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ほぼ日手帳

糸井重里

・象というと、「まぁ、だいたいこういうものだ」
 というイメージがあって、世間知らずなぼくも、
 「まぁ、だいたいみんながそう思ってる」と思っていた。
 しかし、これは、ぼく個人の勝手なイメージである。
 ぼくが想像している象は、あくまでも、
 ぼくや、ぼくと同じような象を思っている人だけに
 共通するイメージなのであって
 (それが、仮にとても大多数であったとしても)、
 「ぜんぜんそうじゃない」象を思ってる人はいるのである。
 それはそうなのである、たしかにそういえばそうなのだ。

 と、ここまで読んできてくれた人、みなさん、
 それぞれ、どんな象を思っていたことだろう? 
 たぶん、実際、ほとんどの人が
 だいたい似たような象をイメージしているだろう。
 しかし、どうしたって、いろいろな人がいるわけで。
 象というと「鼻」のことしか思わない人だっている。
 「象は、ぐねぐねと蛇のような生きものだ」とかね。
 「鋭い切っ先をもった牙こそが象です、危険そのものです」
 「巨体で善良な動物に対して攻撃してくる敵です」
 などなど、そういうイメージを持ては、そう見えるわけで。
 ある意味では、「だいたい似たようなイメージ」よりも、
 詩的跳躍があって表現としておもしろいとも言える。
 ぼくも、そういう別の角度からなにが見えるのか、
 さんざんやっていることだから、なにも不思議はない。

 インターネット以後、すべての人がメディアを持った。
 なので、「だいたい似たようなイメージ」でないものも、
 だれでも見られる巨大な掲示板に現れるようになった。
 それが「いろいろあるなぁ」という多様さばかりでなく
 「象の鼻は蛇であるはずがない、アホである」とか、
 「象の牙の危険に気づかないバカ共」とか
 「象程度のものを巨体だなんて、鯨を知らないのか」とか、
 じぶんの見ているもの以外は認めない者どうしが、
 乱暴に争うような場面が多くなってしまった。
 街頭のケンカには、野次馬が集まって人だかりができる。
 それも「注目を浴びる」の一種ではあるのだけれど。
 ま、こういう状況も「距離感」の学びのうちなのだろう。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
思うのは、近くにいる人、隣人を大切にしようということ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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