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ほぼ日手帳

糸井重里

・笑ってもらおうとする文章というのはある。
 それがすぐにわかる場合と、
 すぐにわからない場合とがある。
 読んですぐに笑いたくなるものもいいが、
 ちょっと間をおいてからおかしいと気づく笑いもある。
 どっちも、ぼくは好きだ。 
 できることなら、そういうのばかり読みたい。
 いや、そういうのばかりでも困るかもしれない。
 文章というのは、笑わせるばかりでもいけない。

 じゃぁ、と逆さに考えてみる。
 どういう文章を読みたくないのだろう。
 あ、読みたくないかどうかは、
 読むまではわからないから、それはわからないな。
 どういう文章が苦手なのだろうと言い換えてみよう。

 (ここから、数分間、いろいろ考えた)

 直接にはそう言ってなくても、
 なにかや誰かを「憎め!」と言ってる文章は苦手だ。
 対象について「それはまちがっている」と言うのはいい。
 じぶんの考えとちがう考えの相手はいるに決まってるし、
 「それはちがう」と言うのは自由だ。
 しかし、じぶんが「正しい」と思い込んでいるとき、
 そうでない人に「まちがい」を発見して、
 それを「まちがい=悪」と決めつけることになりやすい。
 ここらへんで、勢いが余ってしまうというか、
 つい「まちがい=悪=敵」と結びつけやすいものなのだ。
 そこに熱が加わると、その考えに味方もほしくなる。
 そうして、伝えられる人たちに向けて
 「憎め!」という命令や「指示」を出してしまう。
 それはもう、国の権力者だって、さんざんやっている。
 「分断を煽る」というような表現で伝えられていることは、
 だいたいは「憎め!」というメッセージのことである。
 国際政治から、ご近所のもめごとまで、
 「憎め!」というテーマで発せられたものは多い。
 どれだけ善良な人が言っていても「憎め!」は苦手だ。
 「まちがい」は「まちがい」でも、「憎め!」は苦手だ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
じぶんのほうに「まちがい」の可能性は、いつもあるのだし。 

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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