糸井重里
・久しぶりに「ほぼの駅 AKAGI」に行った。
いちばん避暑に向いている夏の時期に行ってなかったのが、
思えばずいぶんと惜しいことをした。
いまは、避暑には向いてない。
主に紅葉や、秋晴れの見晴らしを求めて人はやってくる。
平日だけれど、何人ものお客さんがくつろいでいる。
ここに来て、ぼくは忘れていたことばを思い出した。
「寒い」、口に出して言ったし、1枚余計に服を着た。
「寒い」が、とても苦手だ。
毎年、寒くなると、落語の「しじみ売り」を思い出す。
幼い子どもが素足で冷たい川に入ってしじみを採る。
それを売って貧しい家計の足しにしているという始まりだ。
暑いのももちろん厳しいけれど、寒いのは、ぼくには辛い。
熱射病だとかさんざん話題にもしたが、もう忘れている。
とにかく寒いと死ぬぞ、という恐怖がある。
人は死ぬと冷たくなるだろ、寒いのは命に関わるんだよ。
毎年、冬が近づくと、ぼくは寒さについて文句を言う。
冬は冬でいいとこあるし、何十回もの冬を過ごしてもきた。
ただ、暑さ以上に、寒さを嫌っているじぶんがいる。
嫌っているといえば、唐突だけれど「ゴーモン」が嫌だ。
とても若い頃に、なにが嫌だという雑談をしていて、
ぼくはよく考えて「ゴーモン」が嫌だと決めた気がする。
ここで具体的にその嫌さについて語るつもりはないが、
「そういうことするもんじゃない」というのがゴーモンだ。
「されて嫌なこと」を想像して実行するのがゴーモンだ
(だからゴーモンする者の弱みもゴーモンのなかにある)。
してはいけないことで、人を思うようにするのが嫌だ。
「脅迫」とか「強要」とかも、ゴーモンの一種だと思う。
人の「最低限の自由」まで奪おうとするのがゴーモンだ。
紅葉の赤城の秋晴れ日の、寒いということばが、
しじみ売りやらゴーモンやらの話になってしまった。
まるで、よっぱらいのように自由ではあることよ。
◆今日の質問no.080「なにがいちばん嫌いですか?」
考えてみて。よろしかったらメールで送ってくださいな。
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ネギとキャベツとしょうがを活かしたラーメンを開発中だ。
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