

| 糸井 | 宮本さん、ギャラリー席にいないで 前に出てきてお話してくださいよ。 |
| 宮本 | いや、僕は今日はこの座談会の お客さんとして来たんでこの席でいいですよ。 |
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| 糸井 | まいったなぁ。 じゃあそこで答えてくださいね。 ゲームキューブで出すにあたって、 「絵を変えちゃいけない」と言ったのは どういうところからなんですか? このゲームのムードはこの絵、だと思ったんですか? |
| 宮本 | それもあるけど、 新しいハードになると開発者は張り切るでしょ。 余計なところで張り切ると、 肝心な部分にパワーが注がれなくなるんです。 それよりも、このゲームの一番大事なところを 切り取って、早く作ったほうが いいんやないかと思ったわけですよ。 |
| 岩田 | この考え、すごいですよね? |
| 糸井 | すごいですね。 |
| 宮本 | だって、このゲームにおいては 家具1個ずつのグラフィックを 磨き上げることはあんまり意味がないんですよ。 それよりはもっと家具の種類を 増やしたほうがいいわけです。 |
| 糸井 | じゃあ、野上さんたちは宮本さんのお話を受けて 「それはそうだな」って思ったわけですか? |
| 野上 | そこまでの話は聞いてはいませんでしたが、 「とにかくこのままで。期間は半年」と。 |
| 岩田 | ヒドイこと言うなぁ(笑)。 |
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| 野上 | でも、誘導してくれたんだと思います。 |
| 糸井 | こういうケースってよくあることなんですか? |
| 岩田 | うーん、ここまで鮮やかにうまくいくっていうのは 毎回毎回はないですよ。 まぁ、でも宮本さんが絡んだことで うまくいくケースは圧倒的に多いんですけどね。 |
| 糸井 | なるほどねぇ。 僕、ずっと思ってたのが、 任天堂って、ゲームに対するおもしろさの コンセプトが財産のようにあるんですね。 うまくなったらもっと奥深く遊べるようになる、 っていうゲームのおもしろさを、 このゲームもしっかりと持っている気がするんです。 それはアクションとかテクニックとかの話ではなく、 じょうずに表現ができるとか、 効率よく行動できるとかっていう面で。 |
| 江口 | そうですね。 この中で表現できることっていうのは、 個人個人の個性や好みなど、自分に培われたものが 見た目に現れるようになってる、と思ってるんです。 |
| 糸井 | うんうん。 |
| 野上 | レベルみたいなものをつけたくない、っていうのは 最初からありましたしね。 学校に行って話についていけない、 みたいなものにはしたくなかったんです。 |
| 岩田 | やっぱりゲームから排除したいものを考えて どう取り去っていくかを考えたわけですよね。 それって引き算のデザインですよ。 |
| 野上 | ずっと遊んでいる人がいれば、 どこからでもヒュッと入ってきていっしょに遊べる っていうのが理想だなって思ってました。 |
| (つづきます) | |


| うちってWiiが母と私で1台づつ持ってるんです。 | |
| それ、スゴイよね。 | |
| で、私が家に帰ると、 母が必ずプレイしてるんですよ。 もう、本当に1日中やってる。 |
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| 最近、お母様とは会話していらっしゃるの? | |
| もぉー武井さん、やめてくださいよ(笑)。 | |
| なになに? | |
| いや、じつはWiiスピークをオンにした状態で 母が「こんな夢を見た」みたいな話に対して 「あ、そう」みたいな生返事してたんですね。 そのとき、武井さんが村に遊びに来ていて、 その内容を全部聞かれてたんです。 |
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| あはははは。 | |
| そうしたら翌日武井さんから 「お母さんに冷たいんじゃない?」って。 |
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| 一同 | (笑)。 |
| すごい恥ずかしくて、 Wiiスピークを本体から外したんですよ。 で、別の日に私と母と武井さんが 村でいっしょになったんです。 そのあと、母が 「あそこにはどういったらいいの?」と 場所を聞いてきたんですね。 それに対して「あそこは上」みたいな感じで ちょっと不親切に教えちゃったんです。 |
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| ひどーい。 | |
| そのときはプレイに夢中になってて。 そうしたら武井さんが「お母さんが迷ってるよ」って チャットで教えてくれるんです。 「うちの母は見えていないはずなのに、 武井さんはなんで迷っていることが わかるんだろう?」って思って。 |
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| うんうん、不思議だよね。 | |
| 「なんて武井さんは勘がいいんだろう」って。 | |
| 一同 | (笑)。 |
| なんてことない、母のWiiのほうに Wiiスピークが繋がってたんです。 |
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| あはははは。 | |
| 「お母さまのお噂はかねがね」とか 「すてきなお母さまだと聞いております」とか チャットしてみたりして。 |
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| そんなの社交辞令じゃないですか。 でも、うちの母ときたら 「キャー恥ずかしいー」って言ったんです。 |
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| やえちゃんは「恥ずかしいと言ってます」って チャットで打ってくれるんだけど、 その会話が全部丸聞こえなの。 |
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| あははははは! | |
| で、お母さんの前でパチパチパチと 「拍手」のリアクションをしたんです。 そうしたらお母さんが 「あ、拍手した。もう1回しないかしら」って。 |
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| 一同 | (笑)。 |
| けっきょくお母さんが飽きるまで ずっと拍手してました。 |
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| 本当にすいません(笑)。 | |
| いえいえ(笑)。 | |
| うちの母はいま、木をゆすって果物を取ったり、 草を抜くことにやりがいを感じているみたいで、 「今日も1日よく働いた」とか言ってます。 しかも、門を開けておくと毎日うちの村に 何かを売りに来て、ベルを家の前に 置いていってくれるんです。 |
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| えぇ! | |
| あぁ、いいなぁ。 |
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| いい歳して、まだおこづかいを(笑)。 | |
| そうなんですよ、3000ベルほど(笑)。 カブ価までチェックしてくれるんです。 |
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| それはやえさんが全部教えたんですか? | |
| 最初の内は1ヶ月くらい ぜんぜんやらなかったんですよ。 でも、孫がやってるっていう話をしたとたんに モチベーションがグングン上がって。 |
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| なるほどー。 | |
| いっしょに遊べるもんね。 |
| (つづきます) |
| 2009-04-17-FRI |
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