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「フイルムカメラ、もっと使えばいいのに」 |
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「ううむ、なかなか、 手をつけないですー」 |
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「もったいないんですけどねえ」 |
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古いフイルムカメラを、 今の時代に使うとき どう考えたらいいんだろう、 ということについて、 菅原さんに教わっております。 「こう考えたらいいじゃない」と おっしゃるんですが、 どう考えたらいいんでしょう。 |
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たまたま中に入ってるのはフイルムだ。 |
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ああ(笑)。 |
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でも、撮るのは一緒だから、撮って、 前も話したことあるかもしれないけど、 現像所に出して、 「CDに焼いてください」って。 そうすればパソコンでみられますよ。 |
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そうですね、一気にね。 |
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さっきのE-P1で撮った写真がいいなと思うのは、 フイルムライクということだと思うんです。 |
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あ、そうかもしれません。 |
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テレシネってわかりますか。 |
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テレシネ? |
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映像の世界で、今でもコマーシャルは けっこう、フイルムで撮ってるんです。 |
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あ、いまだに。 |
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いまだに。で、だいぶちょっとそれも 変わりつつあるけど、 やっぱりフイルムが主流なんです。 それはトーンが広いから。 テレビドラマなんか見てると、 途中でコマーシャルが入ると トーンが変わるじゃないですか。 あれがフイルムとビデオの 大きな違いなんです。 テレシネっていうのは、 フイルムで撮ったものをデジタルに変換して、 そこで色を決めていくわけ。 もうちょっと黄色くとか青くみたいな、 それがテレシネという作業。 その感じというのは、ビデオでもないし、 フイルムでもないし、いい感じなんですよ。 その感じが、フイルムをCDに 焼いてもらったときに出るんです。 武井さん、あれ好きだよね、あの感じ。 |
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はい、好きです。 プラハに住んでるshinoさんっていう 作家のかたを紹介するコンテンツがあったんですが、 そのなかに、「もとはフイルム」の写真が入ってます。 もう、明らかにいいんですよ。 ![]() ![]() |
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いいんですよね。 |
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もうざらつきも含めて、 なんだか奥行きが全然違うんですよね。 |
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武井さんもさ、面倒くさいぐらい うるさい人だから‥‥ |
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いや、そんなことないですよ。 僕は面倒くさくないです(笑)。 |
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うるさい人(笑)。 |
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ね、うるさいよねえ。 なんかわかってんだか わかってないんだか知らないけどさ(笑)、 うるさいよねぇ(笑)。 |
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全然そんなことないです。 何もわかってないし、 面倒くさくないです(笑)。 |
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とはいえ昔からこういう コンタックスとかで写真撮ってるじゃない。 じゅうぶん「うるさい人」ですよ。 ポジで撮った時代も覚えてるでしょう。 |
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はい、仕事で、 ポジフイルム使ってました。 すごくたいへんでしたけれど。 |
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ね。音と一緒で、そういう記憶って消えないから、 デジタルカメラだけだと物足りないはずなんだよ。 だから、たまに本当に面倒くさがらないで、 フイルムカメラで撮ったらいいのに。 |
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そうですねえ。 |
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すぐ見れなくてもいいじゃない。 |
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えと、そこじゃないんですよ。 もう一つ、自分の「ケチ」な部分が入るんです。 だってフイルム1本800円近くして、 現像代、CD-R書き込み代、足すと いくらかかるかなーなんて考えちゃって、 「1シャッター、いくら? え?!」 みたいに思うんですよね。 |
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でも、なんかその感じも、 いいんじゃないですか。 |
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一球入魂? |
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一球入魂感がね。 菅原さんの主宰している 「東京観光写真倶楽部」で フイルムカメラをもって、 みなさんで築地に 行かれたりしてたじゃないですか。 あれがすごいうらやましくて。 |
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本当? |
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来てくださいよ(笑)。 |
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僕、勝手にやってたんです、 だから1人で。 |
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(笑) |
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勝手にやってたんだ(笑)。 |
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フイルムを買ってきてやったりとか、 CDに焼くと面白いよというのもやったし。 |
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あれいいでしょう? |
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面白いですね。 |
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あれ好きなんだよね。 |
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たしかに、コンタックスの一眼レフに 50ミリ1.4の単焦点レンズをつけるのが いちばん好きです。 すがたかたちも、写りも。 でもその状態は デジタルカメラでそのまま再現できない。 そのまま行くんだったら最高なんですけど。 |
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多分、近い将来、 それに近いものができてくると思うよ。 |
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ほんとですか! |
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いまは、どうしてるの、武井さんは。 |
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その50ミリ1.4の単焦点レンズを E-P1っていう、 マイクロフォーサーズという規格のカメラに アダプタを介してつけてます。 焦点距離が倍になっちゃうけど。 |
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うん、そうですね。 |
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焦点距離が倍? |
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35ミリのレンズをつけると 70ミリの画角になっちゃうんです。 つまり、センサーがちっちゃい。 レンズから受け取る情報が、 ざっくり言うと半分になっちゃうんです。 ただ、逆にいうと、レンズの、 いちばんおいしい部分、 大トロの部分だけを写すというか‥‥。 |
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大トロ(笑)。 |
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大トロを、レンズの大トロを(笑)。 食い物に変換していくと 納得しやすいんですねえ(笑)。 |
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というふうに勝手に思ってるんですけど。 |
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さすがよく知ってる(笑)。 |
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いや、でも、正直言って僕、 大トロは好きじゃなくて 赤身が好きなんですけど(笑)。 |
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知らないよ(笑)。 |
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でも、本当なんですよ。 レンズって丸いでしょう? |
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きれいですね。 |
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きれいでしょ。 |
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丸いんです。 レンズは丸いのに写真は四角いんです。 |
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あ、はい、はい、はい! |
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つまり、そもそも、 丸のなかの四角を切り取って 使っているわけですよ。 |
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はい、大トロを 切り抜いてるわけですね。 |
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そうです。だから、もともと、 この丸い中のおいしいところを 切って使ってるんですけど、 マイクロフォーサーズは、 よりおいしい真ん中ってことになるね(笑)。 |
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そうですよね! |
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なるほどー。 レンズは丸いんですよね。 |
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そしてこの世界は、 決して四角いわけじゃなくて、 もともとは丸いんだものね。 |
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そう、自分が見てる世界、 実は丸いですよね。 |
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目玉も丸いし! |
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うん、丸いんです。 |
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ないですね。 映画のフレーミングみたいに こういうふうに(手で四角をつくる) ならないですよね |
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わりと今のデジタルカメラは 四角くカッチリ写そうとするじゃないですか。 そうじゃなくて、もっとなんかこう、 丸い感じのイメージを みんな、写したいんですよ、きっと。 そんな気分のなかで、このE-P1が出て、 すごく売れたんですね。 オリンパスって、デジタルカメラ創成期の頃から ずっと作ってるから、 画像エンジンが非常にこなれてるというか、 すごくうまいなあと思いました。 |
(つづきます) |
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