SPRING & SUMMER & ANYTIME

 “あの人”に〈O2〉の夏服をつくってもらいました。

予告08 〈O2〉Frais - Frais

〈O2〉チームのメンバーが かつて惚れこんだ服がありました。 シンプルだけど品が良くて、 使われている素材の上質さに魅了され、 ついつい手に取ってしまう。 気がつけば何着もワードローブにそろっていました。 しかし数年前にそのブランドがなくなって とても残念に思っていたところ、 そのブランドのデザイナーさんが 自身のブランドを始めたことを知ったのです。 そこで、〈O2〉でご一緒できないかと わたしたちたっての願いでオファーしたところ、 こころよく受けていただき 今回実現することができました。 恋焦がれたそのデザイナーは 現在Nikki ESSENTIAL PIECES (ニッキ エッセンシャル ピーシーズ)を 手がける浅川智子さん。 はじめましてということもあり、 浅川さんの服作りの原点をうかがい、 今回フレフレシリーズでデザインしてくださった スキッパーロングドレスとドレスサロペットについても たっぷりお話をお聞きしました。

浅川 智子(あさかわ さとこ)

文化服装学院アパレルデザイン科卒業後 大手アパレルなどを経て、2015年、 セレクトショップBLOOM&BRANCHの プライベートレーベルPhlannelの ウィメンズ企画として参画。 2023年、ブランドの終了と同時に、 Phlannelの続きとして小金毛織㈱の協力のもと、 ユニセックスブランド、 Nikki ESSENTIAL PIECESを立ち上げる。 自身のブランドの傍ら、 フリーランスデザイナーとしても活動中。

Instagram:

@nikki.essential.pieces

―― ほぼ日でも〈O2〉でもはじめてご登場いただく、 Nikki ESSENTIAL PIECESの浅川智子さんです。 今回、夏のワンピースとサロペットのデザインを 手がけてくださいました。

〈O2〉スキッパーロングドレス
〈O2〉ドレスサロペット

浅川 はじめまして、浅川です。 お声がけくださりありがとうございます。

―― わたし(中山)が惚れ込んでいた 「Phlannel(フランネル)」というブランドは 浅川さんがデザインされていたもの。 いまはもうクローズしてしまった 「BLOOM&BRANCH(ブルーム&ブランチ)」のお店で 出会って以来、ずっとファンでした。 カジュアルすぎず、品があって、 ずっと着ていたいと思わせてくれて、 手ばなすこともなく大切に着ています。

浅川 長く着てもらえるような服を作りたい という思いでやってきたので、 そう言っていただけることはとてもうれしいです。

―― 浅川さんが作られる服には、 長く飽きずに着られる普遍性が そなわっていると思うんです。

浅川 最近の風潮として直感的にいいと思ったものを買って、 着て、そして飽きたらフリマアプリで売って‥‥ というような速いサイクルができていますが、 その循環からはちょっと距離を置いて、 できればひとつの服をボロボロになるまで着てもらえるのが いちばんうれしいなと思っています。

―― ファッションは昔から好きだったのですか?

浅川 小さいころからとにかく洋服を着るのが好きで、 高校に行くころにはファッションに目覚めて いろんなところに洋服を買いに行っていました。 当時、インターネットもないので 雑誌の『Olive』や『SPUR』を読んで情報を得たり、 当時流行っていたアニエスベーの洋服が欲しくて 富山から東京に遠出したりしていました。

―― それほどにファッション熱が高かったんですね。 スタイリストや販売員ではなく、 目はデザイナーに向かっていたのですか。

浅川 ものをつくる、絵を描くことがもともと好きで、 何かをつくって見せると クラスの子がよろこんでくれるとか、 「それほしい」って言われたりすることがうれしくて、 その延長線上にデザイナーがあったのだと思います。 そして、高校を卒業してから上京して、 文化服装学院で服づくりの知識やデザインを学び、 卒業後はブランドのPR兼ディレクションを行なっている 会社や大手アパレルメーカーで研鑽を積んで、 今にいたります。

―― 浅川さんがつくられる服を見ると、 主張しすぎない繊細なデザインに魅せられ、 さわると肌ざわりや着心地の良さに 気づかされることが多いです。

浅川 最初に入った会社で、 あたらしいことに挑戦させてもらったり、 いい素材を使って手の込んだものをつくったりしていて、 新人の頃から海外の素材や織り柄に見て触れたことが 大きな学びとなっていたように思います。 そして、子どもが生まれて生活がガラリと変わって、 おしゃれなんて二の次で、 シワシワの服を着るような生活になったんですけど、 そのとき、おしゃれできない中でも 着心地ってすごく大事だなってあらためて思ったんです。 見た目ではわかりにくいけれど、 洋服を着て気分を上げるとか、 いやされるということの大切さに あらためて気づかされました。

―― そんなご経験があったのですね。 浅川さんが目と耳と手で感じた 実際の日常の生活から生み出されてきた服。

浅川 服づくりにおいては ナチュラルな要素を入れながらも、 モダンに見えるように意識しています。 基本的に天然繊維をベースにしているため、 人によっては「ほっこり」と捉えられることもありますが、 モダンでシャープに見せたいと心がけています。 けっしてキャッチーなものではないですし、 Phlannelのときもそうだったのですが、 食事でいうとメインのおかずではなくて、 ごはんのような存在でありたい。 主役ではないけど、 なくてはならない存在でいられたらいいなって思います。

―― そして、Phlannelのデザイナーを経て、 ご自身でNikki ESSENTIAL PIECESをスタート。

浅川 Phlannelでは布帛(ふはく)を得意としていたのですが、 ニットがよかったという声もいただき、 前職時代にいい関係を築いていた紡毛紡績メーカーの 小金毛織さんが支援してくださったのにも後押しされ、 Nikki ESSENTIAL PIECESをはじめました。

―― ブランド名は日本語の「日記」からですか?

浅川 はい。日常を大事にしたい。 通勤するときも、家にいるときも、 着ていて心地いい服をつくりたいから、 日常を大事にしたいという思いがあります。 日々を記録するための、日記。 さらに、「日常のひとコマ」という意味で エッセンシャルピーシーズという言葉をくわえて。 いまはニットアイテムが中心ですが、 いずれシャツやアウターもやりたいなって思っています。

―― ありがとうございました。 それでは、今回〈O2〉のためにデザインしてくださった スキッパーロングドレスとドレスサロペット、 ふたつの夏服を見ていきたいと思います。 どちらも、真夏にも1枚でらくに、 かつ品よく着られるものを、と リクエストさせていただきました。

〈O2〉スキッパーロングドレス

浅川 まず、多くの方が似合うことを前提として、 そこにちょっと自分らしさをプラスしようと考えました。 デザインとしてはシンプルなんですが、 身幅や着丈の分量を調整することで モダンでかっこいい印象を目指しました。

―― 身幅はたっぷりしているのに、 だぼっとしているのではなく、 ゆとりを感じるくらいのワイド加減。

浅川 やぼったくならないバランスを見つけました。 あとは、真面目になりすぎないように、 肩を落として袖口まわりにギャザーを入れることで 女性らしさと抜け感を出しています。

浅川 うしろのセンターにタックを入れているのも、 着ているときに動くと立体的な表情がうまれます。

―― 着ると体に沿わなくて、 風がふわっと抜けるようなシルエットです。 襟元もいやらしく見えない絶妙なあき加減で、 誰もが抵抗なく着ていただけそうだと思いました。

浅川 一枚で着られるといいなと思ったので、 襟が開いたときにきれいに見えるよう 角度には気をくばりました。 つめすぎると着るときに頭が入らないし、 あきすぎているとツヤっぽくなってしまうので、 ちょうどいいあき加減を探りました。

―― 着丈も、ぎりぎり地面につかないくらいの フルレングスで着ていただいたほうが 大人っぽくかっこいいと、 長めの着丈をご提案いただきましたね。

浅川 着丈だけが異なる2サイズ展開で、 SHORTが123cm、TALLが131cmあります。 ご自身の身長や合わせる靴によって お好きなほうを選んでいただけたら。

―― 〈O2〉ではめずらしい ストライプ柄も目玉のひとつです。

浅川 ストライプはシャツ専門メーカーの生地を使っています。 青と白の単純なストライプでなく、 青、白のほかにオレンジっぽい色の 細いラインも入っているんですよ。

―― そして、夏らしいシアサッカーのような生地でも ご用意いただきました。 光に当たるとうっすら透け感が出てすてきです。

浅川 どちらもコットン100%ですが、 生地に表情があることで雰囲気がぐっと高まりますね。

―― もうひとつが、ドレスサロペット。 デザインや着こなしによっては ついつい子どもっぽくなってしまいがちなアイテムですが、 大人の女性が着てもすてきに見えるようなものを リクエストさせていただきました。 誰もがかっこよく着られる一着になっています。

〈O2〉ドレスサロペット

浅川 サロペットはもう世の中にたくさんあるから、 つくらせていただくならシンプルにいこうと。 肝は生地の分量。 ウエストや胸まわりのサイズ感を出しつつも おしりまわりの生地は出すぎず、 やぼったくならないさじ加減で、 胸から股上が長いのもポイントです。 そこが短いと子どもっぽくなるので、 長さを調整して、幅もちょっと太くして、 横から見たときにすっきり見えるようにしました。

浅川 肩にショルダーベルトをかけたとき、 ベルトが細いほうがモダンに見えて ひきしまった印象になるんですが、 どうしても着にくい感じがあります。 そこで、子どもっぽくならない範囲で太くして、 肩からずり落ちにくい傾斜をつけました。

―― ワンサイズというのも大きなポイントですね。 ショルダーベルトの後ろ側に ボタンホールが4つついているので、 好みの丈感に調整できます。

浅川 150cm台前半から165、6cmくらいの方まで 着ていただけると思いますよ。

―― 素材は、ちょっとツヤっぽいというか、 肌ばなれのよいサッパリとしたタッチ。

浅川 コットンなんですが、 光沢が出るような加工を入れていて、 ちょっとナイロンっぽいというか、 動くとシャカシャカと音がするような、 スポーティな感じがあります。 シワもそこまで気にせずに 穿いていただけると思います。

―― 浅川さんならどんなふうに着たいですか?

浅川 夏はTシャツで、ちょっと涼しいときは シャツを中に入れてきれいめにも着られるし、 冬だったらこの上からバルキーなニットを かさねてもかわいいなって想像しています。 ノースリーブも、一枚だとむずかしくても、 サロペットと合わせれば着やすいですよね。

―― わかります! ノースリーブだとより大人っぽく着られそうですね。 お話をうかがって、着るのがさらにたのしみになりました!

〈O2〉スキッパーロングドレス 各¥19,800(税込)

  • 〈O2〉スキッパーロングドレス ストライプ

    ストライプ

  • 〈O2〉スキッパーロングドレス チャコール

    チャコール

〈O2〉ドレスサロペット 各¥19,800(税込)

  • 〈O2〉ドレスサロペット ベージュ

    ベージュ

  • 〈O2〉ドレスサロペット ネイビー

    ネイビー