  | 
						  
							
							  
							    
							      
							        | 司会 | 
							        「渾名が『昭和』の小学生がいます。 
						             そんなふうに呼ばれるのはなぜ?」
							        
‥‥和田ラヂヲ選手、どうぞ。  | 
						           
							      
							        | ラヂヲ | 
							        「スーツがダブル」 | 
						           
						          | 
						  
							
							    | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      
							        | 会場 | 
							        ワァァァァ‥‥! | 
						           
							      
							        | ジャッジ | 
							        Excellent. | 
						           
							      
							        | 司会 | 
							        和田選手3点獲得、3点獲得です! | 
						           
						          | 
						  
							
							  
							    
							      
							        
							          
							            
							              2010年7月22日、木曜日。 
							                列島が記録的な猛暑に見舞われた、その日――。 
							                大阪・なんば、 
							                  「第三回ギャグ漫画家大喜利バトル」会場。 
							                ラヂヲ先生にとって 
							                  三度目のチャレンジが、はじまっていた。 
						                      | 
						                 
							              | 
						             
							        
							            | 
						             
							        
							          
							            
							              | 1回戦の相手は、村上たかし選手。
							                
							                 西田敏行さん主演で映画化も決定した 
							                  30万部オーバーの感動マンガ『星守る犬』の著者、 
							                  ギャグ漫画界でも指折りのストーリーテラーだ。 
							                そんな今大会屈指の注目選手に、 
							                  ラヂヲ先生のフリップが、容赦なく襲いかかっていく。   | 
						                 
							              | 
						             
						            | 
						         
						        | 
						  
							
							  
					          
							        | 司会 | 
							        「これから流行る 
						             ファンタスティックなお葬式。 
						             どんなお葬式?」
							        
‥‥和田選手、どうぞ。  | 
						           
							      
							        | ラヂヲ | 
							        「喪主がヘリコプターで登場」 | 
						           
						          | 
						  
							
							    | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      | 会場 | 
							      ゴォォォォ‥‥! | 
						         
							    
							      | ジャッジ | 
							      Good. | 
						         
							    
							      | 司会 | 
							      和田選手、1点獲得です! 
						           
						          スコアは「9ー5」となりました。 
						          村上選手、もう後がありません! | 
						         
						        | 
						  
							
							  
					          
							        
							          
							            
							              
							                それは、試合直前のできごとだった。 
                                              控え室の村上選手宛に、一包の郵便物が届く。 
                                                包みを開けると 
                                                明和電機の「オタマトーン」が、そこに――。 
                                               
                                              
  | 
						                   
						                  | 
						               
							          
							              
							              日本おもちゃ大賞「ハイ・ターゲット・トイ部門」で大賞を受賞した電子楽器。 | 
						               
							          
							            
							              
							                村上選手の優勝を願うファンから届けられた、 
							                  「勝利のオタマジャクシ」である。 
							                  しかし、あいにく手元にドライバー等の工具がなく、 
							                    単4乾電池を装填することができない‥‥! 
							                  途方にくれ、すべてを諦めかけた村上選手の前に 
							                    見ル野栄司選手が、すっくと立ち上がった! 
							                  「‥‥ちょっと、見せてもらえますか」 
							                  そう言うと、おもむろにオタマトーンを手に取り 
							                    100円ライターの部品でうまくネジを外し、 
							                    瞬く間に、単4乾電池の装填に成功したのである! 
						                        | 
						                   
							                | 
						               
							          
							              
							              いいぞ! うまいぞ! 見ル野選手!  
							                そのお手並みをじっと見つめるのは、大会の初代審査委員長・寺田克也氏だ。 | 
						               
							          
							            
							              
							                ピィー、ヒョロロロロ〜。‥‥音が出た。 
							                  さすがは、日本工学院専門学校メカトロニクス科卒業。 
							                    半導体製造工場勤務の経歴は、ダテじゃない。 
							                  しかしそれ以上に 
							                    見ル野選手、なんたるスポーツマンシップであろうか。 
							                    本来ならば、 
							                    村上選手は優勝争いの「ライバル」であるはず。 
							                    その行為の美しさ、まじり気のなさは、 
							                    まるで謙信が信玄に送った塩のごとくであったという。 
							                  ファンの声援、そして見ル野選手との友情を背負った 
							                    村上たかし選手。 
							                    彼もまた、こんなところで負けるわけには、いかない。 
						                        | 
						                   
							                | 
						               
						              | 
					             
					            | 
						  
							
							  
							    
							      | 司会 | 
							      「これから流行る 
						           ファンタスティックなお葬式。 
						           どんなお葬式?」
							      
‥‥村上選手、どうぞ。  | 
						         
							    
							      | 村上 | 
							      「毎週遺骨のセットが届く、 
						           ディアゴスティーニ葬」 | 
						         
							      | 
						  
							
							    | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      | 会場 | 
							      ズゴゴゴゴゴゴ‥‥! | 
						         
							    
							      | ジャッジ | 
							      Excellent! | 
						         
							    
							      | 司会 | 
							      村上選手3点獲得、3点獲得です! 
							        これで「9ー8」! 
						          和田選手のリードは1点となりました! | 
						         
							      | 
						  
							
							  
							    
							      大会ルールを説明していなかったようだ。 
							        「ギャグ漫画家大喜利バトル」では、 
							          「ダイナマイト関西」とは異なり、加点方式をとる。 
							        すなわち 
							          「Excellent」で3点、 
							          「Very Good」で2点、 
							          「Good」で1点、それぞれポイントがプラスされ、 
							          無得点の場合は「Next」と宣される。 
							        そして、最終的に10点先取した者の勝利となる。 
							        おもしろくなかったら自分のポイントが減る 
							          「ダイナマイト関西」にくらべ 
							          「自爆」がないぶん、 
							          手数の多いファイトスタイルの選手が有利とされる。 
							        まさに「攻撃」こそ「最大の防御」なり‥‥。 
							        この「ギャグ漫画家大喜利バトル」が 
							          英語で「Aggressive Ohgiri」と呼ばれる所以だ。 
							        案の定、ラヂヲ先生 vs 村上たかし選手の 
							          一回戦第三試合も 
							          互いに一歩も引かない、乱打戦の様相を呈した。 
							        しかし、最終的に試合を決めたのは、 
							          まるで鬼がのりうつったかのように攻め続ける、 
							          ラヂヲ先生の気迫であった――。 
						              | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      | 司会 | 
							      「これから流行る 
						           ファンタスティックなお葬式。 
						           どんなお葬式?」
							      
それでは和田選手、どうぞ!  | 
						         
							    
							      | ラヂヲ | 
							      ハァ、ハァ‥‥ 
						          「お棺の覗き窓が‥‥スゴイ」‥‥。 | 
						         
							      | 
						  
							
							    | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      | 会場 | 
							      ウォォォォォォ‥‥。 | 
						         
							    
							      | ジャッジ | 
							      ‥‥Good. | 
						         
							    
							      | 司会 | 
							      1点獲得、1点獲得です! 
						          和田ラヂヲ選手、二回戦進出――。 | 
						         
							     
							    
  | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							    
							      強豪・村上たかし選手を、辛くも退けたラヂヲ先生。 
							        悲願の優勝へ向け、第一歩を踏み出したラヂヲ先生。
                                    二回戦、 
                                      「おおひなたごう vs カラスヤサトシ」という 
                                      「ひらがな vs カタカナ対決」を制した 
                                  カラスヤサトシ選手と相まみえることになったが‥‥。   | 
						         
						        | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      お題 
						             | 
							      「1回で放送がお蔵入りした 
						           バイオレンス笑点。 
 その名場面とは?」 | 
						         
							      | 
						  
							
							    | 
						  
							
							   | 
						  
							
							    | 
						  
							
							   | 
						  
							
							  
							    
							      ‥‥など、随所に「らしい」回答で終始試合をリード。 
							        まるで、タイのキックボクサーのような形相で 
							          スベってもスベっても立ち上がってくる 
							          カラスヤ選手も撃破し、 
							          アレよという間に、決勝へとコマを進めたのであった。 
					                | 
						         
						        | 
						  
							
							    
						        一回戦四試合を終えて。 
						      ※クリックすると拡大します。 | 
						  
							
							  
							    
							      悲願の大喜利王者まで、あと一勝‥‥。 
							        ラヂヲ先生を応援するわれらにとっては 
							          まことに順調かと思われた、決勝までの道のり。 
							        しかし、反対側のトーナメント・ブロックでは 
							          大きな「波乱」が起きていた。 
							        まず、ディフェンディングチャンピオンである 
							          とり・みき選手が 
							          ノーシードから這い上がってきた 
						            見ル野栄司選手に敗北。  | 
						         
						        | 
						  
							
							    
							    見ル野選手の「手数」に振り切られた感のあるとり・みき選手。 
						      イラスト回答がていねいすぎたことも敗北の遠因か。 | 
						  
							
							  
							    
							      この日のとり・みき選手のファイティング・スタイルは
					                | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      | お題 | 
							      「藤子不二雄はもう1人いた! 
						           3人目・藤子不二雄Zの代表作は?」 | 
						         
							    
							      | お答 | 
							      「魔太郎がくる」でなく 
							        「魔羅郎がくる」 
							        「パーマン」でなく「パイパン」 
						          「21エモン」でなく「69エモン」 | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      ‥‥など、シモネタで貫きとおすものであり、 
							        実況席の江口寿史選手から 
							        「今後のマンガ家生命については責任を持てない」 
							        という最大限の賛辞を贈られている。 
							        そんな、とり・みき選手を打ち破った 
							          見ル野栄司選手の勢いは止まらず、 
							          準決勝では、 
						          初代王者のうすた京介選手までマットに沈める。  | 
						         
						        | 
						  
							
							    
							    あいかわらずのイイ男っぶりで、この日も女性ファンの集客に貢献。 
						      見ル野戦、緒戦はリードしていたものの、終盤で逆転負けを喫する。 | 
						  
							
							   | 
						  
							
							  
							    
							      | お題 | 
							      「現在、子ども手当ては 
							         予定額の半分が支給されていますが、 
						           全額支給する予算がありません。 
						           残りの半分、何で補う?」 | 
						         
							    
							      | お答 | 
							      「TSUTAYAのTポイントで」 | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      ‥‥など、ひろく老若男女の「あるある感」に 
							        アピールする回答で 
						          華麗にポイントをさらっていったかと思いきや、  | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      | お題 | 
							      「現在、子ども手当ては 
							         予定額の半分が支給されていますが、 
 全額支給する予算がありません。 
 残りの半分、何で補う?」 | 
						         
							    
							      | お答 | 
							      「思いやり予算などの無駄な支出を 
							         徹底的に見直し、 
						           年金や子ども手当てなどの社会保障に 
						           回すべきなのだ」 | 
						         
						        | 
						  
							
							  
							    
							      ‥‥という、まるで新聞の社説のような 
							        対戦相手のみならず 
							        ジャッジや観客までをもケムに巻く回答を提出、 
							        変幻自在の戦いぶりを見せた。 
							        しかし、そんなうすた選手の横綱相撲も 
							          やはり見ル野選手の「手数」にじょじょに押され、 
							          ついには土俵を割ってしまう‥‥。 
							        そして「見ル野選手が、うすた選手を破った」 
							          と、いうことは‥‥。 
						          トーナメント表を、もういちど確認してみよう。  | 
						         
						        | 
						  
							
							    | 
						  
							
							  
							    
							      そう、ラヂヲ先生の盟友にして大先輩、 
							        偉大なる飲み仲間にして優勝候補の大きな一角、 
							        決勝での「江口 vs ラヂヲ」対決も大いにありえた 
							        江口寿史選手が、 
						          なんと、一回戦で姿を消していたのだ――!  | 
						         
						        | 
						  
							
							    
					          まさかの初戦敗退を喫した江口寿史選手。 | 
						  
							
							  
							    
							      戦前、とり・みき選手が漏らした言葉が 
							        まるで不吉な予言であるかのように、思い出される。 
							        「ぼくはね、江口さんが最後までもつかどうかだけが 
							           心配なんですよ。 
							           朝方の5時まで飲んでて、 
							           新幹線でも飲んでて、楽屋でも飲んでたんですから」 
							        ここまでの戦い、女神はラヂヲ先生にほほえみ、 
							          江口選手は‥‥魔物に魅入られた。 
							        一寸先では、地獄が、パッカリ口を開けている。 
						          そんなトーナメントを制するのは。  | 
						         
						        | 
						  
							
							    | 
						  
							
							   | 
						  
							
							    | 
						  
							
							   							      
						      
  | 
						  
							
							  <つづく>
  | 
						  
							
							  | 2010-10-21-THU | 
						  
							
							  | 
						       |