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ほぼ日手帳

糸井重里

・あいかわらず「ちいかわ」のことばかり考えている。
 興行収入が67億円を突破したぞ、大ヒットだぞ、
 というようなニュースが伝えられているが、
 きっとそれは「想定していたこと」なのだ。
 だって、これだけおおぜいの人が入場しても、
 おまけ(入場者特典)の数がちゃんと足りているのである。
 もちろん、各映画館にそれが準備されていたからだ。
 「買ってでもほしい」と言われる入場者特典を、
 あらかじめ100万個以上もつくってあって、
 各劇場に段ボールとかで納入してあったから配れるのだ。
 ぜんぜん大騒ぎでドタバタしているなんてことはない。
 「ちいかわ」がスポーツのチームだとしたら、
 「守備力」もたいしたものだと感心するばかりである。

 作品については、あちこちで「考察」されているので、
 そこらへんについては、ぼくはやや遠慮しておくが。
 人びとは、どうして「ちいかわ」について、
 こんなにしゃべりたくなるのだろうか? 
 その秘密は、いろいろあって、それについても
 きっとみんなが語りたがっているのだろうけれど、
 ぼくは、以下のことをおもしろいなぁと考えている。
 「ちいかわ」の主要な登場人物たちは、
 ほとんど「言語」を話していない、ということだ。
 主人公のちいかわは「フッ」とか「ウン…」とかばかり、
 うさぎも「プルルル」「ウラ」「ヤハヤハ」みたいな
 掛け声しか発していないのである(まるで幼児だ)。
 ほとんどハチワレがひとりで言語を話している。
 それで、あの世界が成り立っているというところに、
 読み手が「大量の言語を想像する余地」があるわけだ。
 うなずきあったり、笑いあったりするだけの場面が、
 いい感じで何度も何度も出てくるんだよね。
 主人公たちがいちいちことばにしていたら、
 読者がそこに注ぎ足す言語はいらなくなるからね。

 ◆今日はno.007「いちばん怒ったことはなんですか?」
 過去でも現在でも、よく考えて手帳に記してください。
 よろしければ、メールにも書いて送ってくださいな。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくの周囲でも「ちいかわ見た人」が加速度的に増している。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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