糸井重里
・渋谷の街を歩いていて、
「マウンテンゴリラ」という文字が見えた気がした。
そのまま確かめもせずに歩き続けたが、気にはなっていた。
店の名前だったのか、ブランド名か、どっちでもいいけど、
世の中、だいたいのネーミングは出尽くしてるよなぁ‥‥。
ついでのように「マウンテンゴリラ」って
「山のゴリラ」っていうことだな、とも思った。
ってことは、山じゃないゴリラもいるってわけか。
それは、山じゃなくて「低地ゴリラ」ということか。
低地、ん? ローランド、「ローランドゴリラ」か!
その名前、知ってたじゃないか。
もともと、マウンテンゴリラとかローランドゴリラとか、
お名前だけ存じ上げてたけど、それが出身地っていうか、
種属を表してるなんて考えたことなかったわ〜。
ちゃんと、山ゴリラ、低地ゴリラって
自己紹介してくださっていたのに、
聞いてなかったのね、わたし。
そういえば、人の名前だって、名付けた親はそれぞれに
「願いや思い」を込めて付けたはずなのに、
人びとは、あんがいそれを無視してないか?
美子でも希美でも翔でも賢一でも哲でも泰大でも、
名前で自己紹介してるやんか。
でもそれを本気で受け止めてないよね、相手側は。
聞いてないじゃないか、名前に込められた深いテーマを。
ただ「よしこ」とか「てつ」とか記号みたいに扱ってるよ。
ほんとは「美」だぞ「哲」のメッセージなんだぞ。
思えば、名前ばっかりじゃなくて、
人はほんとに「聞いてない」ものなんだよなぁ。
いちいち本気で聞いたり考えたりしてたら、
毎日が疑問だらけになってめんどくさくなるからかね。
おやつを食べようっていうときとかに、
「ショートケーキっていうけど、
なんに対してのショートなんだろう?
どこかでロングケーキって見たか?」なんてさ、
言い出しちゃったら、うるさいものね。
いや、しかし、ぼく自身はわりと、口には出さないけど、
そういううるさいようなことばかり考えているなぁ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
うるさいやつ同士がしゃべってたら、問題はないんだけどね。









