外に出られる日々がかえってきたこの頃。
今季は、アクティブな気持ちと
一緒になってたのしめる
晴れやかな色のラインナップになりました。
うつくしい光をあびたような色に、
ちょっとした遊び心をしのばせて。
また、シグネチャーラインは素材がアップデート!
特別なシルク100%のma.to.waに全身包まれたい、
という願いを叶えるラインナップも。
また、アーティスト・ひがしちかさんの
アートワークをプリントしたアイテムも登場。
身につけるだけで、
気分がうきうきするアイテムたちです。
ご一緒した方々にくわしいお話を聞きました。
つきのみせ。× ひがしちか
山の暮らしとアトリエ探訪。
ひがしちかさんのお話。(前編)
長野の標高1180mの八ヶ岳山麓にある
アーティスト・ひがしちかさんの
ご自宅とアトリエにうかがいました。
ひがしさんのアートワークをほどこした
つきのみせの下着もお見せするために。
まずは、あたらしくできたアトリエと
住居のまわりを探訪させてもらいます。
文化服装学院卒業後、アパレルの仕事などを経て独立。
1点ものの日傘ブランドとして
「Coci la elle(コシラエル)」を2010年にスタート。
ひがしさんが一本ずつ手書きや刺しゅうを
ほどこした日傘を製作した。
2022年にブランドをクローズし、
現在は依頼されたアートワークなど、
自身の創作活動を行っている。
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「今日は泊まっていかれますか?
ここに来て、日帰りなんてもったいない」
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はじめてお会いするひがしさんが
笑顔でたずねてくださった言葉を、
帰り道、何度も反すうしました。
「ああ、もっと居たかった。もったいなかった」。
その日のことを、何日経っても思い返すほど、
とても気持ちのいい場所でした。
ひがしさんの暮らす場所は
青々とした緑にかこまれ、
鶏やヤギなど動物たちものびのびと暮らし、
庭にあるサウナの横には川が流れ、
アトリエにはひがしさんの「好き」が
隅々までたっぷりとつめこまれています。
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もちろん、山の中なので、
厳しい自然と対峙しながら、
ときに大変なこともあるかもしれません。
ですが、不便なことはないと
ひがしさんは話します。
「鶏を飼っているので毎朝卵をもらって、
育てている畑で野菜をとってきて、
ニホンミツバチの養蜂もやっているんですよ。
自分の手でつくるっていうところが、
創作活動とつながっている気がして、
とても楽しいんです」。
あたらしくできたばかりの
アトリエの入り口にも、
ひがしさんが「育ててみたい」という気持ちで
直感的に選んだという、
ハーブや花が植わっていました。
ひがしさんとつきのみせで一緒につくった
アイテムを見てもらう前に、
まずは、あたらしいアトリエを
散策させてもらおうと思います。
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ひがしちかさんとほぼ日の出会いは、2013年。
(「ほぼ日のいい扇子」では
繊細なデザインですずやかな扇子を
デザインしてくださいました。)
ひがしさんは日傘ブランド
「Coci la elle(コシラエル)」を主宰し、
ひとつひとつ手描きの絵柄や刺繍をほどこした
一点モノの傘を製作してきました。
手をつくし、心をつくした
丹念なものづくりで、
東京と神戸に直営店を営む盛況ぶり。
ひがしさんの作品といえば、
日々の風景や感情から生まれるという
独創的な色彩が魅力的です。
ハンカチや洋服など
さまざまなアイテムにもプリントされ、
なかには何度も生まれ変わる絵柄も。
手にする人や目にする人の日常を彩る、
詩的な絵柄は唯一無二のものです。
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2017年にアトリエと住居を
現在暮らす長野県に移し、
創作活動を続けられてきました。
2010年に「コシラエル」がスタートし、
ちょうど1年前の2022年8月、
ブランドをクローズすることを発表。
現在、ひがしさんは、
あたらしい創作の種を育んでいます。
自宅とアトリエのある場所は山のなか。
家の前には鶏小屋があり、
ケージに入れず自由に歩き回れる環境で
飼育する「フリーレンジ」という方法で、
鶏を30羽ほど飼っています。
その横にはしらすという名前のヤギ、
向かいには愛犬のあんこ。
すこしさびしがりやなふたりは、
活発な鶏たちの仲間に入れてもらいたさそう。
そんな、愛くるしい動物たちに出迎えられ、
自宅をぐるっと見せてもらいます。
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ひがしさんが生活のなかで大事にしていること、
それは「地球に負担のない暮らしをする」
ということ。
「なるべく、壊したり新しく買ったりせず、
身の回りにあるものや
廃材になってしまったものを再利用して、
暮らしたいと思っています。
どんなエネルギーを使うか、
考えることは大切ですよね。
たとえば、玄関にある
イエルカ・ワインさんの薪ストーブは、
自宅をあたためてくれるのと同時に
料理にも使うことができます。
小枝を拾ったり、薪割りをするのは
手間がかかることだけれど、
化石燃料や電気エネルギーを使わず
身の回りのもので暖を取れる。
あたたかさも充分ですし、
火が燃える姿もきれいなので
すごく気に入っています。
庭にあるサウナは、
リサイクルショップで買った
廃材でつくったもの。
サウナのあとは
目の前に流れる滝に飛び込んで、
自然の中でサウナを満喫します」。
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アトリエは、最近完成したばかり。
もともと近所にあった別荘を買い取り、
リノベーションしました。
「太陽光の自然な光で家をあたためる」
という建築家ベングト・ヴァーネの
考えに影響を受け、
温室のなかに家を建てる原理で設計。
暖房をつかわなくても
おうちの中があたたかいのです。
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ガラス張りの入り口スペースには
使われなくなった家具やバスタブを用いて、
たくさんの種類の野菜やハーブが植わっています。
「赴くままに」植えられたという植物たちも、
どこか自由気ままで気持ちよさそう。
アトリエの製作スペースから庭を望むこともでき、
モネが慈しみ続けた庭のように、
ひがしさんにとってもここが
“創作の源泉”になっていました。
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中は、壁を壊してひとつの広い部屋に。
母屋とはおもむきがことなり、
置いてあるものひとつひとつに
ひがしさんらしさが宿っています。
「壁にかけてあるお面は、
近くにある民芸品屋さんに何度も通って
購入を決めたもの。
母屋は家族も一緒に長い時間過ごすので
居心地の良さを重視していて、
アトリエには私の好きなものや
お店で飾りに使っていたものなど、
思い入れのあるものがならんでいます」。
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向かって左、庭側は大きな机に画材が並んだ、
創作用のスペース。
押し花やつんできた植物も見受けられました。
山を望む裏庭側にも広い窓枠があり、
小さめの机に鉛筆やノートが広がっています。
気がつけば、頭のなかでずっと考えごとを
しているというひがしさん。
ここは、窓の景色を眺めながらゆっくりと、
思考をめぐらせるための大切な場所なんだそう。
「山の景色は時間や天気によって様変わりします。
なので、窓の外の景色が毎日のように違う。
自然の雄大さを感じる、お気に入りの場所です」。
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見学の時間は、
いくらあってもたりません。
淹れていただいたお茶をいただきながら、
すこし、ひがしさんのいまの暮らしぶりについて、
お話を聞きたいと思います。
(つづきます。)
8.2(WED)ON SALE