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「きょうから新テーマですね。 写真にムードのあるなしっていうのが 撮る人によるものなのか、 カメラによるものなのかっていうお話しです」 |
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「人でしょう!」 |
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「カメラじゃない?!」 |
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「両方だと思う!」 |
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弊社のスガノの写真が、 「ただいま製作中!」に載ると、 けっこう反響があるんです。 |
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「スガノさんの写真は、 ムードがあっていいですね」と。 |
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「カメラはなんですか」 っていうのも、来ますよねー。 |
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そのことは「質問編 その3」でも とりあげたんですけれども、 「RD-1S」っていうカメラなんですよね。 |
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このムーディーな感じっていうのは やっぱりこのカメラどくとくのものなんですか。 |
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「RD-1S」っていうのは、 レンジファインダーデジタルカメラっていう なかなか珍しいタイプのものなんです。 EPSONが出しているんですけれど、 レンズ交換式のカメラで、 ライカのMシリーズだとか、 カール・ツァイスだとか、 フォクトレンダーだとか、 古くからある個性のあるレンズを 使うことができるんですよ。 |
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おもしろそうですねえ。 |
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でもオートフォーカスじゃないよ〜。 絞りも自分で決めなくちゃならないし。 シャッターを押すまでに、時間がかかるよ。 |
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デジタルで記録できるけれど、 操作性はフイルムの機械式の マニュアルカメラに近いんですよ。 |
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「あえて」使うというか、 趣味性の高いカメラですね。 ではこの「RD-1S」だと ムードがある写真が撮れるというのは カメラのおかげなんでしょうか。 |
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レンズとカメラの両方ですね。 「RD-1S」独特の、 ちょっとこってりしたよさっていうのがあって、 料理の写真のときに説明しましたが これもやっぱり「シズル感」なんです。 それと、スガノさんが使っている、 たしかお父さんからゆずりうけた 旧いレンズのよさと、 よい感じで足し算になっているんでしょう。 いま、シズル感がない画像が けっこう多いから。 |
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写真ではなく画像なんですね(笑)。 |
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そうだね、画像処理であって、 写真じゃないものをとりこむカメラが 多いかもしれないね。 |
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シャッターを押すまでに、 時間がかかるからといって タイミング逃すってことも、 別に、そんなに、ないですもんね。 報道写真や、スポーツ写真を 撮ってるわけじゃないから。 |
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逆に、1枚の写真に、 手間がかかっているとも言えるよね。 写真を撮るときに一呼吸あるわけです。 その一呼吸が、やっぱり写っているんだと思うよ。 |
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その一手間っていうのをやっている間に、 気持ちがちょっと変化したりするわけですね。 |
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それがすべてとは言わないけれど、 写真って儀式みたいなことが 大事なときもあるっていうか。 |
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「えーっと、えーと、ちょっと待っててね」 って、待たせたりしますよね。 |
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撮られるほうも 「え、来るの? 来るのかな?」 なんて思いながら待っている。 そのこと自体が大事なときも あるような気がします。 |
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心の中に「ため」があるんですね。 |
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ゆっくり流れる時間の、一瞬というか。 そういう意味ではね、 素早いオートフォーカスのデジタルカメラで 撮る時であっても、 会話をしながらゆったり撮ったら、 そこに流れる時間は写ります。 写真を撮った前後が写っているっていうか。 |
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スガノさんはねえ、 さらに演出も入れるんですよ。 わたしのこの写真。 ![]() |
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ひゃー! |
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おそろしい‥‥。 |
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(笑) |
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これね、「妖怪っぽく!」って 指示を出されているんですよー。 さらに、カメラを設定してるから、 しばらく待っているんです。 妖怪になってから。 「まだぁ?」とか言いながら。 |
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またその妖怪っぽさが 「RD-1S」だとよく写りますね。 |
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なるほど。 スガノさんっていう人は、 演出をするんだね。 全部、しっかり絵をつくっているんだ。 スガノさんの状況劇場みたいな感じなんだね。 |
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あ、瞬間をとらえるんじゃなくて、 こういう意図を持って、 こうやって組み立ててっていうことを 考えて撮っているんじゃないかってことですね。 |
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なんかうん、ちゃんとこう、頭の中に 絵があるような気がしますね。 |
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それはそれで、 弊社ではめずらしい個性なんですよ。 だから「製作中!」でも 目立つのかもしれないですね。 見ている人も「いいですね」って言ってくれる。 |
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ただね、僕はそういう写真を 「写真的ではないな」と 感じることもあるんです。 |
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絵画的っていうことでしょうか。 |
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それはもう、僕の考えなんですけれど、 偶然のなかから、「うわっ!」って思うことを 撮ったときの、凄みというのを、 知ってしまっているから。 偶然の力ってすごくってね、 「俺ごときが、いろいろ考えたってさ!」 って思っちゃうくらいなんです。 |
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それも考え方のひとつですよね。 スガノのように、箱庭的に楽しむ写真がある一方で。 |
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わたしと、シェフがよくやる 「小芝居劇場」はどうなのかしらー。 |
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どうなんだろう? |
(つづきます!) |
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