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ほぼ日手帳

糸井重里

・気仙沼で、ぼくの知ってるほとんどの人と会った。
 立川志の輔さんの落語が磁石のようになって、
 人びとを引きつけて集めてしまうのだ。
 いいなぁ、コンテンツってそういうものでありたいな。
 奈良や鎌倉の大仏にしても、磁石の役割をしている。
 富士山もとってもでっかい磁石である。

 3月の11日に合わせて気仙沼に来たばかりなので、
 会った人たち、それほど変わってない。
 ひとり気仙沼一のマッチョで、ナイスガイな人物が、
 ちょっとヘアスタイルを変えていた。
 ゆるやかにウェーブがかかっていて、ちょっとかっこいい。
 「あれ、ちょっと変えた?」と髪を指さしたら、
 用意していたかのように「色気づいちゃって」と答えた。
 60過ぎのおやじだよ、なにを言ってるんだか。
 でも、そういう会話がたのしいやね。

 そういえば、と思った。
 ぼくは、ずうっとヘアスタイルを変えていない。
 いや、変えているのだけれど、変えていないと言いたい。
 つまり、行きつけの美容院が50年ぐらい同じなのだ。
 美容院は同じでも、担当さんは変わる。
 少々恐縮だけど、いつもその時々の店長さんが
 ぼくの担当を引き継いでくれてきた。
 そして、その彼や彼女にずっと「おまかせ」してきたので、
 たまにスタイルが変わるのは、そのせいでもあった。
 この店は、原宿からはじまって、青山で二度引っ越しした。
 ずっと、目をつぶってもその店にぼくの頭は通っていた。
 で、その店でのぼくの最後の担当の店長さんが、
 独立して店をやるとなったのが20年くらい前だったかな。
 彼についてきて、いまに至る、とても近所だしありがたい。
 ぼくも、「色気づいちゃって」ヘアスタイルを変えるかな? 
 そういうこともなさそうだなぁ、「おまかせ」が好きだ。
 これは「磁石」のことではなくて、「流れ」というものだ。
 強い力よりも、力を抜いて流れるような動きは、快適だ。

 こんなしりとりみたいな文を書いているけれど、
 実は、今日も(ワールドカップのことで)頭がいっぱいだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
日記って、ふつう、だれに向かって書いているのだろうかね。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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