以外の皮とかが、あれなのです。
 「あんこ」は、基本的にいいかげんにつくれないのです。
 材料は豆と砂糖だけで時間もかかる、手は抜けないのです。
 やる気がなくても、あんこ業者から買えばいいのです。
 プロのあんこ工場は、平均的なおいしさは確保しています。

 ぼくは「あんこ」が好きで、「あんこ箱推し」です。
 いつのまにやら、そういう「よき諦観」に達しました。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いつかは外国でも認められるにちがいない、と予言します。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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