糸井重里

・そう言い切ると、また「そんなことはないです」
 というご意見がやってきたりするので、
 もっと、客観めいた言い方
 「若い人の話は長いように感じるのは年のせいだろうか」
 と言い換えようかと思ったりもするのだけれど、
 めんどくさいから、言いっ放しにする。

 いや、ぼくの周辺だけのことかもしれないのだが、
 ずっと昔にアシスタントをしてくれてた子やら、
 そのあとの、新人たち、いろんな若い人たちに、
 ずうっと、ぼくは「話が長い」と注意をしてきた。
 言ってるぼくが「話を長くしている」場面は
 いくらでもあると思うのだが、そこは棚に上げる。

 青年やら新人さんたちやらは、
 何度か「話が長い」と注意されているうちに、
 ちゃんと直っていくのである。
 だんだんと、彼らの話は長くなくなっていく。
 短くできるようになったのかもしれないし、
 長く感じさせなくなったのかもしれない。

 上司という立場の人間も含めて、他人というのは、
 とにかく相手の話を「受け取りたい」のである。
 受け取ろうとして手を伸ばして待っているのに、
 なかなか渡してくれないというのが、
 話が長いという状態なのだ。
 しかし、話を長くしているご当人は、
 たくさんの情報を渡したいものだから、
 どんどん乗せていく、そうしないと足りない気がするのだ。
 受け取る側は、そんなに要らないから「まず渡せよ」だ。
 盛ったり乗せたりしているうちに、話が見えなくもなる。
 そして、「おまえの話は長い」となるのである。
 つまり、コミュニケーションとは「やりとり」なのに、
 若いうちは「なにを言うか」を優先させてしまうのだ。

 少なく言っても、不利にはならないよ。
 たくさん言えたからといって、ぜんぶは伝わってないよ。
 たぶん、プロポーズも長いとうまくいかないんじゃない?

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
2025年の前半が終わるぞ。除夜の鐘の音が未来から届くぞ。

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