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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-11-22

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「礼儀は、じぶんを守ってくれる」
 ということばを、そういえば何度か聞いた。
 きっといろんなところで、いろんな人に受け継がれて、
 生き方の「知恵」として伝わっているのだろうと思う。

 昔のじぶんにも、いまのじぶんにも教えてやりたいと思う。 
 礼儀は守るべきもの、と教わったときには反発していた。
 礼儀を守っているように見える人が、
 実際にどの人なのか思い当たらなかった。
 礼儀を守っていていい感じだな、と思えるような人も、
 どこにいるだれなのだろうという感じだった。

 だんだん、大人に近づいてくると、
 ドラマや小説などのなかに、
 礼儀を守っている人が登場するのを知ることになる。
 ただ、少年や青年が興味を持って惹かれるのは、
 礼儀を守らない主人公のほうだった。
 かっこいいというイメージのなかには、
 「礼儀なんか気に留めない」という姿勢があった。
 そういうヒーローも魅力的だったけれど、
 さまざまな理不尽や困難のなかで、
 人に対する礼を失わない人がいることも知っていった。
 そういう人のことを尊敬するような気持ちも、
 いつのまにかじぶんのなかに蓄積されていた。

 礼儀を守らないヒーローも、
 礼儀を守るヒーローも、どちらにも共通するのは、
 「礼儀がいちばん大事なことじゃない」
 という感覚だったようにも思える。
 礼は、とても大切なもので、
 礼を重んじる態度を守れる人を、人は尊敬する。
 そして、さらには、礼がいちばん大事なのではないと。
 いやいや、むつかしいなぁ、そう言うと、
 「礼儀は実は大事じゃない」という結論に近すぎるかな。
 だいたい、ぼくは今日の書き出しを
 「礼儀は、じぶんを守ってくれる」から始めたのに。
 どうしても「礼儀がいちばん大事」だとは言えないのだ。
 そして、さらに、礼儀はとてもとても大事なのではある。
 やっぱり「礼儀は、じぶんを守ってくれるよ」と、
 それくらいのところに結論を浮かしておくのがいいかな。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
で、ついていくなら礼のある人、ということになりそうです。 


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