糸井重里
・有名だったり、大評判だったりする料理店の、
「至高の味」だったりミシュラン星いくつみたいなものも、
もちろんいいんだけれど、そういう料理をつくる人たちの
「まかない料理」や、「家庭料理」を食べたいと思う。
なかには「わたしは家では料理しないんです」という人も、
けっこう多いのはわかっているが、だとしたら、
そんな人の好きな「近所のおいしい店」とか行ってみたい。
この考えは、ほぼ日刊イトイ新聞をはじめたときから、
けっこう、ぼくのなかに基本的にあるものだ。
難解で知られていた吉本隆明さんの連載も、
「吉本隆明・まかないめし。」と題してはじめたっけ。
高い食材を使ったり、手間を惜しまずつくった作品でなく、
気軽に「食べていきなよ」と出される「ふだんのごはん」。
こういうもののほうが、親しく付き合っていけるものだ。
むろん、高級も豪華も繊細も至高も究極もいいよ。
だけど、なんだかぼくは、「いつもの」がたのしみなのだ。
最近「日常の西餅」というマンガのシリーズを知った。
本職のマンガ家として描いている作品とは別に、
もう1ライン、じぶんの「日常」のことを描いている。
簡単な線で日記的に描かれたものだが、
親しい人とたのしい会話をしているような気になる。
そう、まさしく「まかないめし」「家庭料理」なのだ。
そういえば、ヒグチユウコさんの「ボリス絵日記」も、
ゆるーく日常を四コマで描いていたけど、最高だったし、
石黒亜矢子さんの「てんまると家族絵日記」も、
ほんとにおもしろいし、大好きだったが、
どちらもある時期でそれ以上描かれなくなっていた。
「ほんとの仕事になっちゃう前にやめた」のではないか、
とも想像するのだけれど、読者としては延々と読みたい。
読み手を感心させてやろうなどとも思わず、
ひょいひょいとつくる「家庭料理」的な作品って、
ぼくにはもう、そっちのほうが好きというくらい好きだ。
◆今日の質問no.092「好きなおやつ、あるいはおつまみ?」
ちょっと考えて。よかったらメールにも書いて送ってね。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「生活のたのしみ展」というのも、似たようなことかもなぁ。
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