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ほぼ日手帳

糸井重里

・あらゆるものごとは「専門化」されていきます。
 過去の人びとの研究や努力が積み重なって、
 もともと「深く掘り下げられていたこと」が、
 すでに土台としてありますから、
 新しく研究する人は、その土台をもとにして、
 さらに深く掘り下げられるようになります。
 それはもう、ノーベル賞のレベルの研究も、
 ある領域に関するオタク的な知識も、
 どんどん「専門化」していくのは必然でしょう。

 脳の研究をしている方から聞いたことがあるのですが、
 「脳の研究」とひとくちに言っても、
 脳のどの領域の、どんなことについて研究しているかで、
 他の領域の脳の研究者には理解が追いつかないらしい。
 この先、「専門化」している知識を、
 さらにAIが「専門化」させていってくれるでしょうから、
 ほんとうにたくさんの領域のものごとが、 
 ブラックボックスに収納されていくのでしょうね。

 かつて、自動車の教習とかで「構造」という授業があって、
 エンジンの構造とか、吸入圧縮爆発排気なんて習ったけど、
 いまはもう、そんなことは教えてないみたいですね。
 構造の知識が多少あっても、直せるようなものじゃないし。
 ま、スマホが壊れたからといって、
 蓋を開けて直そうという人もいないだろうし、
 つまり、「買い直せ」ということですよね。

 そういう時代になると、専門的な知識ではないけれど、
 どういうことについては、「どこらへんの棚」にあるかとか、
 「どういう関係者」がいるのかとかについて、
 知識の体系的な地図が描ける人が重要になっていく、と。
 P.F.ドラッカーが1990年代初めから言ってるんですよね。
 それは「教育ある人間(knowledge people)」の
 役割であるということを。
 2025年にもなっているけど、このことを痛切に感じます。
 「博学」も「知ったかぶり」も、AIに敵うはずがないし、
 すべてが「専門化」していく時代に、なにを学ぶのか? 
 人間が、根本的に問われていることだと思います。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
それにしてもドラッカーおそるべし、と思っちゃいます。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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