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ほぼ日手帳

糸井重里

・もしかしたら、もうとっくに
 どこかで言われているのかもしれないけれど、
 「老害」って言われるのはいやだなぁと思う。
 ぼく自身が、若輩者であったり若造であった時代もあるが、
 周囲に「老害」だと思える人があんまりいなかった。
 どこかのお店で知らない人が「老害」ぶりを見せていたり、
 人の話のなかに出てくる「老害」の例はときどきあった。
 しかし、ぼくが仕事をしたり、よく会ってた人のなかに、
 「老害」だなぁと感じさせる人は、ほんとにいなかった。

 知っている先輩方や、よその歴史ある人たちは、
 みんな「人の話をよく聞いてくれる」し、
 固定した考えを押し付けるようなことはなかった。
 ガミガミ叱ることもないし、自慢話をすることもなかった。
 尊敬できる先輩たちは、歳を重ねてもみんな謙虚だったし、
 「許し方」が上手だったとも思う。
 ドラマのなかでは、いかにも「老害」と言われそうな人が、
 権力を振るったり、人を抑えつけたりしているが、
 現実にそういう人に関わらずに長く生きてこられたのは、
 ぼくがほんとうに幸運だったということかもしれない。

 いい年寄りをたくさん見てきたので、
 ぼくも、あんなふうでありたいという気持ちになっていた。
 それでも、油断すると「老害」ということになるかなぁと、
 人知れず気にしてはいるんだよ、とは言っておきたい。
 男はいつもよくよく気をつけてないと、
 「ケチ」と「スケベ」になるものだと教えられたが、
 年をとったら「老害」にもなるんだろうかと、
 けっこう気にしながら20年くらい過ごしてきた。

 年齢の高い人間を攻撃するときには、
 「老害」とさえ言っておけばもっともらしく聞こえるから、
 ぼくの知っている先輩たちも、みんな言われてはいたね。
 たしかに、その人たちもそれぞれ「老」ではあったからね。

 いまのところ、じぶんについては、
 年下の人たちをおもしろがったり尊敬したりしているので、
 まだ大丈夫かなぁと判断しているけど、どうでしょう。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
害虫と益虫みたいに、「老害」じゃなく「老益」がいいねー。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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