田中宏和 同姓同名観測所

一介のサラリーマン、田中宏和さんが
感心して探求する感心なページであった
「感心力がビジネスを変える!」は
いつしか正月に趣味である同姓同名探しの報告と
年賀状を公開するページになりつつありました。
「いっそ、本当にそういうページにしてみたら?」
ということで、URLはそのままで
タイトルを改めることになりました。
正月以外にももちろん更新いたしますが
このページをたまたまご覧になった方で
「田中宏和」という名前にピンと来たら
まずは観測所にご一報をお願いいたします。

そして、今回は、うれしいニュースをお届けします!

「感心力がビジネスを変える!」の
バックナンバーはこちらから。

祝! 新刊『全員タナカヒロカズ』発売

このたび31年の歴史を一冊にまとめることができました。
今月7月16日に新潮社から発売となった
『全員タナカヒロカズ』 です。
人間にとって「名前」とは何か?
これからの時代の人間関係とは?
今、運命とは? 偶然とは?
こういった問いに答える本になりました。

2010年に出版した14人の田中宏和著
『田中宏和さん』(リーダーズノート)の時は、
糸井重里さん、リリー・フランキーさんから
推薦の帯文をいただき、
「今回も」とお願いする過程で、一方からのコメントが
届かない(間に合わない)のではとなり、
担当していただいた編集者、新潮社の足立真穂さんが
ご担当の養老孟司さんからも玉稿を頂戴しておいたところ、
印刷が始まリリーという直前に滑り込みで間に合い、
豪華なお三方揃い踏みの新潮社社内もざわつく
有り難いキラキラ帯となった次第です。
あらためて深謝申し上げます。

「ほぼ日」のオールドファンなら2002年の年末から
2003年の年始にかけての、「ほぼ日留守番番長」企画を
覚えていらっしゃるかもしれません。
「ダーリン」こと糸井重里さんが海外で休暇中に
日替わりでトップページのコラムを代打執筆、
その日の特別コンテンツを編集長のように企画、
記事化するというものでした。
私は当時、「一介のサラリーマン」でありながら、
「感心力の鬼」とのありがたきキャッチフレーズを頂戴し、
12月30日の担当として抜擢していただく栄誉を得ました。
もちろん最初は戸惑いましたが、
せっかくのご指名なんだから打席に立つぞと自ら奮い立たせ、
各種取り揃えた当日のページは、今も残っています。こちら、です。
あらためて読むと、大胆にも栗山英樹さんに
インタビューを敢行していたり、
開き直って恥部をさらすようなことをしていたりしますが、
これらの中で最後に一つ、おまけのように付け加えたのが、
田中宏和・年賀状の軌跡」だったのです。

1994年、プロ野球のドラフト会議で当時の球団、
近鉄バファローズは一巡目で「田中宏和」を指名しました。
もちろん私ではありません。
が、自分がドラフト一位になったと
雷が我が身に落ちるがごとく驚き、
「ドラ1」だと全身総毛立ち
血液が逆流するがごとくの喜びで、
勘違いすることができたのです。
その翌年の元旦の年賀状にはじまり、
私は年に一度の年賀状制作の機会に、
その年の同姓同名=田中宏和の発見を
レポートしていました。
2002年段階で7枚になっていた同姓同名年賀状シリーズを
思いきって世界に解き放ちました。
その結果、年始のメールボックスには
田中宏和情報の転送メールが束になって届きました。
数多くの情報の中の一人の田中宏和さんの現物と
2003年に会うことから、
私の同姓同名収集の田中宏和運動は、他人の田中宏和さんと
集まるという異次元のステージへと変貌を遂げたのです。
というエピソードは書籍『全員タナカヒロカズ』の
「2章 他人の『田中宏和』とのファーストコンタクト」
に書きました。
今回の本は3部構成になっています。
いわゆる「起承転結」ではなく、「序破急」ですね。
「その一 やめられない、とまらないタナカヒロカズ運動」は、
同姓同名運動のはじまりから2017年の2度目の
ギネス世界記録挑戦の失敗までの歩みをたどります。
4章では進化生物学のロビン・ダンバーの社会脳仮説を
補助線的に参照しました。
さまざまな霊長類の大脳皮質の大きさと群れのサイズ、
仲間の親密さの度合いとの関係を
調査した結果生まれた法則です。
5人の「最も親しい友人」(シンパシーグループ)から
3の倍数のサイズで大きくなるに従い、
人間関係の質が変化するという仮説を
タナカヒロカズ運動にあてはめてみました。

「その二 ヒトの名前をあれこれ調査、ぐるぐる考察」は、
いきなり一転、「7章 同姓同名が殺人事件にまで至る
『名前』の暗黒面」を描きます。
同姓同名がゆえのトラブル事例をタナカヒロカズさんたちから
採集しました。
乱歩賞作家の下村敦史さんのミステリ小説『同姓同名』は、
殺人事件の容疑者の同姓同名グループの葛藤を描いています。
また
命名された子が積年の恨みを溜めこんで
親を殺めるにいたる悲劇を取り上げました。
「名は体を表す」というヒトの共同幻想のネガティブな一面です。
続く8章は日本人の名前の歴史を振り返ります。
古くは古代の氏姓制度にさかのぼり、
中世、近世の日本人の名の変遷、
そして今日の名前をつくった戸籍制度まで、
日本の名前をめぐる制度の変化を実例も挙げながら
わかりすく、コンパクトにまとめています。
そして明治以降の名前の流行について、
平成のキラキラネームの大流行と衰退まで
追いかけてみました。
みなさんのお名前が生まれてきた時代背景に
関心を持っていただけるはずです。
続く9章では、「『田中宏和』は大集合ができたのか?」とし、
一生で同姓同名に出会う確率の計算や
田中宏和を超える同姓同名グループの誕生を予想しました。
10章では名前について海外に目を向けました。
世界各国のお名前事情の多様さがある一方で、
地理的には遠いエリアや国であっても、
姓の由来には地理的由来、職業由来などの
典型的な共通パターンがあること、
同じ考え方に基づく子供へのネーミング方法に
ついてなども紹介しています。
沖縄に残る父と祖父の名を子孫に交互に名付けていく
「循環名」の風習は、世界で見られるものだったりします。
つまり世界には「同名」を好む社会があるのです。
「11章 そもそも私たちの名前は何のためにあるのか?」では、
20世紀の言語哲学、分析哲学のホットなテーマとして、
「固有名」の問題に取り組みました。
同姓同名運動家としての実体験とこれまでの自主研究を踏まえ、
バートランド・ラッセルやソール・クリプキの研究、
柄谷行人の『探究II』を参照し、
ベンヤミンやデリダの名づけ行為論も紐解きながら、
私なりの「ヒトの名前の定義」をしてみました。
固有名は人に固有のものたりえない。
では、何なのか。
その思考の軌跡を本書に当たっていただけたらうれしいです。

「その三 社会実験として、
みんなが同類でつながれる未来へ」は、
コロナ禍を経て、3度目のギネスチャレンジに向けた、
「タナカヒロカズ運動」へのブランドリニューアル、
尋ね人広告によるSNSでの大バスりから世界記録達成へ。
それがBCCニュースをはじめ世界中で報道されたばかりに、
あっけなく98日後にセルビアで記録更新されてしまった顛末は、
思わぬ国際NGOの発足、
さらに株式会社化のタナカヒロカズカンパニー起業という
疾風怒濤の展開となります。

この過程で得た気づきを二つ概念化しました。
ひとつは、全員がスマホを手にSNSでつながる今、
「マーケティング」の時代が終わり、
「コミュニティーイング」という手法に移り変わろうと
しているのではないかというものです。

もうひとつは、あたらしい人間関係のあり方として、
「同姓同名的なつながり」は、同姓同名でなくても生じうること、
たまたま同じになってしまったレアな仲間は、
「同類」の連盟、アソシエーションとして運命的な人と人の
結びつきを形成しうることを書きました。
それを「拡張親族」と名づけました。
そのつながりをつくる鍵となるのが、実は「拡張親族」での
新たな名前、「愛称(ニックネーム)」なのです。

現在、タナカヒロカズの会は263人となりました。
アソシエーションからコミュニティへ、という意味で、
この本は、コミュニティのつくり方の本です。

また今年の4月に特許庁から「タナカヒロカズ」が
商標として認定を受けることができました。
普通の名前がブランドになったわけです。
この本は、ブランドのつくり方の本です。
ビジネスのつくり方については、現在チャレンジ中です。

7月30日(水)まで予約を受け付けているのは、
鹿児島のソロ農家の田中宏和(40)がつくり稲刈り直近の
「タナカヒロカズ新新新米」コシヒカリです。
全国のお米ファンに令和7年産のとびきり早い新米の
ちょっと贅沢な美味しさを味わってもらえたらうれしいです。

この動きに反応し、福井県の田中宏和(31)が、
先先代から受け継ぐ水田で「今年から米農家になる」と
手を挙げてくれました。
次の世代もおいしい日本のお米を食べ続けられるように。
「おもしろい未来をつくる。」を標榜する
タナカヒロカズカンパニーがなすべきことと考えています。

7月30日(水)には批評家・作家の東浩紀さんが
創業されたゲンロンカフェにて
『全員タナカヒロカズ』刊行記念イベントを行います。

もちろん私である田中宏和の他に、
ほぼ日でも「MOTHER」の作曲者として有名な
[作曲]の田中宏和さん
[脳科学]の田中宏和さん、[ブレザー]の田中宏和さん、
この4人でのトークイベントを行います。
五反田のゲンロンカフェのみならず、
各種配信でもご覧いただけます。

もちろん『全員タナカヒロカズ』は、
最初から最後までいったい何回「タナカヒロカズ」が
出てくるのかという本です。
ブックデザイン、造本という視点では、
新潮社装丁室の面目躍如の出来栄えに感心するばかりです。
遠目からも目立つカバーには
250人以上のタナカヒロカズさんの顔です。
カバーを取って現れる表紙には、
262人のタナカヒロカズさんの
あだ名と漢字が出現します。

22種類のタナカヒロカズ漢字のバリエーションも
見返しの遊びという絶妙な位置に配置され、
電子書籍も普及した2025年であっても、
紙の本ならではの遊び心に満ちています。

自分の名前について考えてしまう本。
名前について不要不急の知識が得られる本。
思わぬ人との出会い、つながりが生まれかねない本。
ぜひお手にとっていただけたらうれしいです。

そして、10月18日(土)に東京・渋谷で、
2度目のギネス記録達成を目指すイベント、
タナカヒロカズ運動全国大会2025 三国博覧会(三博) 」を開催します。
三国とは日本・セルビア・ハンガリーのことです。
なぜこんなことになったかも書籍では説明しています。
あなたがタナカヒロカズさんならぜひご参加を。
周りのタナカヒロカズさんには、
「5分間座っているだけで世界記録のまたとないチャンス」と
お薦めください。
こちらギネスチャレンジイベントの参加申込ページ です。

「名こそ、すべて。」と考える、
ほぼ幹事の田中宏和の『全員タナカヒロカズ』紹介でした!

2025-07-28-MON