糸井重里
・寝言というのは、どういうものなんだろう。
いま京都にいるのだけれど、
また久しぶりに寝言を言ってたらしい。
かつて、同じ場所で「通気性(つうきせい)」という
じぶん史上最高の寝言を言ったことがある。
その寝言をきっかけに「通気性」を意識してみようとした。
言わば、生きる指針としての寝言だったわけだ。
エビデンスとか言われたら困るけれど、その後、
「通気性」志向のおかげでよかったことは多い、と思う。
で、今回の寝言はどうだったのか、
ちょっとたのしみにしながら現場の証人に訊いてみた。
「なにか、はっきりしてたし、ちょっと長かった」。
「通気性」のようなキレはなかったのか、そうか。
「だいたい寝言は仕事のことなんだけど…」
そうらしいな、可哀想な俺、と思うばかりだ。
で、仕事の話にしても、なにを言ってたんだろ?
「新しい仕事をやるときは、って話だった。
長めにしゃべってた。あとはよくわからない」とね。
なんてつまらない寝言なんだ、いや、寝言だからな、
しょうがないか、おもしろくなくても。
でも、せめて、「新しい仕事をやるときは」の続きが、
知りたいじゃないか、寝言の本人としても。
どうなんだろう、「新しい仕事をやるときは」?
寝ている俺は、なにを伝えたかったのだろう。
寝ているときに見る夢は、ふだん考えたりしていることと
まったく関係ないことがほとんどだ。
もし、夢の内容がその人の本心なのだ、なんて言われたら、
かなり多くの人は犯罪者や異常者とされてしまいそうだ。
しかしねぇ、寝言については知らないよ。
ぼくの場合は、仕事の話で、内容は変でもないらしい。
だったら、ふだん考え中のことが飛び出てくるわけ?
もっと荒唐無稽な寝言も混じっていたほうが、安心だなぁ。
寝言だから現実的なのだと思われているところに、
急に怪しげな内容が混じったりしたら、どうするよ?
じぶんじゃ責任もとれないし、否定もできないものな。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
思えば、俺の寝言を聞いてる人は、そのとき起きてるのか?
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