糸井重里
・よく眠れないことを自慢したがる知人と話していた。
やがて、彼とぼくとは、同じ睡眠導入剤を飲んでいる
ということがわかった。
同病相憐れむというけれど、こういうことは、
ちょっとお仲間ができたようでうれしいのだ。
しかし、その当時のぼくは、
そのクスリを要らなくする練習をしていて、
けっこううまいこと行くようになっていた。
ぼくは、たぶん、今日も飲まないで寝るはずです。
「え、そんなこと言わずに、飲みましょうよ」
というようなことを、相憐れむ人は言いたがった。
実にいい人なのだけれど、こういうところがある。
前も、タバコをやめることについて、
あれこれ屁理屈をこねて、なかなかやめなかった。
ぼく自身も、かなり苦しんだあげくにタバコをやめたので、
できることなら、やめたほうがラクになるということを、
彼に伝えられたらいいなとは思っていたけれど、
まぁね、そんな一筋縄で縛られてくれるような男じゃない。
その後、本気で医者に恫喝されて、やめたんだけどね。
いまは、睡眠導入剤で同じようなことを言っている。
ぼくが、そのクスリを飲まないようになっているのは、
実は、「主観」のコントロールのおかげだ。
「眠れないことなんか、気にするな」
「横になって目を閉じているだけでもいい」と、
不眠への考え方をあらためて考え直したせいなのだ。
(ここからさらに長い時間しゃべっていたのですが)
で、最近は「すごく進化した睡眠導入剤が開発された」
という、いかにもその道のオタクみたいな話題になった。
いろいろたいへんに都合のいい改良が加えられていると。
「ただね、唯一の欠点が、悪夢を見るということらしい」
わぁ、悪夢はいやだなぁ、ぼくは悪夢は勘弁してほしい。
「わたしも、それはかなり抵抗があります。
だから、なかなか試す気にもなれないんですよ」。
そうでしょうそうでしょう、よくわかりますよ。
「でもね、それを紹介してくれたお医者さんはね‥‥言うの」
どうなんですか、お医者さんは?
「悪夢、みればいいじゃないですか。おもしろいし」
おおお!これも「主観」で制御かよーっ!
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
たしかに悪夢も夢だから、目が醒めたら終わるんだけどね‥‥。
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