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糸井重里

・「気が利いてる」人っていますよね。
 そういう人に、ぼくは憧れているかもしれない。
 なんかさぁ、かっこいいじゃないですか。

 ま、お店で出てくる「冷たいおしぼり」みたいな? 
 いや、「冷たいおしぼり」のなかにもいろいろあるし。
 すっごく気が利いてる感じの「冷たいおしぼり」と、
 そうでもない「冷たいおしぼり」があると思いますね。
 「気が利いてる」というのはもっとむつかしいことでさ。
 いかにも気が利いてると思われたい「気が利いてる」と、
 気が利いてると気づかれなくてもいい
 「気が利いてる」がありますよね。
 気づかれなくても気にしないほうの「気が利いてる」が、
 やっぱりいいなと思うんですよね。
 けっこうややこしいことを言ってますか。

 いまの時代って、
 基本的に「ギブ・アンド・テイク」というか、
 等価交換とか契約の考え方で動いているじゃないですか。
 「わたしは、いまあなたに、
 気が利いてるを差し上げましたよね」なんて感じで、
 価値を確かにあげましたということを言いたがる。
 別に、それはそれでいいとも思うんです。
 あげたものはあげた、だからお金払ってねという理屈。
 だけど、それだけで世の中はできてるわけじゃない。
 テイクを期待しないギブがあると思うのです。
 見返りを期待するとか、わかってもらいたいとかを、
 いったん忘れてしまって、ただ、やりたいからやること。
 「気が利いてる」人のかっこよさも、
 そういうあたりにあるんじゃないかなぁ。
 「気が利いてる人」の「気」は黙って相手に向かってる。
 してあげたいからしているかっこよさ。
 もしかしたら、それはかつての江戸の町の人たちの
 「粋」の価値観なんかにも近いのかもしれません。

 あと、ついでに「もしかしてだけど」と思いだすのは、
 「片思い」というものにも似てるんだよなぁ。
 「片思い」というのは、ある意味、すごくかっこいい。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
そういえば粋も、粋であろうとしすぎると野暮になるとか。

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