ほぼ日、なにしてる?ほぼ日、なにしてる?

2025/09/02 12:42
masahiro.tanaka

「ひびのこづえさんと、珠洲」
へのおたより。

少し前まで掲載していた連載
「ひびのこづえさんと、珠洲」に、
気持ちのこもったメールをいただいたので、
ちょっと長いですが、
ご紹介させてください。

いろんな人が珠洲のことを想う、
ひとつのきっかけになりますように。

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夏と珠洲のイメージはつながっていて、
『珠洲』と聞くと、
防砂林を抜けてくる風や、
日陰の涼しさを一緒に思い出します。
潮が引いた浜辺を、岩を渡って
見附島まで歩けるか試したり、
波の音を聞きながら買い出しに行ったり。

珠洲の飯田町に住んでいた伯母が
つれあいをなくして
コロナ禍の間に引っ越してしまったので、
「おもしろいことやってるから、おいで」
と呼ばれて、
奥能登国際芸術祭に遊びに行ったのが
最後だったなぁ。
伯母さんが奢ってくれた
黄金岩牡蠣、おいしかったなぁ。

なので、地震のニュースで映る、
暗く寒そうな場所が珠洲だということに、
ひどくショックを受けました。
呆然としたまま見ていると、
あの屋根、あの鳥居、
確かに知っている場所だとわかって。

隣の福井県に住んでいるので、
すこし状況が落ち着いてから、
両親の実家のある羽咋や
祖母のふるさとの七尾には
行く機会があったのですが、
伯母のいなくなってしまった珠洲は
あまりに遠くて、
ずっと気にかかったままでした。

たまたま上京する日と日程があっていたので、
ほぼ日でおこなわれた
ひびのこづえさんのワークショップにも
参加させていただいたのですが、
参加してよかったです。

手を動かしながら
ぽつぽつとお話をしたこと、
そうやって編んだものが
『珠洲』にある。
つながりはまだ切れてしまっていないと
思えるよりどころを、
わたしの手で作ったことで、
夏の珠洲がわたしのところへ
戻ってきた気がします。

変わってしまったことを思い知るのが怖くて、
ずっと地震後の見附島の姿を
見ることができませんでした。
でも、この連載でうっかり見てしまった
地震後の見附島は
確かに変わってしまったけれど、
でも見慣れた見附島で、
ちょっと肩の力が抜けました。

ロングドライブがしんどくなってきた
お年頃で、往復の道のりを考えると
悩ましいとこなのですが、
きっとまた珠洲を訪ねたいと思います。
ありがとうございます。

(北の庄)

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(北の庄さん、ありがとうございました!)