糸井重里
・日本のなかにいて、日本語を使う人に伝える表現をして、
日本に育った人ならある程度わかる文化を共有して、
やってきたんだと思うのです、ぼく自身が。
ぼくばかりでなく、そういう人は多いと思います。
国際化とか言われてきたのは、ずいぶん昔からですが、
日本のなかにいる人だけでも、かなり数は多いです。
つまりは「市場」としても、日本は頼りになるわけです。
ぼくが、多少でも外国を意識してきたのは、
輸出よりも輸入のほうだったと思います。
なにより音楽が、そうですよね。
日本古来からの民族音楽を聴いてもいなかったし、
外国からのたのしそうな音楽を、
日本のなかのみんなで共有してよろこんでいました。
美術でも、同じくです、日本画のほうがめずらしいくらい。
外国の美術の歴史や美意識を学校でも教育されてきたし、
街にあるデザインはみんな外国からの影響がありました。
だいたい、そうだよ、洋服を着て暮らしているんですから。
外国の文化を、輸入してとりいれて、
それを日本の、それなりに大きな「市場」で表現する。
ずっとそういうことをしてきたわけですよね。
お客さんは、あくまでも日本の人たち、というつもりで、
音楽でも絵でも、映画でも芝居でもマンガでも文学でも、
基本的にはつくられていたのです、ほとんどがね。
まぁ、言ってみれば、わかってくれるなかまに向けて、
表現活動がされてきたということです。
そのうちの一部が、「外国の人にも通じるんだ」という
喜びや驚きとともに、まれに輸出に成功してきたわけです。
外国の賞をもらうとか、単発的に売れてしまうとかね。
しかし、いつごろからか定かではないのですが、
世界の、別の地域の別の言語を話し、
別の文化で育った人たちに向けて、輸出するということが、
ある意味自然に、ある意味意図的にはじまってきています。
それによって、あらたに得られることと、失われることが、
どっちもあると思うんですよね。
大いに「どっちもある」時代を、どう生きていくのかなぁ?
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いま現在も、ヒントはたくさんあるようにも思えるんですが。
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