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ほぼ日手帳

糸井重里

・もう27年以上、毎日ここになにかしらを書いているので、
 同じことも何度か言っているのだと思う。
 「電線にとまっている鳥は、なぜ落ちないのか?」
 については、たぶん二度か三度は書いている。
 ぼくが若いときに本で読んで、感心したテーマだった。
 もちろん、鳥の足の構造について答えてもいいのだが、
 そのときの答えは、「落ちても飛べるから」だった。
 この答えについてとても「感心した」のもほんとうだけど、
 ずっと「なんとなくもっと考えたい」ような気がして、
 なにかと、思い出したりしている。
 この問いと答えについて、実感ができないままなのだ。

 ずっと考えていると、じぶんなりの「説」も生まれる。
 公園の鉄棒に膝を折り曲げて、ぶらさがっている子どもが、
 たのしそうにおしゃべりしている動画を見ていた。
 身体をブランコのように揺らしたりしている。
 心配性の大人なら「危ないからふざけてはだめ」と、
 やわらかく注意するかもしれないし、
 実際に落ちることもあるし、危険がないわけじゃない。
 鉄棒やブランコ、木登りにしても、落ちたら危ない。
 それはそうなのだが、遊んでいる本人はそう思っていない。
 じぶん自身も、そうやって危ないかもしれない遊びを、
 さんざんやってきたという覚えがある。
 そういう遊びをするのは、「勇気」があるからじゃない。
 ただ「ぶらさがって遊んでいる」だけなのである。
 「勇気」が要らないほどの「自信」があるのかと考えても、
 そういうことでもないだろう。
 「勇気」とか「自信」とか考えてやっているのではない。
 さらに「落ちるとか落ちない」についても、考えていない!

 電線の鳥についても、「なぜ落ちないのか?」とは、
 人間の考える疑問なのであって、鳥は考えちゃいないのだ。
 「飛べるから」自信があるというわけでもないんだよな。
 つまり、人間の子どもも、鳥も、落ちるときは落ちるんだ! 
 運といってもいいし、事故と呼ばれるかもしれないけれど。
 確率的にほとんどは落ちないんだけど、落ちることもある。
 「できることを、ただやっている」っていうのは、
 できない人間から見たら、疑問になるということなんだな。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
なんでも「思い」や「考え」が先にあるわけじゃないんだ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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