| 糸井 | 
          何か事業をはじめようと思ったら、 
            当然のこととして 
            「人」と「箱」が必要になりますよね。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          ええ、そうですね。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          上勝ではまず、人は集まった。 
            次は箱。 
            箱っていうのは、お金が要りますよ。 
            だけど上勝でやるならば、 
            土地代はそれほど要らない‥‥?  
           | 
        
        
            | 
        
        
          | 横石 | 
          要らないですね。 
            まったくと言っていいほど要らないです。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          そうすると、起業っていうことが 
            ふつうに考える難しさの 
            10分の1くらいでできちゃうんですか。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          もっと低いです。 
            東京にくらべれば、 
            100分の1とかじゃないでしょうか。 
            食費なんかは月に1万円かからないですよ。 
            ぜんぶおばちゃんがくれるから。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          そうかぁ‥‥。 
            ‥‥あれですね、 
            「都市部の会社が、 
             事業のひとつを上勝で起業する」っていう、 
            ベンチャー村みたいなのは、ありますよ。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          ありますか。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          あると思います。 
            うちからも誰かひとり行かせたいくらい。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          そうですか(笑)。  
           | 
        
        
            | 
        
        
          | 糸井 | 
          いや、どうしてぼくが 
            それを言いたいかっていうと、 
            そういうことが起きれば 
            違う種類の人が集まると思ったんです。 
            今の上勝にはきっと、 
            似ている若者が集まってますよね?  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          あ、正解です。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          自然の好きな。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          山が好き、田舎が好き、 
            人と関わることが好きなタイプですね。 
            みんな非常によく似てます。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          それはもちろん悪いことじゃなくて 
            そうなるのは当然なんです。 
            でも、違うタイプと組み合わせるとね‥‥ 
            またグンとおもしろくなりますよ。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          ああー。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          うち(ほぼ日)は最近、意識的に 
            コラボレーションをやるようにしてるんです。 
            よそと組むことで 
            学んでいる最中なんですよ。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          組んで学ぶ。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          ええ。 
            そうしないと中が変わらないから。 
            混成チームをつくって1個の仕事をすると、 
            勝手が違うことにぶつかります。 
            「わぁ、苦手だ。でも行くわ」 
            そこで学べるんですよ。  
           | 
        
        
            | 
        
        
          | 横石 | 
          なるほど。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          あとは、互いのお客さんが重ると、 
            観客が増えます。 
            観客が増えれば、 
            自分たちを知らない人たちに向かって 
            伝えることの練習ができたり‥‥。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          見えてくるものがたくさんある。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          ありますねぇ。 
            ──ですから「いろどり」も、 
            今は無意識にその準備をしている季節 
            なのかもしれないですよね。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          そうかもしれないです。 
            次のステップは、きっとそこなんでしょう。  
           | 
        
        
            | 
        
        
          | 糸井 | 
          最初は、よく似た人たちが集まるんです。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          住み心地も、居心地もいいし。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          そう。 
            で、やがて「上勝的な」 
            っていう言葉が言われるようになりますよね。 
            「それはちょっと上勝的じゃないな」とか。 
            うちの場合も「ほぼ日的」っていう言葉が 
            わりとよくつかわれているんですけど、 
            ぼくはそれが、邪魔なんです。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          そうなんですか?(笑)  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          まあ、いいんですけど、 
            あんまり言うべきじゃないよなぁと。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          わたしらも「上勝的」とか「上勝らしさ」とか、 
            たしかに言ってるかもしれない。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          「それがぼくらの個性だから」っていうのは、 
            言いすぎないほうがいいんです。 
            いまのかたちで止めてしまいますから。 
            だからその意味でも、 
            意識的にコラボをしようと思ったんです。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          なるほど。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          やっぱりなんかね、こう‥‥ 
            違和感のあるもの、 
            「異物」を入れるっていうかね。  
           | 
        
        
            | 
        
        
          | 横石 | 
          異物を入れたほうがいいかもっていうのは 
            なんとなく感じていました。 
            でもそれがどういう人たちなのかは、 
            正直まだ見えてないんですねぇ。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          うーん‥‥どういう人でしょう‥‥。 
            たぶん、あれですね、 
            「上勝のファンなんだけど、 
             上勝ではない場所で一所懸命やってる人」 
            と考えを広げれば、いっぱいいますよね。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          ああー、はい。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          たとえば、ぼくらだってそうじゃないですか。 
            ぼくの頭の中でやってることは、 
            都会でしか成り立たないんですよ。 
            でも、上勝ファンなんです。 
            だからこうして、やりとりはできる。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          やりとり、させてもらっています。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          ですからやっぱり、 
            そういう人たちと出会うんじゃないでしょうか。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          なるほどねぇ。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          あと、あれですよね? 
            上勝にやってきた若い人たちって 
            組むのが好きですよね?  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          それはもう、あの子たちは、 
            すっごい好きですね。 
            そういうコミュニケーション能力が 
            高い子たちだと思います。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          ああー、じゃあ、きっとね、 
            横石さん、近いうちに面倒くさいことを 
            注文されますよ。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          そうでしょうか(笑)。  
           | 
        
        
          | 糸井 | 
          「こういう人たちと組みましょう」って。  
           | 
        
        
          | 横石 | 
          そうか‥‥それはたのしみです(笑)。  | 
        
        
            | 
        
        
          |   | 
          (つづきます) |