糸井重里
・昨日書かれたこの文のタイトルは、
〈きっと、「よかった!よかった!」。〉だった。
サッカーの対ブラジル戦の結果がどうであっても、
「よかった!よかった!」と言いたい気持ちがあって、
予言のつもりでもなく、願いとして、そう書いた。
じゃっかん痩せ我慢みたいなところもあるけど、
「よかった!よかった!」でよかったんじゃないか。
みんなして生中継のスポーツを見ているのって、
どうして、こんなにたのしいのだろうね。
想像するに、「たくさんの人とつながってる」こと、
「たくさんの人が同じような気持ちでいる」ことを
感じられるからではないだろうか。
特に、ふだんの生活のなかでは「ひとり」でいる深夜に、
「たくさんの人がじぶんとつながっている」
と感じられることには、ずいぶんと気持ちよさがある。
「おれのなかまはこんなにいる」と思えば、
生きていることが心強くもなるだろう。
それほど、ふだん人間は「ひとり」なのかもしれない。
音楽のライブ会場でおおぜいの観客といることや、
なにかの考えをひとつにする集会に参加することや、
花火大会やらお祭りのなかにいることなど、
大人っぽく「混んでるねぇ」などとは言うものの、
わざわざ来ているのだから、嫌いじゃないのだ。
じぶんと同じような人がこんなにいる、と思うだけで、
とても原始的な快感が呼び覚まされるんじゃないかな。
他人事のように言ってるぼくも、
「たくさんの人とつながっている」ことは好きで、
「Mr.マジョリティ」などとからかわれることもある。
それでも、正直にいうと、もうちょっと複雑でね。
「たくさんの人とつながっている」ときに、
ほんとに「ひとり」でいるときとはちがう、
別の「ひとり感」に包まれることもあるのだ。
なんだろう、こんなにおおぜいでつないでる手を、
ちょっと離してみたくなるような。
いつでも離せるんだって、試したくなるようなね。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人の気持ちって、ほんとに「表と裏」でひとつなんだよね。
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