ハングさんの浮遊する植物 ハングさんの浮遊する植物
まんまるのボールから
にょきっと植物が生えている。
宙に浮いているように見える。
揺れるたびつぎつぎと表情が変わる。
土が見えないので虫もわきづらく、
植物は元気に育っていく。

吊るして飾る植物、
ハングボールの世界へ、ようこそ。
第3回 ことごとく枯らした
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──
さきほども言いましたが、私はハングさんの
ワークショップに伺ったことがあります。
そのとき、創意工夫があることが
よくわかりました。
植物の種類によって、ハングボールで
育つか育たないかを見極めておられるのもわかったし、
保水性をあげつつボールを固くするのが
むずかしいポイントだな、と思いました。
当時、寒さ暑さが厳しい季節には
ワークショップを開いておられなくて、
植物を第一優先で考えておられるのだと
信頼できました。
ハング
ワークショップの場合は特にそうですが、
ぼくが作ったハングボールを買ってくださった方には
「育てるたのしさをわかってほしい」
と、一貫して思っています。
もしも自分の植物が枯れてしまうと、
「やっぱり植物を育てるのはやめちゃおうかな」と
考えるかもしれないでしょう。
──
そうですね。
ハング
できるならあきらめてほしくない。
2020年のコロナの自粛期間、
外出できず室内で過ごすなかで、
植物に目を向けた方がとても多かったです。
その気持ち、いたいほどわかります。
自分も植物に救われた経験があるからです。
SNSやメールを通じて
「育つのを見ててたのしい」という声をいただくのは、
ほんとにありがたいなぁと思っています。
写真
──
植物といると、
毎日たのしいです。
ハング
植物って「飾って終わり」じゃないですよね。
てまひまかけて、水やりをしたり、
肥料を使わなきゃいけない。
そのみなさんの時間や目配りが、
植物を大きく育てたり、丈夫にしたりします。
その植物からのうれしい「返事」を
みなさんが喜んでくださっている。
ぼくとしてはいちばんそれが、
この仕事をしている本懐‥‥というと変ですが(笑)、
そんな気持ちでいます。
もともとは、ぼくの母が観葉植物ブームに乗って。
──
観葉植物ブームが。
ハング
はい、あれは小学生のころからでしょうか、
家の中に観葉植物がたくさん吊るされている
家庭で育ちました。
だからぼくも「植物を育てよう」と思って、
いくつか育てたことがありました。
しかし、ことごとく枯らしました。
「植物は自分には向いてない」
「育てるのはやめておこう」と、
ずーっと思ってました。
でもどうした縁なのか、
ぼくは植物の仕事に就きました。
最初は花の仕事でした。
生花の花束やアレンジメントを作ったりしました。
そのうち、植物をたくさん扱う
生花店に勤めるようになり、
接客しているうちに、
お客さんとの会話がたのしくなっていきました。
それがうれしくて、自分でもちゃんと
植物を育てるようになりました。
植物を育てるたのしさも
枯れたときの悲しさも知りました。
みなさんは、枯れる悲しさを知りながらも、
あえてそれを手に取って購入しようとしてくださいます。
家に迎える瞬間には
「未来にこんな感じで育ってくれたら」と
願っていらっしゃることはすごくわかるので、
なるだけそこにちゃんと寄り添いたいと思っています。
写真
──
私は、家の外にも中にも植物があるんですが、
やっぱり最初は全部枯らしてたんです。
ハング
ああ。
──
だんだんとうまく育てられるようになりました。
でも自分では、何が変わったかが
わからないんです。
きっとちょっとずつ変わってるんですよね。
ハング
いままで失敗を経験した中で、
「こうしたら枯れちゃうんだな」と
学んでらっしゃると思います。
そうした体験があるたびに、
「今度はこういうふうに変えてみよう」と、
思ってこられたはず。
あとは、植物を購入するタイミングで、
お店の人から聞くことってけっこうありますよね。
そのようにして個々の植物の特徴も入ります。
情報と経験が総合的に入ってくるので、
どんどん改善されていくのだと思います。
──
無自覚ですが、ちょっとずつ学んでるんだなぁ。
ハング
きっと、植物と
会話してるような感じじゃないでしょうか。
会話していれば、
もし植物が調子悪そうだったら、
たぶんご家族の誰よりも早く気づかれると思います。
葉っぱがしおれてたら水が足りてないな、とか、
寒さにやられてるのはこういうようすだな、とか、
接しているうちに肌感覚で
わかるようになってきますよね。
どうしたらいいかわからなくても、
ネットで調べたり、
人に聞いてみようと行動を起こすでしょう。
写真
──
ハングボールは、
育てるのはむずかしいでしょうか。
ハング
いえ、ワークショップに参加してくださる方の中に
「よく植物を枯らすんです」と言っておられる方が
いらっしゃいます。
でもハングボールは
「意外と管理が難しくなくて育てやすいです」と
言ってくださることが多いです。
──
土のようすは見えないけれども、
ボールの軽さがひとつのめやすになりますね。
水やりは、水に浸ければいいのだし。
ハング
そんなにハードルは高くないと思います。
しかし植物によっては
難易度の高いものもありますよね。
自分も実際にちょっと手を焼くものがあります(笑)。
──
ハングさんでも。
ハング
水はやればいいというものではなく、
ときには根ぐされなどもありますからね。
多肉植物は特にひんぱんな水やりはNGで、
ズボラさんのほうが向いています。
ですから、接客時にお話できるときは、
「これはちょっと難しくて、
水やりの感覚はこの程度でお願いします」
と伝えるようにしています。
はじめての方にはなるたけやさしいものを勧めます。
──
室内にいる植物の、夏の過ごし方について、
気をつけることはありますか?
ハング
ここ数年、日本の夏がすごく暑くなってますよね。
室内の植物は通気性が重要です。
窓を開けたりサーキュレーターをまわすように
心がけてください。
旅行などでどうしても閉め切ってしまうときは
短期間で、夏であれば、
外の日陰に出すのもいいかもしれません。
日なたは葉やけを起こすのでNGです。
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──
家にサーキュレーターがないのですが、
扇風機を壁にあてる感じでもいいでしょうか。
ハング
はい、扇風機でもいいと思います。
首振り機能があればそれを使って、
「直接あてっぱなし」にならないように気をつけ、
空気を循環させるようにしてください。
──
エアコンの冷房はどうでしょう。
ハング
冷房はかけていただいていいのですが、
風が直接、ずっと植物に当たるのは避けてください。
人間も同じで、クーラーの風が直接あたると、
寒くて冷えますよね。
植物も、その状況はとてもよくない。
「空気が循環してる」という状態であれば、
寒いということにはならない。
たぶん、人間の感覚と同じです。
──
自分がいて心地いいような感じに
しておいてあげれば、植物もいいぞ、と(笑)。
冬もそうでしょうか?
ハング
冬は、場所が重要になってきます。
たとえば玄関先に植物を置きたい方が
たくさんいらっしゃるのですが、
玄関はいちばん暖房が届きにくい場所です。
やっぱり人がふだん活動している部屋のほうが、
植物にとっても心地よくなります。
(明日につづきます)
2026-05-20-WED
ハングさんのお店が
生活のたのしみ展にやってきます。
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吊るして飾る植物
「ハングボール」の専門店


生活のたのしみ展

2026年6月1日~7日

新宿西口 三角広場