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例によって、これから観るかたに さしさわりのない範囲で 『メタルマクベス』のあらすじを、 ざっくりとご説明しましょうねー。 |
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はいはい、 ざっくりとー。 |
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原作はシェイクスピアの古典 |
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うん。よろしいのではないかと。 |
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では、原作『マクベス』の、あらすじを、 |
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だれか説明してください。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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‥‥ええと、じゃあ、そもそも、 シェイクスピアの舞台を観たことあるひとは? |
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正直に申しあげて、 こんかいがはじめてでした。 |
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戯曲は読んだことあるけど、 舞台で観るのは、初です。 |
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古典『マクベス』の舞台を 何度か観てますが、 いずれも途中で寝たので、 お話を覚えてません。 |
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わたし、観たことあるよ。 日本語じゃないけど。 |
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に、日本語じゃない〜?! |
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大学があちらの学校だったから。 |
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‥‥かんじ、わるぅ〜い(笑)。 |
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えへへー(笑)。 |
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あちらって、アメリカ? |
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うん。演劇学科の子たちが毎年野外で 『真夏の夜の夢』をやるの。 |
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じゃあ、『マクベス』も英語で? |
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ううん、『マクベス』は、はじめてー。 |
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思えばぼくも、 これが人生で初のシェイクスピアでした。 古典といわれるものの現代版の舞台は、 ちょこちょこ観てるんですが、 なぜかシェイクスピアには縁がなかったんです。 |
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ということは、『マクベス』について、 |
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‥‥そんなシェイクスピア初心者を代表して、 ぼくから原作『マクベス』のストーリーを 説明させていただいてもよろしいでしょうか。 |
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そりゃもう、ぜひ! |
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覚えてるかぎりで言いますから、 |
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そうそうそう、悪いヤツが。 |
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「野心」のお話ですよね。 |
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マクベスとマクベス夫人という 夫婦がいるんですね。 そのふたりが王国をのっとっていく物語なんです。 最初は、王に仕えていた兵士と、その夫人が、 じつにまあ〜、いろんな手を使います。 あざむく! だます! 手を血で染める! ひどいひどいことをして、のしあがるんです。 まぁ、ほんとに、こわいこわいお話なんですねぇ。 |
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あ、淀川おじさん! |
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マクベス夫婦は、王様を殺めて、 その罪を殺した王の息子になすりつけ、 城を手に入れ、ついには王の座につく、と。 ところが、 そのやり方に不満を持った昔からの兵士たちが 反乱を起こすんですね。 そして、最終的には失脚する、と。 ‥‥かんたんに、すごくかんたんにいうと、 そんなストーリーでしょうか。 |
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上出来だと思います。 |
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後半、淀川おじさんのモノマネが |
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モノマネのことはともかく、
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かっこよかったー。 文学座の俳優さんだよね。 |
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NHKの大河ドラマ『風林火山』では 主役の山本勘助役を演じられています。 |
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「ランダムスター」っていう ネーミングは、原作にはない設定ですね。 |
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そう、この劇のオリジナル。
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‥‥すごかった、松たか子さん。 |
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すごかった、すごかった! |
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夫をそそのかして王様を殺させるんですが、 後半は強い罪の意識にさいなまれて‥‥ |
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どんどん、 気がおかしくなっていくんですよね。 |
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その、気がおかしくなっていく様子が、 ほんとうに、すごい! |
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怖いくらいすごい! |
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暗殺されちゃう王様「レスポール王/元社長」を
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上條さんも、すごかった。 |
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歌がうまいのは当然ながら、 |
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存在感が、 |
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すごかった! |
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なんか、まわりを威圧するかんじで。 |
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してたしてた! 威圧してた!(笑) |
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とくに歌う場面になると、すごいです。 そもそも歌手ですから。 ‥‥上條恒彦さんは、 じつは「ほぼ日」にも縁が深いんですよ。 |
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あ、そうですよねー。 |
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キング・オブ・メタルっていうかんじで(笑)。 |
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そのキング・オブ・メタルの息子、
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王子様。 |
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三の線もやってのける王子様(笑)。 |
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ハゲかつらかぶったり演歌歌手になったり(笑)。 |
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でも、そういう場面が見せ場になっちゃう。 |
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それは、ダンスがみごとだからです。 動きがダンサーのそれだったでしょ。 |
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ピョーンと跳んだり、 |
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足がビューンって上がったり、 |
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ビシッとタップを踏んでみせたり。 |
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森山未來さんが、あれだけ踊れるひとだと ぼくは知らなかったので、おどろきました。 |
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さらに、脇をかためる 役者さんたちが、またすごい。 |
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ランダムスターの親友、 「エクスプローラー/バンクォー橋本」は、 橋本じゅんさん。 隣国の「レスポール王/ナンプラー」は、 粟根まことさん。
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ふたりとも 劇団☆新感線に所属する役者さんね。 |
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ばんじゃくですよ、ばんじゃくの布陣。 どちらも主役をはれる力量ですから。 実際、こんかいも準主役でしたし。 |
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ランダムスターと一騎打ちになる兵士、
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高田聖子さんは、相変わらず、 すてきで、かっこよくて。 あたし、もう、大好き。 |
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あたしもー。 |
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高田さん、すばらしかったです。 ‥‥で、これはほんとに失礼な話なんですが、 ノーマークだったのが、北村有起哉さん。 |
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‥‥油断してたよね。 |
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‥‥存じ上げなかったので。 |
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鬼気迫る演技という意味では、 松たか子さんに並ぶものが あったのではないでしょうか。 |
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うん、すごかった。 劇団に所属しているかたじゃないんですよね。 |
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調べてみましたら、このかた、 俳優の北村和夫さんの息子さんでした。 |
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あぁ、去年お亡くなりになられた‥‥。 文学座を支えた俳優さんですよ。 |
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なるほどぉ‥‥。 |
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すごかったですもんねえ。 |
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なんかぼくら、 「すごい」ばっかり言ってますね。 |
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だってほんとにすごいんだもん。 |
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このほかにもたくさん出演者はいたけど、 声が聞き取れないとか、キャラが薄いとか、 そんなひと、ひとりもいなかったよね。 |
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おそるべきキャスティングの クオリティでした。 |
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と、原作の流れと登場人物を 紹介してきたわけですが、 さあ、そこでですよ、 脚本家の宮藤官九郎さんが、 この原作『マクベス』を、どうしたかというと! |
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どうしたかというと! |
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物語を重層構造にしたんです。 |
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はい、二重構造の舞台でした。 |
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未来と過去が錯綜する二重構造。 |
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西暦2206年と、西暦1981年の日本を、 |
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いったりきたり、いったりきたり。 |
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だから、それぞれの役者さんに、 ふたつの役名があるんです。 |
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2206年で「ランダムスター」の内野さんは、 1981年では「マクベス内野」に、 |
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2206年で「グレコ」の北村有起哉さんは、 1981年では「マクダフ北村」という具合に。 |
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原作のストーリーに近いのは、 2206年のほう? |
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ですね、2206年が主軸だったかと。 でも1981年の舞台で描かれる、 「メタルマクベス」というバンドの物語も、 原作になぞらえられていたと思います。 |
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なるほど。 戯曲を読んだことがあるモギちゃん、 どうでした? 原作とはずいぶんちがいました? |
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いやそれがね、そんなにちがわない。 |
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そうそう、 わたしもあとで原作を読んだんですけど 宮藤官九郎さんの脚本だからさぞかし めちゃくちゃに変えているんだろうと思ったら、 |
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二重構造になってはいても、 物語のタテの流れは原作と一緒なんですよ。 |
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へええ〜。 |
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舞台のラストは、 さすがにとんでもないオリジナルだけど。 |
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あー、あのラストは、 |
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すごかったねー! |
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‥‥というわけで、 あらすじはこのくらいにしておきましょうか。 |
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そうですね。 |
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このまましゃべってると、 ラストシーンを語っちゃうよ〜。 |
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それはよろしくないので、このへんでー。 |
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